障害者グループホーム(共同生活援助)で働いている人が世話人です。利用者(障害者)に対して、身の回りのお世話をする人が世話人です。

また、障害者グループホームには生活支援員もいます。障害者に対して、直接的に介助を行う人が生活支援員です。

このとき、世話人と生活支援員に違いがあるのかというと、現実的には大きな違いはないです。両者を兼務できますし、世話人が生活支援員として働くのは普通です。ただ、一応は世話人と生活支援員で役割が異なるというわけです。また、配置基準も異なります。

それでは障害者グループホームにおいて、世話人と生活支援員はどのような違いがあるのでしょうか。共同生活援助での世話人・生活支援員の違いや配置基準について解説していきます。

障害者グループホームに存在する世話人と生活支援員

複数の障害者が共同生活を送る施設が障害者グループホーム(共同生活援助)です。障害者施設には必ず介護スタッフがいるため、そうしたスタッフが障害者の面倒をみます。

老人施設とは異なり、多くの障害者は身体機能に異常がありません。足腰はしっかりしているため、身体的なケアは少ないです。そのため、腰を痛めたくない人にとって障害者施設で働くのは魅力的です。

そうしたとき、どの障害者グループホームで世話人と生活支援員がいます。世話人と生活支援員の違いとしては、「障害者を介助するかどうか」になります。生活支援員は直接的に障害者の介助を行います。

  • 世話人:家事や服薬、金銭の管理などの生活サポート
  • 生活支援員:食事・入浴・排せつなどの介助

実際のところ、重度の障害者でない限り、食事や排せつなどの介助は必要でないことがよくあるものの、ひとまず世話人と生活支援員ではこうした違いがあります。

兼務が可能であり、無資格にて行える

このとき、実際に障害者グループホーム(共同生活援助)で働くとき、世話人と生活支援員に違いがあるかというと、基本的にありません。理由は単純であり、世話人と生活支援員を兼務できるからです。

また世話人として働くにしても、施設内で障害者に対する支援が必要になった場合、直接的な介助をするケースがよくあります。つまり、現場で世話人と生活支援員を分けるのはあまり意味がありません。

また世話人も生活支援員も無資格で可能です。障害者グループホームで働くときに資格が不要なのは、世話人・生活支援員で特別な資格を要求されないからです。

障害者グループホームでは、世話人と生活支援員に関する配置位準を定めており、両方の配置が必要です。ただ兼務が可能であり、両方とも無資格で問題ない以上、現場レベルで世話人と生活支援員の違いを意識する必要はありません。

世話人と生活支援員の配置基準

それでは、世話人と生活支援員の配置基準はどのようになっているのでしょうか。障害者グループホームの売上は補助金で成り立っているため、必ず国が定める基準を満たして運営する必要があります。

このとき、世話人と生活支援員に関する配置基準が存在します。配置基準を満たさない場合は大きな減算となり、すぐに赤字経営になってしまいます。そのため、配置基準を満たすことで減算を回避しなければいけません。

そこで、それぞれの配置基準について確認しましょう。

入居者6人に対して、一人の世話人

多くの場合、障害者グループホームは介護サービス包括型です。この場合、「利用者:世話人=6:1」の割合で配置する必要があります。そのため定員数にもよりますが、1棟につき1人の世話人になります。

なお日中支援型グループホームでは、「利用者:世話人=5:1」の配置基準になります。日中支援型グループホームでは重度の人がメインになるため、入居者に対する世話人の数が多くなっています。

世話人の配置基準は前年の利用者数に応じて決められます。例えば、以下のようになります。

利用者数介護包括日中支援型
4人0.6人0.8人
5人0.8人1.0人
6人1.0人1.2人

週の法定労働時間は40時間です。そのため、例えば前年の利用者数が5人とすると、介護サービス包括型では0.8人が世話人の配置基準になります。この場合、週36時間が世話人の配置基準になります。

  • 週40時間 × 0.8人 = 週36時間

このように、入居人数から世話人の配置基準を計算します。

区分3以上の利用者は生活支援員が必要

入居者の人数に応じて配置する世話人に対して、区分に応じて配置するのが生活支援員です。区分3以上の障害者が入居する場合、生活支援員の配置が必要です。生活支援員の配置基準は以下のようになっています。

  • 区分3 → 9:1
  • 区分4 → 6:1
  • 区分5 → 4:1
  • 区分6 → 2.5:1

区分が高い場合、その分だけ手厚い介護が必要になります。そのため、区分の大きい人を受け入れる場合は生活支援員の配置基準が高くなります。

例えば、前年の利用者が「区分5が2人、区分6が2人いる」という場合、所定労働時間が週40時間とすると、配置基準は以下のようになります。

  • 区分5:週40時間 × 2人 ÷ 4 = 週20時間
  • 区分6:週40時間 × 2人 ÷ 2.5 = 週32時間

こうして、「週20時間 + 週32時間 = 週52時間」以上の生活支援員を配置しなければいけません。世話人と生活支援員は兼務できるため、あるときは世話人として働き、あるときは生活支援員として働くことにより、配置基準を満たすようにしましょう。

世話人と生活支援員の違いを理解する

障害者グループホーム(共同生活援助)の世話人とは、家事や金銭管理などのサポートをする人を指します。一方で障害者に対して直接、介助を行う人が生活支援員です。

ただ、現場で世話人と生活支援員を区別する意味はありません。両者は兼務可能ですし、無資格で可能なため、世話人とはいっても障害者の介助を行う場面はたくさんあります。

そうはいっても、世話人と生活支援員には配置基準があります。世話人は利用者の人数に対して、配置基準を決めます。また生活支援員では、利用者の区分と人数に応じて配置基準を決めます。配置基準を満たさないと減算になるため、必ず配置基準を満たしましょう。

世話人と生活支援員には、こうした違いがあります。現場で両者を分ける意味はないものの、配置基準で重要になります。そこで世話人と生活支援員について、適切に配置することで障害者グループホームを運営しましょう。

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