生活保護の障害者がメインで利用する保護施設が救護施設や更生施設です。救護施設・更生施設は規模が大きく、一つの施設内ですべての生活上の作業が完結します。

なおこうした障害者について、それまでに障害福祉サービスを利用していた人は多いです。このとき救護施設や更生施設を利用している人について、障害福祉サービスを併用可能なのか気になる人がいます。

救護施設・更生施設を利用するとき、ルールがあります。そこで、救護施設・更生施設と障害福祉サービスの併用について解説していきます。

施設利用者は障害福祉サービスを利用できない

先に結論を述べると、施設利用者は通常、障害福祉サービスを利用できません。救護施設や更生施設を含めて、施設利用者は施設内だけで生活上の作業すべてが完結するからです。

例えば救護施設・更生施設を利用する人の場合、施設内で寝泊まりすることになり、すべての介助は介護スタッフが行います。また基本的に施設内で活動することになり、外に出る必要がありません。要は、「障害福祉サービスを利用する意味がない」と考えましょう。

こうした理由により、救護施設や更生施設を利用中の人が障害福祉サービスを利用することはありません。

施設内での日中活動がメイン

なお障害者について、重度であっても日中活動を行うのが一般的です。日中活動については、前述の通り救護施設・更生施設の施設内で行います。厚生労働省の資料では、救護施設について「日中活動をしている人のうち、施設内で活動をしている人の割合」は94.5%です。

場合によっては、デイケアなど施設外にて日中活動をしている人もいます。ただ通常、施設内だけで寝泊まりから日中活動まで完結するのが救護施設・更生施設です。

・就労継続支援B型や生活介護は不要

なお障害者では、就労継続支援B型や生活介護(デイサービス)などの障害福祉サービスを利用して日中活動するのが一般的です。こうした日中活動を通して、障害者は日常生活動作の向上を目指します。

一方で救護施設・更生施設では、作業訓練によって社会生活を送るために必要なスキルを身に付けたり、クラブ活動を通してレクリエーションしたりします。こうした活動を施設内で行うため、保護施設では就労継続支援B型や生活介護などの通所施設へ出かける必要がありません。

なお救護施設や更生施設で作業訓練をするとき、場合によっては工賃が出ます。工賃の内容は保護施設によって異なるものの、就労継続支援B型と同様に生活保護の障害者は少ないながらもお金を得られるのです。

ちなみに、生活保護であっても月1万5000円までは収入の控除があり、工賃の全額が手元に残ります。そのため、生活保護の障害者が救護施設・更生施設で作業訓練を行い、工賃を得るのは大きな意味があります。

病院への通院は施設側へ依頼

なお自宅や障害者グループホームなどで過ごしている障害者であれば、居宅介護(ホームヘルプ)の通院等介助を用いて病院へ行くことができます。たとえ家族による送迎が難しかったり、自力での通院ができなかったりする場合でも、障害福祉サービスを利用することで通院できます。

ただ救護施設や更生施設で基本的に障害福祉サービスを利用しないとなると、障害者はどのように病院へ通院すればいいのでしょうか。厚生労働省の資料では、例えば救護施設を利用している人で病院を定期的に受診している人は95.6%であり、ほとんどの人で医療機関への通院が必要です。

このとき、救護施設から医療機関への通院方法としては以下のようになっています(重複回答あり)。

通院方法割合
他利用者との集団通院で送迎49.8%
個別に施設が送迎50.3%
送迎支援などを受けていない8.8%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

多くの場合、救護施設のスタッフが送迎対応してくれますが、いずれにしても障害福祉サービスなしでも医療を受けられます。

ちなみに更生施設の場合、障害者ではあっても自立している人がメインの利用者であり、以下のように送迎支援を受けていない人(送迎が必要ない人)がほとんどです。

通院方法割合
他利用者との集団通院で送迎2.7%
個別に施設が送迎5.9%
送迎支援などを受けていない85.9%

※厚生労働省:保護施設の支援機能の実態把握と課題分析に関する調査研究事業

施設によって「送迎が必要な人がメインで利用しているか」は異なるものの、いずれにしても施設側または本人が独自で対応するのが一般的です。

在宅へ一時的に戻る場合、障害福祉サービスを利用可能

それでは、救護施設・更生施設を利用中はどのような場合であっても障害福祉サービスを利用できないのでしょうか。これについて、場合によっては障害福祉サービスを利用する人がいます。

生活保護を受けている障害者について、場合によっては一時的に実家に戻ることがあるかもしれません。これら施設を利用していないときについて、以下のような障害福祉サービスを利用するのは普通です。

  • 居宅介護(ホームヘルプ)
  • 短期入所
  • 外出支援サービス:同行援護・行動援護・移動支援

自宅で過ごしているとき、例えばこれらの障害者向けサービスを利用する人は多いです。家でこれらの障害福祉サービスを利用することにより、家族の介護負担を大幅に減らすことができます。

障害者グループホームに移るとき、事前に申請できる

なお救護施設・更生施設などの保護施設から、障害者施設に引越しする障害者もいます。代表的な障害者施設として障害者グループホームがあります。

障害者グループホームを利用する場合、事前に「障害福祉サービスを利用するために必要な書類(受給者証)」を入手しなければいけません。そのため、障害者グループホームへ移ることが前提なのであれば、事前に障害福祉サービスへ申請するのは可能です。

障害者グループホーム(共同生活援助)についても、多くの生活保護受給者が生活しています。救護施設・更生施設から障害者グループホームへ移るのは普通なので、その場合は役所で障害福祉サービスの利用を申請しましょう。

救護施設・更生施設と障害者グループホームは併用できません。ただ保護施設を利用中に障害者グループホームの体験利用は可能ですし、救護施設・更生施設を退所後に障害者施設へ移ることもできます。

救護施設・更生施設と障害福祉サービスの併用は基本しない

保護施設として救護施設や更生施設があり、生活保護を受けている障害者がメインで生活しています。救護施設・更生施設は施設内でほとんどの作業が完結するため、障害福祉サービスを併用することは基本的にありません。

障害者の日中活動としては、就労継続支援B型や生活介護(デイサービス)などが広く知られています。ただ救護施設や更生施設では、施設内で作業訓練をしますし、クラブ活動としてデイサービスと似たサービスが提供されます。

なお自宅に一時的に戻る場合、例外的に一時帰宅中に障害福祉サービスを利用できます。または、障害者グループホームに移る場合、事前に役所で障害福祉サービスの手続きをしてもいいです。

救護施設や更生施設のように規模の大きい施設では、施設内ですべてが完結すると考えましょう。そこで救護施設や更生施設を利用している人について、障害福祉サービスの併用を考えずに過ごすといいです。

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