知的障害者が働くとき、一般企業での就労が困難なケースがよくあります。その場合、就労継続支援A型(就労A)や就労継続支援B型(就労B)を利用します。

軽度でも重度でも、知的障害者は就労継続支援A型・就労継続支援B型を利用して働けます。知的障害者では主に単純作業となりますが、こうした作業を通して賃金・工賃を得られます。

それでは知的障害者が就労継続支援A型・就労継続支援B型を利用するとき、どのように考えればいいのでしょうか。知的障害者が福祉制度を利用して働くときの考え方を解説していきます。

中等度や重度でも就労継続支援で働ける

就労継続支援A型では、雇用契約ありで働きます。そのため週5日で働くなど、決まった時間に毎日、作業所へ通うのが一般的です。そのため、軽度または中等度の知的障害者が就労継続支援A型を利用します。

それに対して、雇用契約なしで働ける作業所が就労継続支援B型です。雇用契約がないため、週に働く日数は自由ですし、急な体調不良で休むのは問題ありません。また、午前だけ2時間のみ働くことも可能です。

作業所を利用すれば、たとえ重度の知的障害者であっても働けます。通常は短時間勤務になり、一般企業での就労に比べると収入は非常に少ないものの、軽度に限らず中等度や重度の知的障害者であっても働けます。

知的障害者に適している仕事内容

それでは、知的障害者に適している仕事内容には何があるのでしょうか。知的障害者の場合、人とのコミュニケーションが苦手ですし、その場ごとに対応を変えるのが難しいです。そのため、既に決まった仕事内容を行うのが適しています。

なお実際のところ、知的障害者でどのような仕事をしている人が多いのでしょうか。厚生労働省による障害者雇用実態調査結果では、以下の仕事をしている知的障害者が多いです。

  • 生産工程の職業:37.8%
  • サービスの職業:22.4%
  • 運搬・清掃・梱包などの職業:16.3%
  • 販売の職業:12.2%
  • 事務的職業:7.5%

このように、知的障害者では製造業で働く人が多くなっています。これは、単純作業が知的障害者に向いているからです。

なお就労継続支援B型では、内職のような軽作業での仕事になります。いずれにしても、こうした作業で賃金・工賃を得ます。

コミュニケーション不要な作業所を選ぶ

そのため知的障害者について、できるだけ他の人とのコミュニケーションがいらない作業所を選ぶといいです。例えば、以下の仕事を避けます。

  • 接客業
  • 営業

これらはお客さんの話を聞いて理解し、瞬時に判断する能力が必要です。そのため一般的には、コミュニケーションが必要となる仕事は知的障害者に向いていません。

そこで、コミュニケーション不要な仕事を探すといいです。例えばカフェ運営している就労継続支援A型・就労継続支援B型であっても、知的障害者が裏方(品出しなど)で働いているケースは多いです。

なお軽度や中等度の知的障害者では、興味のある分野で仕事探しをすることも重要です。そのほうが長く続きやすいからです。一方で重度知的障害者の場合、就労継続支援B型での軽作業がメインになりやすいです。

就労継続支援B型から就労継続支援A型を目指す

このとき重度知的障害者では難しいものの、軽度や中等度の知的障害者では、最初は就労継続支援B型で働き始めても、将来は就労継続支援A型を目指すといいです。

就労継続支援B型の場合、前述の通り内職のような軽作業がメインになります。例えば清掃作業やお菓子・パンの製造、農作業などです。こうした就労Bで働く場合、時給200円など非常に低い工賃になります。

それに対して、就労継続支援A型では雇用契約を結んで働くため、法律で守られた最低賃金が適用されます。そのため就労継続支援B型に比べて、大幅に時給がアップします。

就労Aで働く場合、多くは短時間勤務になります。就労Bでも短時間の勤務が一般的ですが、時給が大きく異なるため、就労継続支援B型よりも就労継続支援A型のほうが得られるお金はかなり大きいです。

期間なしにずっと作業所を利用可能

なお知的障害者の場合、生まれつきであり、さらには症状が改善することはありません。そのため知的障害者はずっと障害者のままになりますが、就労継続支援A型・就労継続支援B型は期間なしに利用できます。

障害福祉サービスによっては、期限ありのサービスが存在します。ただ作業所については、期間なしにずっと利用できると考えましょう。

なお就労継続支援A型・就労継続支援B型は65歳以上であっても利用できます。就労継続支援A型については、以下の条件を両方とも満たしている人で65歳以上であっても利用できます。

  • 65歳より前に就労継続支援A型を利用
  • 65歳より前に5年間以上、障害福祉サービスを利用

それに対して、就労継続支援B型は条件なしで65歳以上であっても利用できます。こうして、知的障害者は年齢制限なしに作業所(就労A・就労B)で働けます。

作業所で知的障害者が働く

知的障害者の場合、どうしても企業就職が困難になりやすいです。そこで、就労継続支援A型・就労継続支援B型で働く人は多いです。

知的障害者はコミュニケーションが苦手なので、通常は接客や営業を避けます。その代わり、既にやり方やルールが決まっている仕事を行いましょう。また軽度や中等度の知的障害者では、興味のある仕事を選ぶことも重要です。

このとき、就労継続支援A型と就労継続支援B型では時給が大きく異なります。重度知的障害者の場合は難しいものの、軽度や中等度の場合は就労Aを目指すといいです。

期限なしに利用できるのが就労継続支援A型・就労継続支援B型です。知的障害者で一般就労が難しい場合、作業所を活用しましょう。

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