音声機能・言語機能に障害があったり、そしゃく・嚥下がうまくできなかったりする人はたくさんいます。こうした音声・言語、そしゃく機能の障害がある人は身体障害者となります。
身体障害者であるため、身体障害者手帳を入手できますし、障害年金を得ることもできます。言語障害やそしゃく機能障害に陥る理由としては、先天性(生まれつき)な理由を含めてさまざまですが、いずれにしてもこうした障害によって公的なサービスを利用できます。
そこで、どのような人が言語障害やそしゃく・嚥下障害に該当するのか理解しなければいけません。口やのどに関わる障害にはなりますが、音声を出したり飲み込んだりする能力が劣る場合、障害者として認定してもらいましょう。
それでは、どのような人で音声機能・言語機能の障害やそしゃく・嚥下障害となるのでしょうか。基準や中身を解説していきます。
もくじ
音声機能・言語機能、そしゃく機能の障害は障害者となる
声を出すことができなかったり、嚥下機能が劣っていたりする場合、身体障害者と認定されます。顔面麻痺や外傷など人によって理由はさまざまですが、ひとまず身体障害者手帳や障害年金を得られるのです。
音声機能や嚥下機能が弱っていても、思考能力が正常な場合、日常生活で多くのことを行えます。このとき、障害者だけが利用できるメリットを活用すると優れます。
例えば高速道路を運転するとき、身体障害者が自ら運転するのであれば、高速料金が半額になります。また、バスなど公共交通機関を利用するときに割引となります。
それに加えて、障害年金として追加でお金を受け取ることができます。言語障害やそしゃく機能がある場合、日常生活に支障があるため、こうした公的サービスを積極的に活用できます。
身体障害者手帳の基準はどうなっているのか
そこで、まずは身体障害者手帳の基準を確認しましょう。音声・言語、そしゃく機能の障害について、身体障害者手帳の基準は以下のようになっています。
3級 | 機能の喪失 |
4級 | 機能の著しい障害 |
1~2級と5~6級はありません。音声・言語、そしゃく機能の障害のみで判断する場合、身体障害者手帳3級または4級となります。
音声やそしゃく機能を完全に失っている場合、身体障害者手帳3級に該当します。それでは、身体障害者手帳4級の「機能の著しい障害」とは何を表しているのでしょうか。
音声機能・言語機能の障害については、会話によって意思疎通が困難な状態が言語障害に認定されます。例えば、「言葉で家族に内容を伝えられない(家族が意味を理解できない)」などが著しい障害に該当します。
またそしゃく・嚥下機能障害については、「口からでは十分な栄養を摂取できず、経管栄養が必要」「摂取物がゼラチン・寒天など半固形物に限られる」などが該当します。つまり、多少の嚥下機能は残っているものの不十分な人が該当します。
障害年金での音声・言語での認定基準
それに対して、障害年金での認定基準はどのようになっているのでしょうか。障害者手帳と障害年金はまったく別の制度です。そのため、身体障害者手帳の等級は障害年金の等級とまったく関係ないと考えましょう。
このとき、音声・言語障害での障害年金の認定基準は以下のようになっています。
2級 | 音声または言語機能に著しい障害を有する |
3級 | 音声または言語機能に相当程度の障害を残す |
障害手当金 | 音声または言語機能に障害を残す |
※障害の程度が軽い場合、障害手当金として一回のみお金が支給されます。
2級の「著しい障害を有する」というのは、日常会話が成立しない状態を指します。3級の「相当程度の障害を残す」については、内容の推測や尋ねるなどにより、部分的に会話が成り立つ状態です。障害手当金の「障害を残す」とは、互いに確認することである程度は会話が成り立つ状態を指します。
実際の認定では医師に診断書を依頼することになりますが、どの程度の発音が可能なのか検査してもらうことになります。その結果を記載してもらうことによって判断されますが、例えば以下は診断書の一部です。
このように、「障害の程度はどれくらいか」「具体的にどの発音ができないのか」などを診断書に記されることになります。こうして、障害年金の等級が決定されます。
構音障害や失語症、聴覚障害と種類が異なる
ちなみに言語障害とはいっても、音声機能に障害がある理由は人によって異なります。
- 構音障害:歯やあご、口(舌、くちびるなど)、咽頭、気管など発声器官の形態異常や運動機能障害
- 失語症:脳卒中、脳梗塞、脳腫瘍、頭部外傷など、脳損傷によって言語機能がなくなった
- 聴覚障害:先天的または中途での聴覚障害により音声言語がない
このように、口やのど周辺の機能障害や脳損傷による失語症、さらには聴覚障害による言語障害がメインになります。
そしゃく障害・嚥下障害にて障害年金を得る基準
なおそしゃく・嚥下障害についても、言語障害と同様の基準となります。等級に1級はなく、2~3級が存在します。
2級 | そしゃく機能に著しい障害を有する |
3級 | そしゃく機能に相当程度の障害を残す |
障害手当金 | そしゃく機能に障害を残す |
「流動食以外は摂取できない」「常に食べ物がこぼれるため、食事が困難」「一日の大半を食事に費やさなければならない」などが2級の「著しい障害」に該当します。
また3級の「相当程度の障害を残すもの」とは、「口からでは十分な栄養を取れず、経管栄養の併用が必要」「お粥(おかゆ)または軟菜しか食べられない」という人になります。障害手当金の「機能に障害を残すもの」とは、ある程度の食事はできるものの、食事が制限される状態です。
参考までに、以下はそしゃく・嚥下機能の障害に関する診断書の一部です。
このように、栄養状態や身長・体重を記載されることになります。食事に問題ない場合、通常だと栄養状態は優れるためです。また、どれだけ食事ができるのかが医師によって診断書に記載されます。こうして、障害年金の等級を判断されます。
併合認定で上の等級を狙うのは可能
なお言語障害やそしゃく障害のある人だと、他の身体障害を併発しているケースが多いです。この場合、複数の障害を合わせて申請しましょう。身体障害者手帳でも障害年金でも、複数の障害を合わせることで、より上の等級に認定されることがよくあります。特に障害年金では、これを併合認定といいます。
例えば聴覚障害によって耳がまったく聞こえない場合、「聴覚障害+言語障害」で申請しましょう。耳がまったく聞こえなくても話せる人はたくさんいますが、話せない人もいます。いずれにしても、聴覚障害に加えて言語機能がない場合、障害者手帳でも障害年金でも等級が上がりやすいというわけです。
また失語症がある場合、脳卒中・脳梗塞などによる脳機能の損傷によって肢体麻痺を生じることはよくあります。この場合についても、言語障害に加えて肢体不自由について併合認定が可能です。
身体障害者で複数の障害を併発しているのは普通です。特に言語障害やそしゃく障害の人は他の障害をもつケースが多いため、これらをすべて考慮したうえで身体障害者手帳と障害年金へ申請しましょう。
音声・言語障害やそしゃく・嚥下障害で障害者手帳と障害年金を得る
音声・言語、そしゃく機能に障害をもつ人は多いです。こうした人について、身体障害者手帳と障害年金を得られます。
障害者手帳があれば減税や優遇措置を受けられますし、障害年金によってお金を受給できます。そのため、こうした制度を利用することによって日々の生活で必要となる支出や収入の面では大幅に改善されます。
ただ、どれだけ障害の程度が重いのかによって等級が異なります。身体障害者と障害年金で等級の意味は異なるものの、会話が成立しなかったり、嚥下ができなかったりする場合、障害者手帳と障害年金の制度を利用できます。
なお言語障害やそしゃく障害をもつ人の場合、他の身体障害を併発していることがよくあります。その場合、複数の障害を合わせて申請しましょう。これにより、身体障害者と障害年金の等級が上がりやすくなります。
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