障害者の中には寝たきりの人がいます。ALSなどの難病患者や交通事故による身体障害者、重症心身障害者、脳梗塞などの病気を発症した人など人によって理由はさまざまですが、いずれにしても自由に体を動かせない障害者は一定数います。

こうした寝たきりの知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者は障害福祉サービスを利用できます。具体的には、重度訪問介護や重度障害者等包括支援を利用することになります。

または、自宅ではなく障害者グループホーム(共同生活援助)や入所施設(障害者支援施設)を利用してもいいです。こうした障害福祉サービスによっても、寝たきり障害者は日々の生活を安心して過ごせます。

それでは、寝たきりの障害者は何を考えて障害福祉サービスを利用すればいいのでしょうか。家族は早めに対策する必要があるため、どのように障害福祉サービスを活用するのが最適なのか解説していきます。

障害支援区分4以上で利用できる重度訪問介護

寝たきりの障害者と自宅で過ごす場合、通常は家族が介護をすることになります。ただ家族は働いていたり、リタイアしていても既に高齢だったりと一日中の介護はできません。また家族の介護のために仕事を辞めると収入が途絶えるため、生活できなくなります。

そのため特別な理由がない限り、障害福祉サービスを依頼するのが一般的です。こうした障害福祉サービスの中でも、寝たきりの人で特に重要なのが重度訪問介護です。

昼夜を問わず、24時間体制の介護を可能とするのが重度訪問介護です。症状が安定している場合は不要かもしれませんが、例えばALS患者はひんぱんな痰吸引が必要であり、夜中であっても対応しなければいけません。

このとき家族が毎日のように夜に眠れないとなると体調を崩してしまい、家族全員が不幸になります。そこで重度訪問介護を利用することで、家族への負担を大幅に軽減するのです。介護職員が夜中を含めて見守りが可能なので、家族の介護負担は大幅に軽減されます。

重度訪問介護は障害支援区分が4以上であれば利用できます。区分は1~6まであり、数字が大きいほど重度です。寝たきりの人は身体障害者や難病患者を含め全員が区分6に該当するため、重度訪問介護を利用することを考えましょう。

65歳以上でも、介護保険と併用可能

なお障害福祉サービスは基本的に65歳未満の障害者で利用できます。65歳以上になると、障害福祉サービスから介護保険サービスへ自動的に切り替わるため、高齢者の場合、介護保険でホームヘルプを提供している事業所に依頼する必要があります。

通常、高齢者は障害者向けの居宅介護や重度訪問介護を利用できません。障害福祉サービスと介護保険サービスが重複している場合、介護保険サービスが優先されるからです。

ただ介護保険サービスでは、重度訪問介護のような「昼夜に関係ないサービス利用」が難しいケースがあります。この場合、65歳よりも前に重度訪問介護を利用している人について、介護保険サービスの訪問介護の内容では不十分な場合、例外的に重度訪問介護を利用できます。

65歳以上であり、初めて重度訪問介護を利用したい場合は微妙です。ただ以前から利用している場合、障害福祉サービスと介護保険の併用という例外が認められているのです。

区分6にて自宅で過ごすなら重度障害者等包括支援

なお寝たきりの障害者は区分6となるのが基本ですが、この場合は重度障害者等包括支援を利用できます。最重度の障害をもつ人に対して、以下のサービスを組み合わせて包括的にサービス提供するのが重度障害者等包括支援です。

  • 居宅介護・重度訪問介護
  • 同行援護
  • 行動援護
  • 生活介護(デイサービス)
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
  • 短期入所(ショートステイ)

重度訪問介護が含まれることには変わりありませんが、寝たきりの障害者であれば、重度障害者等包括支援によってその他のサービスを組み合わせても問題ありません。

障害者施設で過ごすことも可能

なお障害者が家族と一緒に過ごす場合、障害福祉サービスの利用によって負担を大幅に軽減できるとはいっても、継続的に負担を強いられるのは同様です。例えば体位変換をするとき、家族が手伝うことはよくあります。

そのため寝たきりの場合、家族と離れて施設で過ごすのは普通です。65歳未満であっても、65歳以上であっても障害者であれば障害者施設を利用できます。こうした障害福祉サービスに障害者グループホーム(共同生活援助)や入所施設(障害者支援施設)があります。

障害者グループホームの場合、若い人だけでなく、65歳以上の高齢者でも入居可能です(身体障害者の場合、65歳より前に障害者グループホームまたはその他の障害福祉サービスを利用している人のみ65歳以上になっても入居可能)。

障害者グループホームなどの障害者施設を利用する場合、常に介護職員が施設内にいるため、家族は障害者の世話をする必要がありません。そのため寝たきりの場合、こうした障害者施設への入居も考えましょう。

なお障害者グループホームや入所施設は複数の障害者が共同生活を送る場所です。このとき、ALSなどの難病患者や重症心身障害者を含め、寝たきり状態では他の利用者とコミュニケーションを取れません。しかし、これについては仕方ないと考えて諦めましょう。

医療的ケアや訪問看護が必要な場合は要相談

寝たきりの人では、常に医療的ケアを必要とするケースがあります。特にALSなどの難病患者では、介護職員だけでは対応できない場面がひんぱんにあります。

この場合、看護師が常駐していて医療的ケアにも対応可能な障害者施設の利用を考えましょう。障害者グループホームで看護師を雇う義務はありませんが、施設によっては看護師が常駐していることもあるのです。

または、訪問看護ステーションと提携している障害者施設を利用してもいいです。障害者グループホームと訪問看護を併用するのは可能であり、医療保険を利用することで訪問看護を依頼できます。

自宅で過ごしている人が訪問看護を依頼するのは普通です。これと同じように、障害者グループホームで過ごしている寝たきりの障害者についても訪問看護を頼めるのです。

寝たきりの人が障害福祉サービスを利用する

難病で症状が進行していたり、事故になったりして寝たきりとなる人はたくさんいます。こうした人を含め、障害者であれば全員が障害福祉サービスを利用できます。

寝たきりの場合、障害支援区分は最重度の6になります。この場合はあらゆる障害福祉サービスを利用できるものの、特に重要なのが重度訪問介護です。重度訪問介護を利用することにより、家族の介護負担を大幅に軽減できます。

または、障害者グループホームなどの施設利用も検討しましょう。自宅介護ではどうしても家族に負担がかかります。そこで障害者施設を利用するのです。このとき、医療的ケアが必要な障害者は対応可能な施設を選びましょう。

自分の意思で体を動かせない寝たきりの障害者は障害福祉サービスを利用できます。そこで知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で寝たきりの場合、家族は障害福祉サービスを利用して介護負担の軽減を考えるといいです。

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