がんを発症するのは普通であり、その中でも末期がんでは治療の方法がなく、後は疼痛ケアをしながら残りの時間を過ごすのが基本になります。

ただ家族が自宅で介護するとなると、なかなか難しいケースがあります。この場合は障害者グループホームや介護施設(老人ホーム)の利用を考えることになります。

しかし、一般的な施設では末期がん患者の受け入れはできません。看護師が常駐しており、医療用麻薬の管理が可能な施設のみ受け入れできます。そのため医療的ケアが可能な障害者グループホームや介護付き老人ホームの利用がメインになります。

それでは、どのように考えて末期がん患者は入居する施設を選べばいいのでしょうか。がん患者の施設の利用法を解説していきます。

がん患者で障害者施設・老人ホームを利用可能

がん患者の中でも、末期がんとなると「要介護5など、日常生活が困難なケース」がよくあります。こうした人は身体障害者であるため、日常生活での動作が難しくなります。

こうした末期がん患者が利用できる施設としては、主に以下が挙げられます。

  • ホスピス(病院)
  • 障害者グループホーム
  • 有料老人ホーム

ホスピスは末期がん患者が過ごすための施設です。ただ病院とほぼ同じであるため、ほかの人と一緒の部屋になるのは普通ですし、病院によってはホスピスへ移れないこともよくあります。また家族による介護が難しい場合、障害者グループホームや有料老人ホームを視野に入れるというわけです。

年齢によって利用できる施設が異なる

末期がん患者の年齢によって利用できる施設は異なります。障害者グループホームは身体障害者だと18~64歳で利用できます。そのため障害者グループホームの利用には、年齢が若い必要があります。

複数の障害者で共同生活を送る施設が障害者グループホームです。若い人がメインになるため、20代の人も多く利用している障害者施設です。

がん患者は多くの場合で身体障害者に該当するため、要介護の人を含めて若い人なら障害者グループホームを利用できるというわけです。

一方、65歳以上になると身体障害者は新たに障害者グループホームへ入居できません。65歳以前に障害者グループホームやその他の障害福祉サービスを利用している人であれば65歳以上であっても入居できるものの、それ以外は新規入居不可なのです(知的障害者や精神障害者の場合、65歳以上であっても条件なしに新規入居できます)。

この場合、老人向けの介護施設を利用しましょう。65歳以上で利用できるのが有料老人ホームです。末期がん患者で要介護状態であっても、介護施設へ入居できます(末期がん患者の場合、40歳以上でも老人ホームを利用できます)。

障害者グループホームと老人ホームで利用料金は大きく異なる

なお費用は障害者グループホームと老人ホームで大きく異なります。障害者グループホームの場合、支払い費用はほぼありません。

配偶者が働いている人を除き、末期がん患者は一般的に収入がないため住民税の非課税世帯に該当します。こうした人の場合、障害福祉サービスは無料です。障害者グループホームには介護スタッフが常に在籍しているものの、これらスタッフへの費用はゼロなのです。

具体的には、以下のように月の負担上限額が決まっています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

またグループホーム側へ家賃の支払いが必要であるものの、国や自治体の補助によって家賃負担は無料または月1万円台です。そのため必要な支払いは食費や水道光熱費のみとなり、月6万円ほどの支出であっても問題なく生活できます。

それに対して有料老人ホームは高額になります。末期がん患者では介護付き老人ホームなどを利用することになりますが、こうした施設では月20~30万円の支出になります。また場合によっては、入居費用が発生します。

障害者グループホームでは、収入のない障害者であっても生活できるように仕組化されています。一方、老人ホームでは貯蓄のある高齢者が利用者のメインになるため、どうしても費用負担が大きくなるのです。

疼痛管理(医療用麻薬の管理)は看護師が可能

ただ多くの場合、末期がん患者は一般的な障害者グループホームや老人ホームに入居できません。障害者施設や介護施設の多くは看護師が常駐していないからです。介護職員の配置義務はあっても、看護師の配置義務があるとは限らないのです。

ただ医療的ケアに対応していない障害者グループホームや介護施設は多いものの、場合によっては看護師が常駐しているケースがあります。

末期がん患者の場合、以下のような医療用麻薬を利用することによって疼痛ケアを実施しなければいけません。

こうした医療用麻薬の管理を介護職員はできませんが、看護師であれば可能です。いずれにしても、看護師資格をもつ人が在籍している施設でなければ疼痛ケアができず、末期がん患者に対応できないというわけです。

看護師が常駐する施設へ入居する

そのため数は多くないものの、必ず看護師が常駐している施設を選びましょう。一般的な障害者グループホームは看護師が常駐していないものの、重症心身障害者に対応している障害者グループホームでは看護師が常駐しています。

または、訪問看護ステーションや薬局と提携している障害者グループホームでも問題ありません。この場合、薬剤師によって医療用麻薬の手渡しが可能ですし、医療的なバックアップも可能です。

それに対して老人ホームでは、例えば介護付き老人ホームであれば看護師が常駐しているため、疼痛ケアが可能です。特別養護老人ホーム(特養)は空きがほぼ存在しないものの、介護付き老人ホームであれば空きを見つけるのは可能です。

いずれにしても、末期がん患者である以上は疼痛ケアを含めた医療対応が可能な施設を選ばなければいけません。

末期がん患者でも施設を利用できる

それ以上の治療ができず、がん患者が最期を過ごす場所としてホスピスは有名です。ただホスピスは病院とほぼ同じであるため、退院が前提となる場合は自宅で過ごすことになります。

しかし、自宅での介護が厳しい場合は施設への入居を考えなければいけません。そこで、年齢によってターゲットとする施設を分けましょう。

18~64歳の場合、身体障害者は障害者グループホームへ入居できます。看護師がいたり、医療機関と提携していたりする障害者施設であれば末期がん患者であっても対応可能です。また65歳以上であれば、介護付き老人ホームなど看護師が常駐している介護施設を考えましょう。

末期がん患者が最期を過ごす場所の一つに障害者施設や老人ホームがあります。こうした施設を利用することで、看取りまで可能になります。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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