知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者などが共同生活を送るグループホームへ入居するとき、多くの人が気になるのが住民票です。

家族から離れ、グループホームで生活をする障害者は多いです。このとき障害者施設へ入居するのであれば、障害者が住むグループホームへ住民票を移すのが一般的です。

グループホームへ住民票を移すことにより、容易に住民税非課税世帯になれます。これはつまり、サービス料の支払いが低くなることを意味します。引越しによって住民票を移動すると、障害者はメリットを得られるのです。

それでは、どのように住民票を移動させればいいのでしょうか。障害者グループホームへ引越しするときの住民票の取り扱いや住所変更の手続きを解説していきます。

グループホームは家であるため、住民票の変更が必要

グループホームの利用者にとって、障害者グループホームは家に該当します。一戸建てやアパート・マンションと形は異なるものの、こうした家に住むことになるのです。以下は実際のグループホームであり、見た目は普通の家と変わりません。

シェアハウスのような形式にはなるものの、こうした家に住むことになります。

ほかの利用者と共同生活を送るシェアハウスではあっても、利用者にとっては家と同じであるため、通常は住民票を移すというわけです。

同じ市区町村外でも入居でき、実家の場合は移動しないケースもある

このとき、知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者は同じ市区町村外のグループホームでなくても問題なく入居できます。認知症のグループホームについては、同じ市区町村内での入居となります。一方で障害者グループホームについては、そうした決まりはありません。

例えば、東京に住んでいる障害者が神奈川や埼玉、千葉など、隣の県に存在する障害者グループホームへ入居することは可能です。

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者が入居可能なグループホームは数が多いわけではありません。ただほかの県まで含めて考慮に入れると、容易に優れた施設を見つけやすいです。

参考までに、以下の人は「それまで東京に住んでいたが、千葉の障害者グループホームへ入居した方」になります。料理が得意であり、ほかの利用者の分を含めてラーメンを作ったときの様子です。

認知症グループホームとは異なり、障害者グループホームでは他県からの入居でも可能です。

なお、それまで賃貸物件で生活していた方であれば、ほぼ確実に障害者グループホームへ住民票を移します。ただ実家(持ち家)にそれまで住んでいた障害者については、住民票を移さず、実家に住所を置いたまま入居する方もいます。

教科書的には、引越しをすると必ず住民票を変えなければいけません。ただ住民票を変更しなくても特に困ることはなく、本人宛の郵便物は継続して親族が受け取れるので問題ありません。

実家と入居するグループホームが離れている場合は住民票を移すケースが多いです。ただ、特に実家と近いグループホームへ入居する場合、「住民票を移さない」という選択をする人も多いです。これについては、障害者本人や家族の判断によります。

住所変更で容易に住民税非課税世帯となれる

なお「以前に一人暮らしをしていた」「実家が住民税の非課税世帯」という場合であれば関係ないですが、実家から障害者グループホームへ住民票を移すことによって得をするケースは多いです。本人にとって、支払うお金が減るからです。

同じ家に住んでいるにしても、世帯分離をすることにより、親と子供を別世帯にすることがよくあります。ただ親が障害者を扶養している場合、別世帯にすることはなく、同じ世帯にしているケースがほとんどだと思います。

「病気によって急に障害者になった人」を除き、障害者の前年の所得は低いのが一般的です。ただ親が働いていてある程度の所得がある場合、住民税の非課税世帯ではありません。ただ障害者がグループホームへ引越し、住民票を移せば、障害者本人は正式に住民税の非課税世帯となります。

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者がグループホームを利用するとき、さまざまな場面で世帯の所得が重要になります。例えば以下は、厚生労働省の公式サイトに記されている「障害福祉サービスの月の負担上限額」です。

生活保護世帯でなくても、住民税の非課税世帯となることにより、障害福祉サービスは無料になります。またグループホームの家賃補助についても、所得によって補助額が異なるのは普通です。

そのためそれまで実家暮らしの知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であっても、障害者グループホームへ引越すに当たり、住民票を変更するのは非常に効果的です。

引越し後に住民票の変更手続きを行う

それでは、実際に引越しをすることで住民票の変更をするにはどうすればいいのでしょうか。これについては、市役所や区役所などの役所へ出向きましょう。

多くの場合、戸籍課が住民票を取り扱っています。規模の小さい役所だと分かれていないものの、ある程度の規模の役所では戸籍課があります。例えば、以下は横浜にある区役所での戸籍課です。

役所へ行けば、転出届・転入届・転居届が存在します。同じ市区町村の中で住民票を移動させる場合、転居届を提出しましょう。

これにより、住民票の移動が完了します。

異なる市区町村からの入居の手順

ただ実際のところ、同じ市区町村の中だけで探すと、障害者グループホームの数は限られるため、空き状況を考慮すると入居が困難になります。そのため、通常はほかの都道府県を含めて入居可能なグループホームを探すのが一般的です。

この場合、転出届と転入届を出すことになります。

  • 以前に住んでいた地域の役所:転出届を提出
  • グループホームのある地域の役所:転入届を提出

※転出届については、マイナンバーカードを利用してオンライン上から申請可能です。

これにより、異なる市区町村で住民票を移動させることができます。なお転出届は「引越し前の14日前(2週間前)」に提出し、転入届は「引越し後、14日まで(2週間まで)」に提出となります。

なお重症心身障害者など、本人では手続きが難しいケースがあります。この場合は代理人(親など)によって手続き可能であるため、代理人が障害者や難病患者に代わって住所変更の手続きをしましょう。

郵便物の転送依頼やその他書類の住所変更を行う

引越しをするとき、必要な設定は住民票だけではありません。郵便物についても必ず設定をしましょう。郵便物を取り扱うのは郵便局です。このとき、郵便局で手続きをすれば「旧住所でのあなた宛ての郵便物について、新たな住所へ転送してくれる」というサービスがあります。

無料で利用できるため、郵便物転送の設定は必ず行いましょう。日本全国にある郵便局へ行けば、設定可能です。または「e転居」と検索すれば、ネット上から郵便物の自動設定をすることができます。

一度、設定をすれば一年間は有効です。そのため旧住所に障害者宛てで郵便物が送られても、入居した障害者グループホームの住所へ自動で転送されます。参考までに、以下は実際に転送されたときの様子です。

引越しをするにあたり、郵便物の転送設定は必須です。

ただ前述の通り、郵便物の転送設定は1年間のみ有効です。再設定をすれば再び1年間は有効ですが、その他の書類について、旧住所ではなく障害者グループホームの住所に変えることで、新たな住所へ郵便物が届くように設定しましょう。

重症心身障害者であれば、必要な手続きは少ないものの、軽度の知的障害者・精神障害者であれば、クレジットカードや運転免許証など、その他の書類の手続きが必要になるケースは多いです。

障害者施設への入居で住所変更を行う

引越しをするとき、さまざまな手続きが発生します。その中の一つが住所変更です。通常、新たに入居する障害者グループホームへ住民票を移すことになります。グループホームは知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者など、利用者にとっての家となるからです。

それまで賃貸に住んでいた人であれば、ほぼ確実に、新たに入居するグループホームへ住所変更します。ただ実家暮らしだった障害者については、住民票を変更しないケースもあります。しかし、住民税の非課税世帯になったほうが得な場合、住所変更を検討しましょう。

なお引越しに伴い、必要な手続きは住所変更だけではありません。郵便物の手続きやその他の書類についても住所変更をしましょう。

新たに障害者グループホームへ入居する場合、すべての人で住民票の取り扱いを考えなければいけません。住民票を移すのか移さないのかを決め、住所変更する場合は役所で必要な手続きをしましょう。

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