障害者グループホーム(共同生活援助)の運営を考えるとき、可能な限り加算を得ることで経営を安定させなければいけません。

そうしたとき、資格保有者が働くことによって得られる加算に福祉専門職員配置等加算があります。資格保有者の割合を満たすことにより、特に対策をしなくても通常よりも多くの加算を算定できるようになるのです。

それでは障害者グループホームが福祉専門職員配置等加算を利用するとき、どのような要件になっているのでしょうか。福祉専門職員配置等加算の中身を解説していきます。

資格保有者がいると加算を得られる

サービス管理責任者を除き、障害者グループホーム(共同生活援助)で働くときは資格が不要です。世話人や生活支援員を含めて、無資格であっても問題なく障害者グループホームにて勤務できます。

具体的には、以下の資格について福祉専門職員配置等加算の対象になります。

  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 公認心理師

特に介護福祉士は合格率が高く、難易度が低いです。そのため、福祉専門職員配置等加算の取得を考えるときは介護福祉士を目指すと容易です。

障害者グループホームで新規採用のバランスは重要

なお福祉専門職員配置等加算の算定では、職員一人に対する加算ではありません。そうではなく、「会社で働いている直接支援員の○%以上が有資格者」などのように判定します。

障害者グループホームの経営では、常に介護スタッフを募集しているのが一般的です。そうしたとき、無資格のスタッフを多めに採用することにより、福祉専門職員配置等加算の要件を満たさなくなったり、得られる加算が少なくなったりするケースがあります。

そのため、福祉専門職員配置等加算の算定では毎月の確認が必要です。特に新たに常勤職員を雇った場合は注意が必要です。

ただ福祉専門職員配置等加算は単位が低く、大きな売り上げを作れる加算ではありません。そのため、福祉専門職員配置等加算の要件を気にしすぎる必要はないです。そうはいっても算定額に影響があるので、過剰請求にならないように毎月の確認は必要というわけです。

福祉専門職員配置等加算の中身

それでは、福祉専門職員配置等加算の中身はどのようになっているのでしょうか。ザックリと以下のようになります。

  • 福祉専門職員配置等加算Ⅰ:10単位/日
  • 福祉専門職員配置等加算Ⅱ:7単位/日
  • 福祉専門職員配置等加算Ⅲ:4単位/日

それぞれについて確認しましょう。

福祉専門職員配置等加算Ⅰ:有資格者が35%以上

先ほど示した「資格を保有する職員」について、以下の条件を満たす場合に福祉専門職員配置等加算Ⅰを算定できます。

  • 全常勤の直接支援職員のうち、有資格者が35%以上

障害者グループホームでは、パート・アルバイトも世話人や生活支援員としてたくさん勤務しています。ただそうではなく、常勤職員での有資格者の割合を考えます。また、常勤職員のうち「利用者と直接関わる支援員(世話人・生活支援員)で有資格者の割合」が福祉専門職員配置等加算で重要になります。

  • 福祉専門職員配置等加算Ⅰ:10単位/日

なお福祉専門職員配置等加算Ⅰは10単位/日であるため、月300単位の請求になります。つまり、売上上昇に大きく寄与するわけではありません。そのため、利用できる場合に報酬を算定すればいいです。

福祉専門職員配置等加算Ⅱ:有資格者が25%以上

先ほどと同じように全常勤について、直接支援員(世話人・生活支援員)の有資格者の割合で福祉専門職員配置等加算Ⅱの算定を考えます。以下のようになります。

  • 全常勤の直接支援職員のうち、有資格者が25%以上

福祉専門職員配置等加算Ⅰを算定できない場合であっても、有資格者の割合を計算することで、福祉専門職員配置等加算Ⅱを算定できるケースがあります。

  • 福祉専門職員配置等加算Ⅱ:7単位/日

そこまで売り上げには貢献しないものの、算定できる場合は積極的に活用しましょう。

福祉専門職員配置等加算Ⅲ:資格に関係ない加算

それでは、有資格者の割合が高くない場合はどうすればいいのでしょうか。福祉専門職員配置等加算には、有資格者の割合に関係ない加算も存在します。以下のうち、どちらか一方を満たせば福祉専門職員配置等加算Ⅲの対象になります。

  • 非常勤を含む世話人・生活支援員のうち、常勤職員の割合が75%以上
  • 世話人・生活支援員で働く全常勤職員のうち、勤続3年以上の人が30%以上

なお、「勤続3年以上」というのは同一法人での勤続年数です。他の会社で働いていた期間はカウントされず、あくまでも同じ会社で世話人・生活支援員として働いている場合のみ福祉専門職員配置等加算Ⅲの対象です。

  • 福祉専門職員配置等加算Ⅲ:4単位/日

たとえ有資格者の割合が高くなくても、常勤職員の割合が多かったり、勤続年数の長い介護スタッフが働いていたりする場合、福祉専門職員配置等加算Ⅲを活用できます。

障害者グループホームで福祉専門職員配置等加算を利用

大きく売り上げに貢献するわけではないものの、職員の保有資格によって算定可能な加算が福祉専門職員配置等加算です。社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、公認心理師が対象の資格であり、資格取得を促すことで加算を得られます。

常勤職員のうち、これら資格者の割合が25%以上や35%以上の場合、福祉専門職員配置等加算Ⅰ~Ⅱを利用できます。

また、たとえ資格保有者の割合が少なくても福祉専門職員配置等加算を算定できます。常勤職員の割合が高かったり、勤務年数の長い職員が多かったりする場合、福祉専門職員配置等加算Ⅲの対象になます。

対象である場合、積極的に福祉専門職員配置等加算を活用しましょう。少しでも加算を得ることにより、障害者グループホームの利益を上げることができます。