糖尿病などを原因として慢性腎不全となり、人工透析を必要とするようになる人はたくさんいます。透析が必要な場合、拘束時間が長く一般企業で働くのが困難になっている人がそれなりに多いです。
人工透析が必要なために働けない場合、給付金を得ることができます。また、給付金を利用しながら仕事を開始しても問題ありません。さらには、障害者で利用できる公的サービスを利用することで支出を抑えることも考えましょう。
それでは、慢性腎不全で働けない人はどのように公的制度を活用すればいいのでしょうか。給付金の内容や支援制度について解説していきます。
もくじ
慢性腎不全は身体障害者に該当する
内臓の病気は障害の一つであり、慢性腎不全は身体障害者に該当します。事実、腎機能障害を有する場合は身体障害者手帳を保有できます。
なお腎機能が低下してしまうと、最終的には人工透析が必要になります。そうなると拘束時間が多くなってしまい、一般企業で働くのが難しくなります。そうしたとき、透析患者は以下の給付金を利用できます。
- 障害年金
- 心身障害者福祉手当
- 生活保護
それぞれについて確認しましょう。
障害年金を利用し、給付金を得る
糖尿病などによる慢性腎不全で最も重要な給付金として障害年金が知られています。人工透析を利用している場合、原則として障害年金2級に該当します。
腎機能障害で障害年金を得るとき、必ずしも人工透析は必須ではありません。ただ透析患者の場合、自動的に障害年金2級を得られるというわけです。このとき、障害年金を得るためには初診日(腎臓病の原因傷病で初めて医療機関を受診した日)を特定することで、ようやく障害年金を得られます。
なお慢性腎不全について、ほとんどの人で初診日が何年も前です。例えば糖尿病を理由に人工透析となった場合、糖尿病を疑って初受診した医療機関にて初診日を特定してもらう必要があります。もし初診日がわからない場合、障害年金を得られません。
・障害年金を受け取りつつ、仕事をするのは問題ない
このとき透析患者は原則として障害年金2級であり、明確な基準があります。そのため、透析を受けながらフルタイムで仕事をしても特に問題ありません。
また糖尿病では、網膜症(失明)や肢体壊死(足の切断)などを併発している人がたくさんいます。この場合、慢性腎不全に加えて他の障害を考慮することにより、障害年金1級となるケースもよくあります。
ちなみに透析患者ではなく、単に腎機能障害を有する人の場合、フルタイムで仕事をしている場合は障害年金の対象外になることもあります。
心身障害者福祉手当でお金をもらう
なお透析患者では、申請することでほぼ自動的に身体障害者手帳1級となります。身体障害者手帳1級では、心身障害者福祉手当の対象になります。
自治体によって要件は異なりますが、多くの場合、心身障害者福祉手当の対象者は以下になります。
- 身体障害者手帳1~3級
心身障害者福祉手当により、月2,500~5,000円などの給付金を得られます。障害年金ほど高額ではなく、所得制限はあるものの、十分に働けない人にとってこうしたお金は貴重です。
収入も資産もない場合は生活保護
ただ場合によっては、働けないことで低収入であることに加え、資産もないケースがあります。この場合、障害年金やその他の給付金だけでは日々の生活費を支払えない人がたくさんいます。
そうした場合、生活保護を利用しても問題ありません。障害者に特徴的な制度ではなく、低所得者であれば誰でも利用できる制度ですが、実際のところ障害者で生活保護を利用する人は非常にたくさんいます。
生活保護を利用すれば、住宅扶助によって住む場所を確保できると同時に、生活扶助によって日々の生活費も得ることができます。
また障害年金を得ている場合、通常の生活保護費に加えて障害者加算があります。
障害者加算の分だけ、健常者よりも多く生活保護を利用できます。そこで、収入や資産がない場合は積極的に生活保護を利用しましょう。
障害者手帳を利用し、多くの補助を得る
なお慢性腎不全では、前述の通り身体障害者手帳を利用できます。また人工透析では身体将棋者手帳1級であるため、これによって以下の低所得者はメリットがあります。
- 医療費がほぼゼロ(月の負担上限額あり)
- 所得税・住民税をの減税
- 自動車税・自動車取得税の減税
- 水道料金の割引
- 公共交通料金の割引
- 高速道路・ETCの料金が半額
- 映画館や水族館、美術館、テーマパークでの割引
- 住宅リフォーム費用の割引
他にもありますが、これらのメリットを受けられます。特に大きいのは医療費であり、毎月の透析費用は本来だと非常に高いです。ただ障害者で利用できる医療証により、非常に軽い支払いで医療を受けられるようになります。
また医療以外にも多くの助成制度や割引があるため、これらをうまく利用すれば、日々の支払いを大幅に抑えることができます。
見た目が健常者と同じでも障害者グループホームを利用可
なお糖尿病での慢性腎不全を含め、透析患者では体調不良を起こしやすく、日常的な手助けが必要になる人がたくさんいます。
身体障害者手帳1級ではあっても、透析患者は自らの力で公共交通機関を利用できますし、日常生活での動作は健常者とほぼ同じです。違うのは、わりと高頻度で病院・クリニックへ通うことで人工透析を受けなければいけない点です。
ただ障害者であることには変わらず、十分に働けないため、手助けが必要というわけです。そうしたとき、障害者グループホームを利用して格安に住むという方法もあります。
複数の障害者が共同生活を送る施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常にいるため、いつでも助けを得ることができます。
低所得者の場合、サービス料は無料です。また家賃は国や自治体から補助があります。さらに、シェアハウス形式になるので食費や水道光熱費は最安値です。インターネットが元から付いており、無料となるケースは普通です。
いま一人暮らしであっても、生活費を抑えるために障害者グループホームを利用する人はたくさんいます。そのため、特に低所得者で資産が少なかったり、介護スタッフによる援助が必要だったりする場合、障害者グループホームを活用しましょう。
就労サービスを利用し、社会とのつながりを作る
また他の障害者に比べると、脳機能などは特に問題ないため、重労働でなければ問題なく働くことができます。人工透析での拘束時間は長いものの、それを除けば労働が可能なのです。
そうしたとき、就労継続支援A型を利用して働く透析患者はたくさんいます。短時間労働にはなりますが、就労継続支援A型では雇用契約ありにて仕事を行い、最低賃金が守られます。また仕事をすることで、社会とのつながりを保てるようになります。
場合によっては、就労移行支援を利用して一般企業で働くことを考えても問題ありません。正社員でのフルタイム勤務は難しくても、就労移行支援ではアルバイトや契約社員として働く方法も支援しています。つまり、短時間労働も可能です。
正社員として働く方法がすべてではなく、障害者は複数の働き方を選べます。また、社会復帰するための障害福祉サービスもあるため、これらをうまく利用しましょう。
腎機能障害・透析で支援制度を利用する
糖尿病や糖尿病性腎症などを原因として腎機能障害に陥る人がいます。こうした慢性腎不全について、透析が必要だと仕事を続けるのが難しくなり、十分に働けない状態となります。
そうした障害者について、障害年金を含めた給付金を利用できます。人工透析では障害年金2級となり、こうしたお金を活用しましょう。また生活保護を受ける場合、障害者加算によって通常よりも多くのお金を得られます。
なお身体障害者手帳1級では、医療費を含めて多くの補助金を利用できます。さらに障害者グループホームで生活費を大幅に抑えることができますし、障害者向けの就労サービスも利用できます。
障害者ではあっても、公的サービスを利用すれば問題なく生活できます。そこで慢性腎不全による透析で働けない場合、支援制度を積極的に活用しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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