引きこもり・ニートというのは無職に該当します。こうした大人の引きこもりについて、一人暮らしを考えることがあります。
当然ながら、収入のない状態では生活費を出すことができません。そのため、無職の引きこもりが一人暮らしを開始するには、生活保護を利用するのが大原則です。このとき、施設を利用すれば効果的に社会復帰しやすくなります。
それでは、無職のニートが生活保護で一人暮らしを開始するにはどうすればいいのでしょうか。引きこもりが一人暮らしであっても問題なく生活費を出す方法を解説していきます。
もくじ
無職の引きこもりは生活保護で生活費を出せる
大人になって引きこもり・ニートの場合、ほとんどの人で精神疾患を抱えています。うつ病・双極性障害や統合失調症、発達障害、適応障害、パニック障害、アルコール依存症と病気の種類は異なるものの、何らかの精神疾患を有する人が大多数です。
こうした無職のニートについて、実家暮らしであれば親などが金銭面を含めて面倒を見てくれます。ただ一人暮らしをするとなると自らの力で生活費を出さなければいけません。
そうしたとき、無職の精神障害者で一人暮らしをしている人はたくさんいます。こうした引きこもりの一人暮らしに共通するのは、生活保護の利用です。
逆にいうと、大きな貯金のある人を除いて、収入がほとんどない引きこもりが一人暮らしを開始するのは不可能です。そこで一人暮らしをしたい場合、福祉事務所や市区町村の役所へ出向くことで生活保護の申請をしましょう。
要件を満たしていれば、ニートであっても生活保護を受給しながら一人暮らしを開始できます。そこで、生活保護を受給するために役所で相談しましょう。
実家暮らしでは生活保護を利用できない
ちなみに無職の引きこもりについて、「実家暮らしの状態で生活保護を受給できないか?」と考える人は多いです。
これについて、「実家が低所得世帯であり、資産がない場合」を除いて生活保護を利用できません。生活保護の受給では、必ず世帯単位の支給になるからです。つまり、同じ家に住んでいる人に収入または資産がある場合、生活保護の対象外となります。
なお同じ家に住む人について、世帯分離を考える人がいます。同じ家であっても、親夫婦と子供家族のように、世帯分離は普通です。
ただ生活保護の受給では、住民票がわかれているかどうかではなく、生活実態を見られます。そのため同じ家に住んでいる場合、世帯分離をしているかどうかに関係なく、生活保護の対象外です。
持ち家売却を含め、資産なしは生活保護が可能
そのため無職のニートが生活保護を活用するためには、必ず一人暮らしでなければいけません。そうしたとき、収入がないことに加えて、資産を保有していないことが生活保護受給の条件になります。具体的には、生活保護の受給では以下の資産を保有してはいけません。
- 預貯金
- 不動産:家、土地、田畑
- 自動車
- 貴金属
- 高級ブランド品
- 貯蓄性のある生命保険
- 株・債券
貯金については、ほぼお金が尽きる状態である必要があります。また両親が死んで実家を相続していたり、持ち家を購入していたりする場合、通常は事前に売る必要があります。
ド田舎にある持ち家であれば、資産価値が低く、「不動産を売って賃貸に住んでもらうよりも、そのまま持ち家に住み続けてもらうほうがいい」と判断されることがあります。ただ地方都市であっても、ある程度の都市部であれば土地の値段は高く、家の売却が生活保護の申請で必要になるケースが多いです。
賃貸マンション・アパートの利用は現実的に難しい
そうしたとき、引きこもりの一人暮らしで最初に思い浮かぶのが賃貸マンション・アパートでの生活です。このとき、生活保護では賃貸物件の審査が厳しくなるものの、生活保護を受け入れてくれる物件は存在します。
ただ実際のところ、このケースでは実家から出ての一人暮らしは難しいです。「一人暮らしを開始したいから実家を出る」という理由では、賃貸物件の審査以前に、そもそも生活保護の審査で落とされるからです。
生活保護を受給する場合、誰も頼れる人がいない状況である必要があります。そうしたとき、実家にいま住んでいるのであれば、一人暮らしをせずに実家暮らしを続ければ十分です。
実家ではなく、既に一人暮らしをしている状態であれば、生活保護の申請で特に問題ありません。または、これから離婚する場合で貯金がない人についても生活保護の受給が可能です。一方、いま実家暮らしの人では、「一人暮らしをしたい」という理由で生活保護を受給することはできません。
・賃貸では引き続きニートとなり、社会復帰できない
また社会復帰という点では、賃貸物件にて一人暮らしを開始したとしても、社会復帰を実現することは現実的にできません。実家暮らしで引きこもり生活をしていた人について、賃貸物件での一人暮らしをきっかけに急にやる気を出し、社会復帰することは考えられないからです。
そのため賃貸物件にて一人暮らしをしている生活保護のニートというのは、高確率で継続して引きこもりとなっているケースが多いです。
障害者グループホームに住み、支援を得る
また前述の通り、大人で引きこもりの場合はほとんどの人で精神疾患を抱えています。引きこもりになるほど重度の精神障害者が社会復帰するには、特別な理由がない限り、一般的な賃貸物件ではなく障害者グループホーム(共同生活援助)の利用が適切です。軽度の精神障害者であっても障害者グループホームを利用できます。
一人暮らしの中でもシェアハウス形式になり、複数の障害者が共同生活を送る施設が障害者グループホームです。常に介護スタッフがいる状態ですが、低所得者はサービス料が無料であり、シェアハウスなので食費や水道光熱費は格安です。
無職の引きこもりでは、多くの人で生活リズムが乱れています。そこで障害者グループホームを利用すれば、食事や入浴、門限、消灯の時間が決められているため、強制的に規則正しい生活リズムになります。
また障害者グループホームでは、多くの人が昼間に日中活動をします。要は、平日の昼間は障害者施設の外へ出て活動をします。これにより、引きこもりの状態から脱するようになります。
年齢が若い人は当然として、50代や60代の引きこもりであっても障害者グループホームが最適です。これは、引きこもりの状態を脱出するために介護スタッフが支援してくれるからです。
・障害者グループホームへの入居であれば生活保護を受給できる
なお実家から引越すとき、賃貸物件への引越しでは前述の通り、生活保護の受給をほぼ却下されます。そのまま継続して実家で暮らせばいいからです。
一方で障害者グループホームへの入居であれば、「親が高齢で障害者の面倒を見れない」「障害者が家で暴れるので引き離したい」など、さまざまな事情をもった人が障害者施設を利用します。そのため障害者グループホームへ入居するタイミングであれば、問題なく生活保護を利用できます。
たとえ親族に資産があっても問題なく、生活保護を申請するときに「障害者の面倒を見れない」と親族が意思表示すれば問題ありません。一般賃貸での一人暮らしでは難色を示されやすい生活保護受給ではあるものの、障害者グループホームの利用であれば生活保護の申請はスムーズです。
就労移行支援を含め、公的サービスで社会復帰を目指す
このとき、日中活動としては就労系の障害福祉サービスを利用しましょう。障害者が利用する就労系のサービスには以下があります。
- 就労継続支援A型・B型
- 就労移行支援
作業所と呼ばれる場所で短時間での仕事を行うのが就労継続支援A型(就労A)や就労継続支援B型(就労B)です。実際に仕事を行うため、工賃を得られます。
また一般企業での就職(アルバイト・契約社員を含む)を目指す場合、障害者は就労移行支援を利用できます。障害者グループホームにて一人暮らしをしながら、就労移行支援へ通うことで外へ出ることに慣れつつ、将来の企業就職を考えるのです。
一般賃貸で一人暮らしをする場合、就労継続支援A型・B型や就労移行支援を利用するにしても、それまで引きこもり生活が長い精神障害者は甘えが出てしまい、途中で行くのを止めてしまう可能性が高いです。
そこで障害者グループホームを利用し、規則正しい生活と共に日中活動を行えば、社会とのつながりを保てるようになります。介護スタッフによる助けをいつでも得られるというのは、大人のニートにとって優れます。
無職のニートで一人暮らしを行う
一人暮らしをするとなると、必ず生活費を出さなければいけません。そうしたとき、無職の引きこもりで貯金がない場合、生活保護の利用が大前提です。そこで、福祉事務所へ出向くことで生活保護の申請をしましょう。
このとき、既に一人暮らし(または離婚直前)であれば問題ないものの、実家暮らしでは「一人暮らし開始のために生活保護を受給したい」と伝えても却下されます。一方、障害者グループホームの利用開始であれば生活保護の受給はスムーズになりやすいです。
また社会復帰という意味では、引きこもりが賃貸物件で一人暮らしを開始しても、継続してニートである可能性が高いです。そこで障害者グループホームを利用して規則正しい生活を送り、さらには就労系の障害福祉サービスを活用することで引きこもりからの脱却を目指しましょう。
20~30代の若い人に限らず、50~60代でも引きこもりは多いです。そうした無職のニートが一人暮らしを行う正しいステップを学び、生活保護を利用して生活費を出せるようにするといいです。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。