アルコール依存症や薬物依存症など、こうした人は精神障害者に分類されます。そうした精神疾患について、適切に更生すれば社会復帰が可能です。

ただアルコール・薬物依存症で生活保護などの低所得者になっている人は多いです。そうしたとき、生活保護で依存症の更生施設(ダルク)を活用するとき、どのように考えればいいのでしょうか。ダルクの利用は高額になりやすいため、何も考えずに申し込んでも受け入れ拒否となります。

生活保護であっても、薬物更生施設を活用できます。そこで、生活保護受給者でのダルクの利用法を解説していきます。

アルコール・薬物依存症で生活保護は多い

精神障害者の場合、十分に働くことができず、低所得者に陥っているケースがよくあります。これはアルコール依存症や薬物依存症も同様です。お酒や麻薬、シンナー、覚せい剤によって依存症に陥り、適切に働けなくなるのです。

軽度であれば、会社で働いている人も多いです。ただ重度の場合、飲酒やドラッグのことばかり考えるようになり、仕事のパフォーマンスが落ち、結果として会社にいられなくなる人が多くなります。そうして、生活保護となります。

なお、依存症は再犯率が非常に高いことで知られています。そのため自宅で過ごしてもアルコール依存症や薬物依存症から抜け出すことはできず、施設を利用するのが基本になります。そうしたとき、依存症を専門とした薬物更生施設がダルクです。

障害者グループホームのダルクなら格安で利用可能

生活保護受給者について、ダルクを利用するとき、「生活保護でお金を出せないが利用できるのか?」と考えます。これについて、障害者グループホーム(共同生活援助)として運営されているダルクであれば、何も問題なく生活保護であっても受け入れてくれます。

障害福祉サービスの一つが障害者グループホーム(共同生活援助)です。アルコール依存症や薬物依存症は精神障害者であるため、問題なく障害者グループホームを利用可能です。

生活保護の場合、サービス料は無料です。生活保護では、月の負担上限額がゼロになっているからです。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

また生活保護では国や自治体からの補助があり、住宅扶助の中で問題なく生活できるようになっています。そもそも、障害者グループホームの利用者はダルクに限らずほとんどが生活保護受給者という実態があり、生活保護の利用は何も問題ありません。

日中活動は自立訓練(生活訓練)で無料

またダルクでは、どの施設についても日中活動として依存症に対するリハビリテーションが行われます。このときの内容としては、ミーティングやスポーツレクリエーション、ゲームなどになります。

またアルコール依存症や薬物依存症では数年後の社会復帰が前提となっており、1~2年で退所するのが一般的です。そのため、独り立ちに向けた指導も行われます。

これらダルクで行われる日中活動について、障害福祉サービスでは自立訓練(生活訓練)としてサービス提供されます。

2年という期間内に精神障害者が社会復帰に向けてトレーニングする障害福祉サービスが自立訓練(生活訓練)です。ダルクでは、自立訓練(生活訓練)の中でも依存症改善に特化したプログラムを提供するというわけです。

また障害福祉サービスとして自立訓練(生活訓練)が行われる場合、生活保護では利用料がゼロ円になります。前述の通り、生活保護では障害福祉サービスの利用負担がゼロだからです。こうして、障害福祉サービスを利用できるダルクでは、依存症患者は費用の心配なく過ごせます。

自費が基本のダルクは利用が厳しくなる

それでは、すべてのダルクで障害福祉サービスに対応しているかというと、必ずしもそういうわけではありません。自費が基本になるダルクも存在します。

こうしたダルクの場合、月の利用料金が15~18万円になるのは普通です。その場合、生活保護の住宅扶助の上限を超えてしまいますし、依存症回復のためのリハビリテーション費用を支払うこともできません。

つまり生活保護の場合、金銭的な問題で「障害福祉サービスに対応しているダルク」以外の利用は通常よりも厳しくなっています。

自立準備ホームであれば生活保護で利用可能

それでは、生活保護の場合はどのようなケースであっても、障害福祉サービスに未対応のダルクを利用できないのでしょうか。これについて、多くのダルクで「生活保護は要相談」となっています。これは、生活保護であっても利用できる可能性があるからです。

特に麻薬や覚せい剤など、生活保護の薬物依存症の人では刑務所で過ごしていた人もいます。こうした人について、出所後に行き先のない人がたくさんいます。

そこで、刑務所を出た後の元受刑者の行き先の一つとして自立準備ホームが存在します。保護観察所に登録されている法人が自立準備ホームを運営します。また、自立準備ホームの制度を利用することで、薬物依存症の人がダルクで過ごす費用を保護観察所が負担してくれます。

つまり自立準備ホームとしてダルクを利用すれば高額な費用を負担することなく、生活保護受給者であっても利用できます。

通常の共同生活援助と精神科デイケアの併用も可能

なお生活保護受給者がダルクを活用するとき、実際のところ日本全国にあるダルクの数は少ないです。また、希望する地域にダルクがあるとは限りません。そのためダルクだけに限定すると入居できる可能性は低くなります。

そこで、通常の障害者グループホーム(共同生活援助)へ入居することも考えましょう。この場合、生活保護で入居できる障害者施設が大幅に多くなります。この場合は依存症の人だけでなく知的障害者や身体障害者など、その他の障害者と一緒に共同生活を送ることになります。

なお通常の障害者グループホームでは、日中に依存症の人に対する更生プログラムを提供していません。そのため、精神科病院・クリニックの精神科デイケアを日中活動として活用します。

当然ながら、依存症の改善であれば精神科デイケアでも大きな問題にはなりません。また生活保護は医療費が無料であるため、精神科デイケアを利用するにしても費用は発生しないです。

アルコール依存症や薬物依存症で生活保護を受けている場合、受け入れ先はダルクだけではありません。一般的な障害者グループホームも検討すると、更生するために入居できる格安施設をスムーズに見つけられるようになります。

生活保護でダルクや障害者施設を利用する

アルコール依存症や薬物依存症で生活保護の人はたくさんいます。そうしたとき、障害者グループホーム(共同生活援助)として運営されているダルクであれば、費用負担は非常に少ないです。家賃は住宅扶助の範囲に収まり、日中活動は自立訓練(生活訓練)となるので無料です。

一方で障害福祉サービスではないダルクでは、費用負担が大きくなりがちです。ただ場合によっては、元受刑者の出所など、自立準備ホームの制度を利用することでダルクの入寮費用を出してもらうことが可能です。

ただダルクにこだわると、実際のところ選択肢が非常に少なくなります。そこで特別な理由がない限り、「通常の障害者グループホーム+精神科デイケア」という組み合わせにより、障害者施設を活用しながら社会復帰する方法も視野に入れるといいです。

ダルクを含め、薬物更生施設を利用するときはお金の問題が発生します。生活保護では大きなお金を支払うことができないため、公的制度を利用することで社会復帰することを考えましょう。

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