障害者であれば、福祉制度を利用して働くケースがよくあります。こうした障害福祉サービスに就労継続支援A型(就労A)や就労継続支援B型(就労B)があります。

多くの場合、働くことで収益を得ると納税が必要になります。ただ障害者が就労継続支援A型・就労継続支援B型で働いても税金は不要です。そのため、確定申告を行う必要もありません。作業所での収益は少ないため、税金が必要なほど稼げないからです。

ただ家族や配偶者と一緒に住んでおり、扶養となっている障害者は注意点があります。そこで、就労Aや就労Bで働いている人がどのように税務を考えればいいのか解説していきます。

就労A・就労Bは税金・確定申告なし

就労継続支援A型・就労継続支援B型を利用することで障害者はお金を得ることができます。就労困難な場合、これら作業所を利用するのが一般的です。

このとき、障害者では健常者よりも納税が必要になるライン(住民税の非居住者になる要件)がゆるくなっています。具体的には、障害者は以下の人で税金支払いが不要になります。

  • 所得が年135万円以下(年収204万4000円未満)

これよりも多く稼いでいる障害者であれば、納税を考えなければいけません。また企業勤務ではなく、個人事業主・フリーランスで収入のある場合は確定申告が必要になります。

ただ就労Aや就労Bで稼いでいる人では、上記の収入を超えることはありません。作業所で働く場合、月の平均収入は以下のようになっています。

  • 就労継続支援A型:月に約8万円
  • 就労継続支援B型:月に約1万5000円

通常、就労困難者が福祉制度を利用して就労継続支援A型・B型を利用します。この場合は短時間での勤務になり、こうした低所得者が税金の心配をする必要はないですし、確定申告も不要です。

障害年金は非課税所得に該当する

なお就労継続支援A型・就労継続支援B型で働いている人について、障害年金を得ている人は多いです。作業所で得たお金に加えて、障害年金を足すと年収204万4000円を超えてしまう障害者はいます。

ただ、高額な障害年金を得ている人であっても税金支払いや確定申告を行う必要はありません。障害年金は非課税所得に該当するからです。つまり、障害年金で得たお金を年収に加える必要はありません。あくまでも、年間の労働賃金が所得135万円以下(年収204万4000円未満)かどうかで判断しましょう。

障害年金が住民税・所得税の対象外であることについて、以下のように日本年金機構が明記しています。

障害年金は非課税所得であり、就労A・就労Bによる収入は少ないため、作業所で働いている人が税金を心配する必要はありません。

継続して住民税の非課税世帯になる

就労継続支援A型・就労継続支援B型で働く障害者が住民税・所得税を納める必要がないことから、こうした低所得者は住民税の非課税世帯に該当するとわかります。

住民税の非課税世帯では、「障害福祉サービスの利用料金が無料」「障害者グループホームで家賃補助がある」「自治体によっては医療費が低くなる」などのメリットがあります。障害年金や就労A・就労Bでお金を得ても、継続して住民税の非課税世帯である事実は変わりません。

・就労サービスの利用料は無料

そのため、就労継続支援A型・就労継続支援B型の利用料は多くの人で無料です。障害福祉サービスでは、以下のように月の負担上限額があるからです。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

家族や配偶者と一緒に住んでおり、世帯年収がある場合、住民税の非課税世帯には該当しません。ただ一人暮らしをしている障害者は通常、住民税の非課税世帯に該当するため、就労継続支援A型・就労継続支援B型のサービス料は無料です。

生活保護でも月1万5000円以上のお金が残る

ちなみに、就労継続支援A型・就労継続支援B型は生活保護受給者が利用する場合であっても大きな意味があります。

生活保護では、「稼ぐとその分だけ生活保護費が減らされる」と多くの人が知っています。この事実は本当ですが、一部は正しくありません。たとえ生活保護であっても、労働収入には基礎控除が認められており、必ず1万5000円以上は手元にお金が残ります。

例えば就労継続支援B型で月1万5000円を稼いだとします。この場合、基礎控除が月1万5000円であるため、「労働工賃から基礎控除を差し引くと、障害者は収入ゼロ」となります。こうして、生活保護費から差し引かれるお金はなく、1万5000円全額を利用できます。

なお、就労継続支援A型のように収入が1万5000円を大きく超えると、その分だけ差し引かれる生活保護費は大きくなります。ただそれでも、ある程度のお金が手元に残ります。

所得税・住民税の扶養は関係ない

一人暮らしの障害者はここまで述べたことを理解できれば問題ありません。ただ中には、一人暮らしによって住民税の非課税世帯で過ごしているのではなく、家族や配偶者と一緒に住んでいる障害者もいます。

この場合、障害者は扶養されることになります。扶養に入ることで家族の税金が低くなり、障害者控除を利用することもできます。税務上の扶養については、障害者や健常者に関係なく、年103万円以上の労働収入がラインになります。

たとえ就労継続支援A型・就労継続支援B型で働いていても、年103万円を超えていなければ問題なく家族の扶養に入ることができます。なお障害年金は非課税所得であるため、103万円に含めずに計算できます。そのため、ほとんどの障害者で税務上の扶養に入れます。

収入があると、「扶養から外れないといけないのか?」と心配になります。ただ多くの障害者について、税務上の扶養から外れることを心配しなくてもいいです。

扶養の場合、社会保険のラインに注意

ただ障害年金に加えて就労継続支援A型・就労継続支援B型で働いている障害者について、社会保険の扶養には注意しましょう。場合によっては、社会保険の扶養に引っかかるケースがあるからです。

扶養には「税務上の扶養」と「社会保険の扶養」があります。前述の通り、障害年金は非課税所得であるため、税務上の扶養から外れることを心配する必要はありません。

一方で社会保険の扶養(障害者が個人的に国民健康保険などへの加入が必要かどうか)については、「障害年金+就労収入」でラインを超えているかどうかで判断します。

社会保険の扶養では、障害年金と労働収入の両方を合わせて年180万円以上の人が引っかかります。障害年金だけで年180万円を超えている人もいるため、この場合は社会保険の扶養に入れません。障害者にとって、気を付けるべきは社会保険の扶養になります。

就労継続支援A型・就労継続支援B型で働いても非課税

通常、就労によってお金を得ると納税が必要になります。ただ就労継続支援A型・就労継続支援B型で働く場合、一般的に低所得者なので納税の必要はありません。当然、確定申告も不要です。

たとえ高額な障害年金を得ていても、障害年金は非課税所得であるため、所得税・住民税の対象外です。そのため就労A・就労Bで働いている障害者について、高額な障害年金を得ている人でも継続して住民税の非課税世帯に該当します。

なお中には、親族・配偶者の扶養に入っている人がいるかもしれません。この場合、税務上の扶養に多くの人は引っかかりません。ただ高額な障害年金を得ている場合、社会保険の扶養に引っかかる可能性があるのは理解しましょう。

就労継続支援A型・就労継続支援B型で働く場合、低所得者に該当します。そのため税金や確定申告を心配することなく働くといいです。

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