障害者の中には難病患者がいます。こうした難病の一つに筋ジストロフィーがあり、高確率で呼吸機能障害を発症し、人工呼吸器を装着しての生活になります。

こうした難病患者が利用できる障害福祉サービスとして、障害者グループホームや施設入所支援があります。障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)に住むことにより、24時間の介護を受けることで生活するのです。

これら障害者向けの施設を利用する場合、たとえ筋ジストロフィーで収入ゼロであっても問題なく生きていくことができます。支出面において、障害者グループホームや入所施設は無収入であっても生活できる形態になっているからです。

それでは、筋ジストロフィーの人が障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を活用するとき、何を考えればいいのでしょうか。65歳未満の筋ジストロフィーの人で障害者グループホームや入所施設を利用する方法を解説していきます。

難病患者は障害福祉サービスを利用できる

難病患者は身体障害者でもあります。そのため、身体障害者として障害福祉サービスを利用できます。こうした障害福祉サービスには入居系サービスがあり、障害者が格安にて集団生活を送ることができます。

障害福祉サービスでの入居系サービスは以下になります。

  • 障害者グループホーム:共同生活援助
  • 入所施設(障害者支援施設):施設入所支援

知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者について、障害の種類や程度は人によって異なるものの、こうした施設で障害者が集団生活を送ります。介護スタッフが常駐している中で生活するため、重度障害者であっても問題なく日々の生活を送れるというわけです。

利用料金は格安で費用の心配は不要

このとき、筋ジストロフィーで費用面の心配をする必要はありません。障害者グループホームも入所施設(障害者支援施設)も格安にて入居できるからです。

筋ジストロフィーで症状が進行している場合、多くの人で低所得者です。こうした人は住民税の非課税世帯や生活保護となりますが、この場合は障害福祉サービスの料金が無料です。以下のように負担上限額が設定されています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

また障害者グループホームでは国・自治体から家賃補助があります。入所施設についても、食費・水道光熱費について国からの補助金があります。

そのため、障害年金だけが収入であっても障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)のお金を支払えるようになっています。これが、筋ジストロフィーで障害者グループホームや入所施設の利用でお金の心配をしなくてもいい理由です。

医療費は助成制度によってほぼない

なお筋ジストロフィーの場合、医療費の心配も不要です。筋ジストロフィーを発症している場合、既に利用している人は多いかもしれませんが、難病向けの医療費助成制度を活用できます。この制度を特定医療費(指定難病)助成制度といいます。

特定医療費(指定難病)助成制度であれば、医療費の負担割合は2割です。それに加えて、住民税の非課税世帯などの低所得者であれば、月の負担上限額は2,500円になります。

こうした医療費には、薬局での支払いや訪問看護ステーションでの費用も含まれています。

障害福祉サービスの利用料がなく、その他の支払いも国・自治体からの助成によって少なくなり、医療費はほとんどないことから、筋ジストロフィーを発症しても障害者向けの施設を利用すれば一人で生きていくことができるのです。

医療的ケアに対応した施設が適切

ただ、難病患者では医療的ケアが必要になります。特に筋ジストロフィーでは、人工呼吸器を装着しているなど、どうしても医療への対応が必要不可欠になります。そのため、利用できる施設は限られます。

多くの場合、障害者グループホームは常時の医療的ケアに対応していません。そのため看護師が常駐していたり、訪問看護ステーションと提携していたりする施設を利用しなければいけません。このとき、以下の施設が候補になります。

  • 日中支援型グループホーム
  • 入所施設(障害者支援施設)

こうした施設であれば、筋ジストロフィーであっても医療的ケアに対応可能です。

日中支援型グループホームを利用

障害者グループホームの中でも、重度の障害者向けの施設として日中支援型グループホームがあります。そこで筋ジストロフィーでは、障害者グループホームのうち日中支援型グループホームのみ探せばいいです。

通常、障害者グループホームは一般的な賃貸マンションや一軒家を利用して運営します。そのためバリアフリーではないですし、看護師との連携もありません。そのため一般的な障害者グループホームの利用は不便ですし、医療的ケアも無理なので断られます。

一方で日中支援型グループホームについては、常に支援が必要な重度障害者を最初から想定しています。そのため、筋ジストロフィーのような難病患者であっても利用できるというわけです。

また看護師が常駐している施設があれば、訪問看護ステーションと連携している施設もあり、この場合であれば医療的ケアが必要であっても対応できます。

施設入所支援で入所施設(障害者支援施設)に住む

筋ジストロフィーでもう一つ、入居可能な障害者向けの施設として入所施設(障害者支援施設)があります。障害福祉サービスの中でも、施設入所支援で入所施設に住む場合、重度の人のみ利用できるようになっています。

つまり日中支援型グループホームと同じように、重度の障害者のみ入居可能な施設と考えましょう。

入所施設については、基本的には日中に看護師が常駐しています。そのため、医療的ケアが必要な難病患者であっても施設内で過ごせるようになっています。

障害者グループホームや入所施設について、主に18歳以上・65歳未満の人が新規入居できます。そのため、高齢者でない場合はこうした施設の利用を考えるといいです。

※65歳に達するまでに、ホームヘルプや障害者グループホームなどの障害福祉サービスを利用していた場合、65歳以上の身体障害者であっても障害者グループホームに新たに入居できます。

老人ホームなどの介護施設は利用できるが高額になりやすい

なお、40歳以上であれば有料老人ホームという選択肢もあります。ただ、一般的な老人ホームは高額になりやすいです。

看護師による医療的ケアが可能な有料老人ホームとして、介護付き老人ホームが知られています。ただ、介護付き老人ホームでは月の利用料金が20~30万円になるのは普通です。そのため、お金の余裕がある人のみ利用できます。

また特別養護老人ホームという選択肢はあるものの、どこも空きがありません。また特別養護老人ホームの利用者の多くは90代以上であり、たとえ筋ジストロフィーであっても入居のチャンスは低いと考えましょう。

そのため65歳未満と若い年齢なのであれば、通常は老人ホームではなく、障害者グループホームや入所施設の利用を考えるといいです。

他の都道府県を見据えるのは重要

ただ障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を利用するとはいっても、障害者の数から考えると、どうしても施設数が少なく、空きを見つけにくいです。特に医療的ケアが可能な介護施設は限られます。

そのため、筋ジストロフィーで障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)を探す場合、他の都道府県を含めて探すことを考えましょう。

すべての難病患者について、親亡き後問題や将来の単独生活という問題が存在します。これらの問題を解決するとき、いま住んでいるエリアだけで障害者グループホームを探すのでは、施設の空きを見つけるのは圧倒的に難しいのです。

また障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)について、通常だと新規入居は65歳未満の人が対象になります。それまでに入居していれば65歳以上になっても継続して住み続けることができるものの、高齢者になったら新規入居が難しくなります。

こうした事情も考慮すると、できるだけ早い段階で医療的ケアに対応している施設を見つけ、障害者グループホームや入所施設に住むことが重要とわかります。

筋ジストロフィーで介護施設へ住む

難病患者であれば、障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)の活用を考えましょう。筋ジストロフィーについても、これらの施設は有効です。

筋ジストロフィーであれば、高額な支出は不要です。障害年金のみが収入源であっても、障害者グループホームや入所施設であれば、何も問題なく生活できるようになっています。国や自治体から補助金が出るからです。

ただ、医療的ケアに対応している介護施設でなければいけません。そこで、日中支援型グループホームや障害者支援施設での空きを探すといいです。介護付き有料老人ホームでも医療的ケアは可能ですが、費用は高額であるため、低所得者は障害者グループホームや入所施設が最適です。

筋ジストロフィーのような難病で障害者向けの施設に住むとき、正しい考え方があります。これらの内容を理解して、障害者グループホーム(共同生活援助)や入所施設(障害者支援施設)を活用しましょう。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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