障害者について、自立して生活できるように訓練するための施設として宿泊型自立訓練施設があります。宿泊型自立訓練は障害福祉サービスの一つであり、特定の施設に寝泊まりしながら、社会生活を送れる訓練をします。
宿泊型自立訓練施設を利用することで日常生活の動作を行えるようになれば、その後は実家や障害者グループホームなどで生活するようになります。
このとき、利用料金や利用期間はどのようになっているのでしょうか。また、障害者の中でも対象者は誰なのでしょうか。
障害支援区分なしで症状が軽い人であっても利用できる障害福祉サービスが宿泊型自立訓練です。そこで、宿泊型自立訓練の内容を解説していきます。
もくじ
利用の対象者と目的:知的障害者・精神障害者が活用
まず、どのような人が利用の対象者になるのでしょうか。宿泊型自立訓練は知的障害者や精神障害者が利用するサービスになります。こうした知的障害者や精神障害者について、日常生活動作(ADL)に特化して訓練をするのが宿泊型自立訓練です。
日常生活を送るときに必要な最低限の動作がADLであり、起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容が該当します。
知的障害者や精神障害者の場合、こうした動作が困難になりやすいです。そこで、これらを一人で行えるようにするのが宿泊型自立訓練の目的です。
なお、宿泊型自立訓練は「日中に一般就労や障害福祉サービス(就労移行支援など)を利用している人」が対象になります。こうした日中活動をしている場合、昼間に訓練はできません。
そこで宿泊型自立訓練では泊まる場所を提供し、帰宅後(夜)に生活能力の維持・向上に必要な訓練を行うことになります。
自立訓練(生活訓練)と違い、施設へ宿泊する
なお知的障害者や精神障害者が日常生活動作の訓練をする障害福祉サービスとして、自立訓練(生活訓練)が知られています。生活訓練は昼間にサービス提供が行われる訓練になります。ただ生活訓練とは違い、宿泊型自立訓練は夜に訓練を行うことになります。
また生活訓練では、寝泊まりする場所は自宅や障害者グループホームなどであり、自宅や障害者グループホームなどから訓練施設に通うのが一般的です。それに対して宿泊型自立訓練では、寝泊まりする場所が用意されているため、施設で訓練と宿泊を行います。
このように考えると、日常生活動作の維持・向上という目的は同じであるものの、施設の形態が大きく異なるとわかります。
サービス料金は1割負担であり、月の上限もある
なおすべての障害福祉サービスに共通しますが、サービス料は格安となりやすいです。宿泊型自立訓練を含め、障害福祉サービスの利用料金は1割負担です。
また、障害福祉サービスの利用では月の負担上限額があります。以下のようになっています。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
障害者で住民税の非課税世帯や生活保護などの低所得者の場合、サービス料は無料です。またある程度の収入があっても負担上限額があります。そのため宿泊型自立訓練について、サービス料の負担はそこまで大きくありません。
家賃や食費など、体験利用を含め費用負担は他にも存在する
ただ他の障害福祉サービスとは異なり、宿泊型自立訓練施設を利用するためには、サービス料だけではなくその他の費用もかかります。以下のような費用になります。
- 家賃:月に3~5万円
- 水道光熱費:月に約1万5000円
- 食費:300~500円/回
宿泊型自立訓練施設によって値段は異なりますが、障害福祉サービス料とは別に、ザックリと月に7~8万円ほどの支出があると考えましょう。また体験利用などもできます。この場合、一泊で2000~3000円ほどの費用になります。
家賃や水道光熱費、食費などの費用も考慮する必要があり、宿泊型自立訓練施設によって料金が異なるため、こうしたお金についても理解しておく必要があります。
サービスの利用期間は原則2年
なお社会生活を送れるようにするための訓練施設であるため、ずっと利用できるわけではありません。宿泊型自立訓練には利用期間が設定されており、以下のようになっています。
- 利用期間2年(長期入院は3年)
このとき、宿泊型自立訓練を開始して1年ごとに利用継続の必要性を確認し、必要であれば更新していくことになります。
・延長は1年間の1回のみ
なお、中には2年間では十分な効果を得られない人がいるかもしれません。その場合、延長することによって効果が見込まれる場合に最長1年間(原則1回のみ)の延長が可能です。2回目の延長は基本的にできないため、1回の延長で日常生活動作を行えるようにする必要があります。
障害支援区分なしでも利用可能
なお障害福祉サービスを利用するとき、障害支援区分が重要になりやすいです。区分には1~6まであり、数字が大きいほど重度になります。
このとき、宿泊型自立訓練は障害支援区分なしであっても、知的障害者や精神障害者であれば利用できます。事実、宿泊型自立訓練を利用している人の約7割は区分なしです。また、区分の数字が大きくなるほど宿泊型自立訓練の利用者割合は少なくなります。
こうした事実からわかる通り、宿泊型自立訓練は軽度の知的障害者や精神障害者の利用がメインであり、将来の自立を考えている人が活用する障害福祉サービスとなります。
宿泊型自立訓練の役割や費用を確認する
障害福祉サービスの一つが宿泊型自立訓練であり、知的障害者や精神障害者が将来の自立を目指して利用できます。障害支援区分なしでも利用できるため、症状が軽い障害者であっても活用できます。
生活訓練とは違い、日中活動をしている人を対象にして夜に日常生活動作の訓練を行います。こうして、そうじや食事、入浴など社会生活で必要な動作を学びます。
このとき、すべての障害福祉サービスに共通しますがサービス料は格安です。ただ宿泊型自立訓練の場合、実際に寝泊まりするので家賃が必要になります。それに加えて水道光熱費や食費が発生するため、費用負担はそれなりに大きくなります。
障害福祉サービスを利用するとき、その役割や目的、対象者を学ぶことは重要です。就労やその他の日中活動をしている知的障害者・精神障害者について、泊まりながら日常生活動作の訓練をしたい場合は宿泊型自立訓練施設を活用しましょう。
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