会社で働いている人について、仕事が原因で傷病を負ってしまった場合、労災として障害補償年金(障害給付、労災年金)が支給されます。一方で障害者については、障害年金を受給できます。
それでは労災によるお金と障害年金によるお金について、両方を受給することはできるのでしょうか。これについては支給調整されることがあれば、両方を満額受け取れることもあります。つまり、状況によって判断が異なります。
なお労災については、うつ病などストレスが原因の場合についても対象になります。そこで、制度の中身を理解するのは重要です。
それでは労災による障害補償年金と障害年金はどのように考えればいいのでしょうか。併給調整や両方を満額受け取れるケースについて解説していきます。
もくじ
労災と障害年金はまったく異なる制度
業務中や通勤の際に病気・ケガをしてしまった場合、給付される制度に労災保険があります。労災保険には、休業中の賃金補償(休業補償)や症状固定した場合の補償(障害補償年金)も含まれています。
仕事が原因によって病気やケガをすると、すぐには復帰できませんし、その後の就労も困難になります。そこで、労災による休業補償や障害補償年金を利用する人は多いです。社員のいる会社について、すべての法人で労災保険への加入が義務であるため、あらゆる従業員で利用できる制度です。
ちなみに、労災保険は正社員だけでなくアルバイト・パートや契約社員、日雇い労働者を含めて、働いている人すべてが対象になります。
こうした労災保険とはまったく別の制度が障害年金です。労災保険は国の制度ですが、障害年金は日本年金機構が管理しています。まったく別の制度であるため、労災と障害年金を併給している人もいます。なお病気やケガによって障害者になった場合、年金として受給できる制度が障害年金です。
同じ傷病での受給では併給調整される
なお労災と障害年金について、同じ傷病が原因による受給では併給調整されます。別の制度であるため、両方に対して請求するのは可能です。ただ両方を満額支給されるわけではなく、支給調整があるのです。
障害年金については、すべての人で全額を支給されます。ただ労災での障害補償年金(障害給付)と障害年金の両方を受け取っている場合、労災に対して支給調整されます。以下のような減額があります。
等級 | 労災給付の減額率 | |
障害基礎年金 | 障害厚生年金 | |
1級 | 12% | 27% |
2級 | 12% | 27% |
3級 | - | 17% |
障害厚生年金1~2級の場合、労災給付は27%減額となります。一方で障害厚生年金3級では、労災給付が17%減額です。障害基礎年金1~2級は12%の減額となります。
受け取っている障害年金の種類によって減額率は異なりますが、労災と障害年金で同じ傷病の場合、いずれにしてもこうした併給調整があります。
・併給調整となる理由
それでは、なぜ支給調整があるのでしょうか。この理由として、労災と障害年金の両方を満額受給する場合、働いているときよりも高額なお金を受給することになるからです。
障害給付の受給者は障害年金の申請を必ず行うべき
先ほど解説した支給調整があるとしても、障害年金を受給できる要件を満たしている場合、障害年金へ申請しましょう。理由は単純であり、その分だけもらえるお金が増えるからです。
- 障害給付のみ
- 障害給付(併給調整あり) + 障害年金
この2つを比べると、「障害給付(併給調整あり) + 障害年金」のほうが支給される金額は多くなります。そのため支給額を多くするため、障害補償年金と障害年金の両方を利用するのは大きな意味があります。
20歳前障害の障害年金は支給停止となる
なお唯一、注意しなければいけないのは20歳前障害の人です。障害年金を受給している人の中には、20歳に到達する前に身体障害者や知的障害者、精神障害者になってしまった人がいます。この場合、国民健康保険料をまったく納付していないにも関わらず、障害基礎年金の受給が可能です。
こうした20歳前傷病の人について、労災の障害補償年金と障害年金の両方を受給できる権利がある場合、障害年金が支給停止になります(労災の休業補償給付を受けている場合についても、障害年金は全額停止になります)。
労災の障害補償年金と障害年金について、同じ傷病で受給しているのか、それとも異なる病気・ケガが原因なのかに関係なく、20歳前傷病の場合、あらゆるケースで障害給付の受給によって障害年金の支給がストップとなります。
障害基礎年金が支給停止になるとはいっても、通常は労災による障害給付のほうが金額は大きくなります。他の人のように「労災の障害補償年金(労災年金)+障害年金」を利用できないものの、障害給付を受け取れる意味は大きいです。
別の傷病の場合では減額されず、全額が支給される
なお、20歳前傷病の人は前述の通り対象外になりますが、別の傷病で労災年金と障害年金を受給する場合、両方を全額受給できます。
例えば、以下のケースを考えてみましょう。
- 腕を切断:障害年金を受給
- その後、ストレスでうつ病を発症:労災年金を受給
この場合、障害補償年金(労災年金)と障害年金の両方を受け取ることができます。支給に当たり、減額されることはありません。
仕事が原因のうつ病も労災の認定基準に入る
なお労災認定について、うつ病などの精神疾患も含まれます。これについては、国から出されている資料からも明らかです。
※厚生労働省:精神障害の労災認定
仕事に関連して発症する精神障害として、うつ病や急性ストレス反応が上の資料に記されています。そのため、こうした精神疾患については特に労災認定されやすいです。
一方で上記資料に記されている通り、精神疾患の中でも認知症やアルコール・薬物による障害は労災認定されません。ただ業務と関係ある精神疾患については、労災認定が可能になります。
病気・ケガでの労災年金と障害年金を活用する
障害者となってしまった場合、さまざまな給付制度を利用できます。そうした制度として労災での障害補償年金(障害給付、労災年金)があります。また、障害者であれば障害年金へ申請できます。
労災年金と障害年金は両方とも利用できます。支給調整はあるものの、障害補償年金と障害年金の両方を利用すれば、それぞれを単独で受け取るよりも支給額は大きくなります。そのため労災年金を受け取っていても、障害年金へ申請しましょう。
なお例外として20歳前傷病があります。20歳前障害の場合、労災の障害補償年金の受給によって、障害年金は支給停止になります。
ただ多くの人にとって、仕事での病気やケガについて、労災年金と障害年金は有効です。そこでこうした制度を活用して、病気やケガの後であっても定期的にお金が支給されるように申請しましょう。
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