障害年金を申請することにより、定期的にお金を受給できるようになります。このとき、ケガや病気を生じて障害者になった後、すぐに障害年金に申請できるわけではありません。ある程度の時間が経過する必要があります。
障害年金に申請できる日を障害認定日といいます。つまり、障害認定日の後でなければ障害年金への申請ができません。具体的には、初診日から1年6か月後に障害年金への申請が可能です。
ただ場合によっては、1年6か月が経過する前に申請できるケースもあります。身体障害者であれば、障害年金へ素早く申請できる場合があるのです。
それでは、障害年金での障害認定日はどのようになっているのでしょうか。障害年金を申請できるタイミングについて解説していきます。
もくじ
初診日から1年6か月後に障害年金へ申請可能
すべての障害年金申請について、初診日の確定が必須になります。診断名が確定した医療機関ではなく、障害の原因となったケガ・病気で初めて受診した病院が重要になります。
例えば体調不良でAクリニックを受診した後、原因がわからずB病院へ紹介状を書いてもらい、重大な疾患があるとわかって障害者と認定されたとします。この場合、明確な診断名がわかったB病院ではなく、Aクリニックでの最初の受診日が初診日となります。
初診日が確定しないと、障害年金を受け取ることができません。また初診日がわかっても、すぐに障害年金へ申請できません。原則、初診日から1年6か月後(1年半後)が障害認定日となるからです。
通常、病気は時間経過と共に症状が軽くなっていきます。一方で障害者の場合、ある程度の時間が経過しても症状が悪い状態である必要があります。つまり、症状固定するまでの期間が1年6か月なのです。なお、障害認定日から1年以内に請求することを認定日請求といいます。
知的障害者の場合、生まれた日が初診日であるため、すべての人で既に1年6か月が経過しています。一方で身体障害者と精神障害者については、初診日から1年半が経過しないと障害年金に申請できないと考えましょう。
・幼少期や子供のときの障害が原因の場合、認定日は20歳に達した日
なお知的障害者や幼少期・子供のときなど、20歳よりもかなり前の段階でケガや病気を背負い、障害者になった人もいます。この場合、20歳に達した日が障害認定日になります。障害年金を請求できる年齢が20歳だからです。
初診日が20歳よりもかなり前の場合、20歳になった段階で障害年金に申請できるようになります。
後で症状が悪化した場合は事後重症請求
なお場合によっては、障害認定日に症状が重くなく、障害者として認定されない人もいます。例えば糖尿病は何年もの時間をかけて徐々に症状が悪化していくため、糖尿病の初診日から1年6か月が経過した時点では、健常者と同じ人がほとんどです。
ただ時間経過と共に症状が悪化していき、「血糖コントロールが不良」「糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症などの合併症を発症した」などの場合、障害年金を受け取れるようになります。このように、認定日以降に症状が悪化して障害年金を請求する場合、事後重症請求といいます。
つまり「初診日の1年6か月後から請求できる」というケースではなく、「症状悪化によっていますぐ請求する」というケースが事後重症請求です。
「初診日から1年半が経過した後に障害年金へ申請する」という意味では、認定日請求も事後重症請求も同じです。ただ、認定日請求と事後重症請求では申請方法が少し異なるため、どの請求法になるのか認識しておく必要があります。
認定日の数か月前には初診日や診断書などの準備をするべき
なお、障害年金の準備をして申請を行い、実際に審査結果が下りて受給するまで、早くても半年ほどかかります。このとき、書類の準備で早くても1~2か月の時間を取られるのが一般的です。そのため素早く障害年金を受け取りたい場合、早めに準備に取り掛かりましょう。
前述の通り、障害年金の審査では初診日の確定が必須です。そのため、該当の障害で最初に受診した医療機関を特定し、初診日の証明書を入手する必要があります。
またカルテが残っていなかったり、対象の医療機関が廃業していたりする場合、他の方法によって初診日を特定する必要があります。
さらに、医師に診断書を書いてもらうにしても、実際に発行してもらうには受け取りまでに2週間以上かかるのが普通です。
診断書は「障害認定日以後3ヵ月以内の症状」が記載された内容を記してもらう必要があるため、診断書の発行は認定日前後が適切です。そこで事前に医師へ症状や日常生活で困っていることを伝えておけば、診断書の発行はスムーズです。
それに加えて、障害者本人(または家族などの代理人)が申立書(初診日から現在までの就労や生活状況の変化)を作成する必要があります。以下は申立書の記入例です。
こうした準備が必要であるため、障害認定日を待って障害年金の準備をしてはいけません。そうではなく、認定日よりも前に障害年金の申請書類に関する準備を進めましょう。
障害認定日から1年以内に申請するほうが楽
なお障害認定日を利用して障害年金の請求をする場合、できるだけ認定日請求をしましょう。つまり、認定日から1年以内に必要書類を提出するといいです。
認定日請求の場合、前述の通り障害認定日から3か月以内の診断書を1枚添付することになります。一方で認定日から1年以上が経過して書類を提出する人もいます。
この場合、「障害認定日の診断書」に加えて、「現在の診断書(書類提出日から3か月以内に発行)」の診断書が必要になります。
- 障害認定日から1年以内に提出:必要な診断書は1枚
- 障害認定日から1年経過後に提出:必要な診断書は2枚
また、障害年金では病歴・就労状況等申立書を提出する必要があります。障害認定日から1年以内に申請する場合、1年以上が経過した後に書類を提出する場合に比べて、記載するべき内容が少なくなります。
こうしたさまざまなことを考えると、可能な限り「障害認定日より1年以内に障害年金へ申請する」ことを考えましょう。
症状固定(傷病が治った)の場合はすぐに請求可能
なお初診日から1年半が経過する必要があるのは、あくまでも「原則」です。つまり、中には例外があります。具体的には、症状固定した場合(傷病が治った場合)は通常よりも早い段階で障害年金へ請求できます。
「傷病が治った」というと、完全に健康な状態に戻るケースを想定してしまいます。ただ障害年金での「傷病が治った」というのは、症状固定によって障害の程度が良くも悪くもならない状態と考えましょう。つまり、健康な状態に戻るのが「傷病が治った」ではなく、障害が体に完全に残った状態を指します。
それでは、どのような場合に通常の障害認定日よりも前に障害年金の申請が可能なのでしょうか。これには以下のケースが該当します。
内容 | 障害認定日 |
人工透析療法 | 透析開始日から3か月経過 |
人工骨頭や人工関節を挿入置換 | 挿入置換した日 |
心臓ペースメーカーや人工弁 | 装着した日 |
人工肛門の造設、尿路変更術 | 造設・手術日から6か月経過 |
新膀胱の増設 | 造設した日 |
四肢の切断または離断 | 切断または離断した日 |
喉頭全摘出 | 全摘出した日 |
在宅酸素療法 | 在宅酸素療法の開始日 |
遷延性植物状態 | 植物状態になった日から3か月経過 |
脳血管障害 | 初診日より6カ月経過 |
※上記のほかにも適用されるケースがあります。
精神障害者ではなく、必ず身体障害者である必要があります。精神疾患(統合失調症、うつ病など)は時間経過によって症状が変化するため、1年6か月が必ず経過する必要があります。また身体障害者の中でも、上の表にある内容が障害認定日の例外に該当します。
例えば足を切断した場合、後になって足が生えてくることはありません。そのため、それ以上は症状が良くなることがなければ、悪くなることもありません。そのため、四肢切断では切断手術をした日が障害認定日になります。
症状固定日は障害の内容によって少し異なる
なお先ほどの表をみてわかる通り、例外規定の中でも、どのタイミングが障害認定日なのかが異なります。
例えば四肢切断の場合、前述の通り手術をした日(切断日)が症状固定日(治った日)になります。一方で人工透析については、人工透析を開始した日から3か月が経過することで症状固定となり、障害年金に申し込みできます。
すべての身体障害について、手術日や処置開始日が認定日になるとは限りません。障害の内容によって、認定日が数か月後になるのはよくあります。
ただいずれにしても、ケガや病気が発生して1年6か月が経過する必要はなく、通常よりも早い段階で障害年金へ申請できるのは共通しています。そのため障害認定日の例外に該当する場合、どれに当てはまるのか確認して申請しましょう。
障害認定日の意味を学び、早めに準備を行う
障害年金で重要なポイントの一つに障害認定日があります。ケガや病気を発症し、障害者になったとしても、すぐに障害年金を受給できるわけではありません。障害固定する必要があり、そのための期間として、初診日から1年6か月が経過する必要があります。
初診日から1年半が経過した日を障害認定日といいます。この時点から障害年金の申請が可能であり、「障害認定日時点についての障害の程度がわかる診断書」を医師に書いてもらいましょう。
早めに障害年金の申請をするのは重要です。認定日申請ではなく、障害認定日から1年以上が経過した段階で申請する場合、医師の診断書が2枚必要になるからです。また時間が経過するほど、病歴・就労状況等申立書に記す内容も多くなって面倒です。
なお場合によっては、身体障害者で症状固定が早くなるケースがあります。これについては障害の内容ごとに異なるため確認しましょう。いずれにしても障害認定日は障害年金の申請で重要であり、素早く申請できるように早めに必要書類の準備をしておくといいです。
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