成人・大人の障害者向けのサービスに生活介護(デイサービス)があります。自宅から通うことにより、日中のみ障害者施設で過ごすのです。
ただ障害福祉サービスを利用する場合、費用が必要です。それでは、いくらの料金になるのでしょうか。また利用するには対象者が存在し、すべての障害者が利用できるわけではありません。利用には障害支援区分が重要です。
デイサービスを利用する目的としては、介護負担の軽減やリハビリなどさまざまな理由があります。障害者施設を利用することにより、障害者自身や家族の生活の質を向上させるのです。
それでは、成人・大人の障害者が生活介護を利用するときの流れや内容、料金はどうなっているのでしょうか。障害者のデイサービスの中身を解説していきます。
もくじ
自宅から施設へ通う障害者の通所型サービスとは
障害福祉サービスの中には、自宅から障害者施設へ出向く通所型サービスが存在します。施設へ出向くことによって入浴や排せつ、食事などの介助が行われるのです。
また調理、洗濯、掃除を含めた日常生活・地域生活・職業訓練などがデイサービスで実施されます。例えば社会マナーやパソコン操作を教わったり、陶芸・習字などの創作活動をしたりすることになります。また施設の清掃活動を通して、そうじの大切さを学ぶこともあります。
障害者の重症度や車いすの有無など、障害者の状況によって提供されるサービス内容は異なるものの、いずれにしても日中にさまざまな活動を提供することによって知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の自立支援を促すのが生活介護です。
すべての障害者施設について、障害者の自立を目的としています。また、障害の程度が軽度でも重度でも仕事をするのが一般的です。そこで自分で行えることを増やし、社会で生活できるように支援するのが施設の主な目的・役割となります。
レクリエーションやリハビリも行われる
このとき、日によってレクリエーションが行われます。レクリエーションの内容は障害者施設によって異なりますが、例えば以下になります。
- ボーリング
- 散歩
- カードゲーム
- ストレッチ
- ダンス
- 音楽鑑賞
- 料理
また、施設によっては積極的にリハビリを提供することもあります。特に身体障害者や難病患者の場合、単なるレクリエーションよりもリハビリのほうが重要です。
高齢者向けの通所リハビリテーションをデイケアといい、障害者向けでは自立訓練と呼びます。いずれにしても、施設によってはリハビリデイサービスが可能です。
どのようなレクリエーションやリハビリを提供しているのかについては、デイサービスによって異なるので事前の確認が必要です。
生活介護で行われる1日の流れ
それでは、障害者が生活介護を利用するときはどのような流れになるのでしょうか。利用時間によっても異なりますが、デイサービスを1日利用する場合、以下のようになります。
- 10:00:通所
- 10:00~:午前の活動
- 12:00:昼食
- 13:00~:午後の活動
- 16:00:帰宅
通常、朝に出向いて夕方に家へ帰ることになります。
知的障害者や精神障害者など、障害者で利用可能
それでは、どのような人でデイサービスを利用できるのでしょうか。障害福祉サービスを利用できるのは知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者です。こうした人であれば、以下のような障害者手帳を保有することになります。
- 身体障害者手帳:体の機能に障害のある人
- 療育手帳:知的障害のある人
- 精神障害者保健福祉手帳:精神障害のある人
障害福祉サービスを利用する場合、ほとんどのケースでこれら障害者手帳の提示を求められます。既に保有しているなら問題ないですが、まだ保有していない場合は役所で申請するといいです。
なお精神障害者については、初診日から6か月以上が経過していないと精神障害者保健福祉手帳の申請ができないので注意しましょう。
生活介護の利用対象者と障害支援区分
ただ障害者であれば、全員が生活介護を利用できるわけではありません。ある程度の障害の重さがないと利用できないのです。
障害福祉サービスを利用するとき、障害支援区分が重要です。区分は1~6まであり、数字が大きいほど重度です。
このときデイサービスを利用するためには、以下の人でなければいけません。
- 障害支援区分が3以上(50歳以上の人は区分2以上)
※出典:厚生労働省
区分3以上の人が利用対象者であるため、軽度の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者は利用できません。あくまでも、中度または重度の障害者のみ生活介護を利用できます。
なお実際に利用する場合、区分認定に加えてサービス利用の決定を受け、障害福祉サービス受給者証を交付してもらいましょう。
障害福祉サービスを受けるために必須となるため、この書類を利用することでデイサービスに限らず、ほかのサービスの利用も可能になります。
障害福祉サービスの利用料金は1割負担だが、総額は所得で変わる
それでは、障害者がデイサービスを利用するときの金額はいくらになるのでしょうか。障害福祉サービスを利用するとき、利用料金は1割負担になります。
実際の負担料金は区分やサービス内容によって異なりますが、一回の利用につき600~1000円ほどの費用負担になります。
ただ実際の総額料金については、所得によって変化します。障害福祉サービスを利用するとき、負担上限額があります。以下のようになります。
状態 | 負担上限額 |
生活保護 | 0円 |
住民税の非課税世帯 | 0円 |
世帯年収600万円以下 | 9,300円 |
世帯年収600万円超 | 37,200円 |
複数の障害福祉サービスを利用している場合、月の負担上限額に達していることがよくあります。そのため親が働いている場合、月の負担額は9,300円または37,200円となります。
基本的には1割負担であるものの、世帯年収によって月の支払上限額が異なるため、料金は親の所得に依存します。
障害者グループホームなどで障害者が単独生活をする場合、必然的に親とは別世帯になるため、たとえ親が高年収であっても障害者本人は住民税の非課税世帯となって障害福祉サービスが無料です。ただデイサービスの場合、通常は親と同じ世帯になるため、どうしても利用料金が発生します。
※障害者デイサービスの中でも、看護師などが在籍している医療型では異なる料金となります。上記については、一般的な障害者向け生活介護を利用するときの費用です。
昼食・弁当は提供され、食費は実費となる
なおすべての障害者施設に共通しますが、食費など障害福祉サービスとは関係ない費用はすべて実費になります。
デイサービスの利用時間が長めの場合、どの生活介護も昼食を提供します。施設で作るのか、それとも弁当になるのかは施設によって異なるものの、いずれにしても職員が見守る中での昼食となります。
食費は生活介護施設によって異なりますが、障害福祉サービスの利用料に加えて、昼食代(または弁当代)が加わると考えましょう。
なお食費が実費になるのは、デイサービスに限らず障害者グループホーム(共同生活援助)など、その他の障害者施設でも同様です。
65歳以上で利用できなくなり、介護保険サービスへ移行する
ちなみに、障害者で大きな問題になるのが65歳の壁です。65歳になった瞬間に障害福祉サービスではなく、介護保険サービスへ移行します。つまり、いま利用しているデイサービスを利用できなくなります。
一方、世の中には高齢者向けのデイサービスがたくさん存在します。そこで65歳になると障害者向けの生活介護施設の利用をやめ、高齢者向けのデイサービス(通所介護)を提供している施設へ移る必要があります。
ただ、障害者向けのデイサービス(生活介護)も高齢者向けのデイサービス(通所介護)も提供する内容は似ています。このとき、年齢を理由に利用する施設を変更するのは好ましくありません。
そのため場合によっては、一つの施設で障害者向けのデイサービスと高齢者向けのデイサービスを提供している施設があります。こうした施設を共生型サービスといいます。共生型サービスを提供する施設であれば、年齢を理由に施設を変更する必要はありません。
ホームヘルプやデイサービス、ショートステイの場合、共生型サービスが認められています。
ただ実際には共生型サービスは少なく、障害者向けのデイサービスに特化している施設がほとんどです。そのため、65歳になると多くのケースで施設を変更しなければいけないのは理解しましょう。
障害者グループホームであれば、65歳になるまでに入居すれば、65歳以上になってもずっと住み続けることができます。一方でデイサービスについては、年齢(65歳)という明確な利用制限があるのです。障害福祉サービスの種類や施設の内容によって、65歳以上で利用し続けられるかどうかが異なります。
参考までに、すべての成人向け障害福祉サービスは18歳以上で利用できます。障害児(子供)は放課後等デイサービスとなりますが、成人・大人になると生活介護施設の利用になるのです。
障害者向けのデイサービスを利用する
障害者であれば、成人になってもデイサービスを利用できます。障害福祉サービスの一つに生活介護があり、社会的マナーや家事・そうじなどの指導をしてもらえます。また、レクリエーションやリハビリを含めて提供可能なのがデイサービスです。
生活介護を利用するためには、障害区分3以上である必要があります。つまり、重度の障害者のみ利用できます。
なお利用料金は1割負担となるものの、それよりも重要なのは障害福祉サービスの月の負担上限額です。上限となる費用は世帯年収によって変化するため、親の収入合計が重要になります。
障害者施設に住むのではなく、自宅から障害者施設へ通うケースもあります。こうした通所型の障害者サービスを利用したい場合、生活介護(デイサービス)を活用しましょう。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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