重度障害者であれば、多くの人が生活介護を利用します。このとき、一つの生活介護施設に加えて他の障害福祉サービスを複数の施設で利用できないかと考えるのは普通です。

生活介護に加えて複数事業所を利用するとき、特定の障害福祉サービスであれば2か所利用が可能です。ただ日中活動系の障害福祉サービスについては、多くで生活介護と併用できません。

それでは、生活介護の利用者が他の障害福祉サービスを含めて2か所利用するにはどうすればいいのでしょうか。生活介護で複数事務所を利用するときの考え方を解説していきます。

生活介護の複数利用は可能

障害福祉サービスの複数利用について、まずは「2か所の生活介護事業所を利用する」ことについて考えていきましょう。

通常、生活介護は重度障害者が利用します。そのため利用する生活介護の事業所は一つがいいです。障害者が環境を変えるのは好ましくないため、一つの施設だけを利用し続けるのです。ただ複数の生活介護施設を利用するのは可能です。例えば、以下のようになります。

  • 生活介護A:月~水曜日
  • 生活介護B:木~金曜日

生活介護によって「日中活動の内容」「入浴サービスの有無」など、細かいサービス内容が異なります。そのため、必要であれば複数事務所を利用してもいいです。

他の日中活動は基本的に併用できない

なお、生活介護は平日の昼間に実施される日中活動になります。このとき、原則として生活介護と他の種類の日中活動を併用することはできません。そのため生活介護を利用している人について、以下の障害福祉サービスを利用できないと考えましょう。

  • 就労継続支援A型
  • 就労移行支援
  • 自立訓練(機能訓練・生活訓練)

就労継続支援A型では雇用契約を結ぶ必要があります。そのため、就労継続支援A型の利用に集中しなければいけません。

また就労移行支援や自立訓練は利用期間が決められており、短期間で集中して利用する必要があります。そのため、生活介護との併用はできません。

就労継続支援B型であれば併用可能

ただ同じ日中活動系の障害福祉サービスではあっても、生活介護と就労継続支援B型(就労B)であれば、両者の併用が可能です。

雇用契約なしで作業所にて働く公的サービスが就労継続支援B型です。重度障害者について、毎日の労働は難しいものの、週のうち数日であれば就労Bに通える人はいます。この場合、週のうち生活介護へ通う日があるものの、いくつかの日について就労継続支援B型を利用するのです。

重度障害者で生活介護から就労継続支援B型へいきなり切り替えるのは大変です。そこで、生活介護を利用しながら就労Bにて労働するのは普通です。

時間単位の障害福祉サービスは併用可能

なお障害福祉サービスには、時間単位で利用するサービスも存在します。つまり、1日のうち数時間だけ利用するのです。

障害者グループホームを利用している場合、そこの介護スタッフが障害者の要望に対応すればいいため、時間単位の障害福祉サービスを利用する意味はないです。一方で自宅から生活介護へ通っている障害者であれば、時間単位で利用される公的サービスを活用できます。

生活介護は日中活動系の障害福祉サービスであり、実家暮らしや賃貸物件にて一人暮らしの人が時間単位の障害者サービスを併用するのは問題ありません。こうした時間単位で活用される障害者向けサービスには、例えば以下があります。

  • 居宅介護(ホームヘルプ)
  • 移動支援
  • 日中一時支援

生活介護に加えてこれらの障害者向けサービスを利用したい場合、役所で相談することで生活介護と併用するといいです。

65歳以上の高齢者は通所介護へ切り替え

なお生活介護に加えて他のサービスの2か所利用を考えるとき、通所介護との併用を考える人もいます。65歳未満の障害者向けデイサービスが「障害福祉サービスの生活介護」であり、65歳以上の高齢者向けデイサービスが「介護保険サービスの通所介護」です。

ただ、生活介護と通所介護の併用はできません。障害者が65歳以上になると、強制的に介護保険へ切り替えとなるからです。障害福祉サービスと介護保険サービスを比べると、以下のように似ているサービスがあります。

デイサービスについて、障害者向け(18~64歳)と老人向け(65歳以上)は内容が似ています。そこで障害者について、65歳以上になると生活介護を利用できなくなり、老人向けの通所介護を利用しなければいけません。

65歳以上でデイサービスを利用したいとき、生活介護を利用できません。その代わり就労継続支援B型や移動支援など、障害者独自のサービス内容については、老人向けの通所介護(デイサービス)と併用が可能です。

・デイサービスは共生型サービスなら継続利用可能

ちなみに、デイサービスを提供する事業所の中には「障害者向けの生活介護と老人向けの通所介護の両方を利用できる施設」があります。こうした事業所の場合、どちらにも対応しているので例外的に65歳以上であっても継続して同じ施設にてデイサービスの利用が可能です。

障害者向け(18~64歳)と老人向け(65歳以上)の両方に対応しているサービスを共生型サービスといいます。生活介護と通所介護を併用するわけではないものの、共生型サービスの事業所であれば、年齢を理由に利用する事業所を変更しなくて済みます。

生活介護と他のサービスを複数利用する

生活介護は重度障害者が利用します。また、こうした障害者が他の障害福祉サービスを利用したいと考えるのは普通です。このとき必要であれば、生活介護を提供する複数の事業所を利用できます。

一方で日中活動系の障害福祉サービスについては、生活介護と併用できません。ただ就労継続支援B型については、生活介護と併用することで2か所利用が可能です。また時間単位で利用する居宅介護や移動支援、日中一時支援などについても複数事業所と併用できます。

なお生活介護と通所介護を2か所利用できないかと考える人は多いです。同じデイサービスではあるものの、両者は併用できません。65歳以上の高齢者は必ず介護保険サービスが優先され、生活介護を利用できなくなります。ただ共生型サービスの事業所であれば、例外的に年齢を理由に事業所を変更しなくてもいいです。

生活介護の利用者について、場合によっては障害福祉サービスの複数利用が可能です。そのため必要であれば、生活介護と他の障害者向けサービスを併用しましょう。

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