障害者の場合、障害福祉サービスを利用することがひんぱんにあります。居宅介護や障害者グループホームなど、これらのサービスを利用することによって障害者は安心して生活できます。

ただ、こうした障害福祉サービスの費用が高額だと利用しにくいです。そのため障害福祉サービスでは無料で利用できたり、月の上限負担額が決められていたりします。これを高額障害福祉サービス等給付費といいます。

高額障害福祉サービス等給付費によって障害者の負担額は非常に少なくなります。そのため、すべての障害者が利用しなければいけません。

それでは、どのように高額障害福祉サービス等給付費を利用すればいいのでしょうか。障害者本人や家族は必ず知るべき内容であり、こうした給付制度をうまく利用しましょう。

高額障害福祉サービス等給付費による給付制度

あらゆる障害者で障害福祉サービスを利用することになります。障害福祉サービスには以下の種類があります。

  • 居宅介護・重度訪問介護
  • ショートステイ(短期入所)
  • デイサービス(生活介護)
  • 障害者グループホーム(共同生活援助)
  • 就労移行支援

一部を記しましたが、例えばこれらの種類があります。ただ、こうしたサービスを利用するには当然ながらお金がかかります。一方、障害者は低所得者だったり、障害者をもつ家族にとって負担が大きかったりします。

そこで、こうした障害者は国からの給付制度を利用できます。それが高額障害福祉サービス等給付費です。

障害福祉サービスの負担上限額は無料や月37,200円など

それでは、実際の負担上限額はどれくらいに抑えられるのでしょうか。世帯の所得額によって変化しますが、以下のようになっています。

状態負担上限額
生活保護0円
住民税の非課税世帯0円
世帯年収600万円以下9,300円
世帯年収600万円超37,200円

生活保護や住民税の非課税世帯の場合、障害福祉サービスは無料です。そのため、低所得者が障害福祉サービスの利用料を気にする必要はありません。

・年収600万円以下は月9,300円の負担が上限

一方で「親が障害をもつ子供を支えている」など、同一世帯で収入がある場合、生活保護や住民税の非課税世帯ではありません。この場合、負担上限額は存在するものの、それでも障害福祉サービスの利用料を払わなければいけません。

このとき、以下のように考えましょう。

  • 年収600万円以下:負担上限額は月9,300円
  • 年収600万円超:負担上限額は月37,200円

大まかな世帯年収の基準は600万円であり、これを境に負担上限額が変化します。

実際の負担額と補助額の事例・計算例

それでは、高額障害福祉サービス等給付費を利用することでどのようなお金の支払いになるのでしょうか。例えば、以下のケースを考えてみましょう。

  • 世帯年収1000万円:月の負担上限額は37,200円
  • 月の障害福祉サービスの支払額:50,000円

この場合、高額障害福祉サービス等給付費によって差額の12,800円(50,000 − 37,200 = 12,800)が補助額として給付されます。こうして、一定額よりも多くお金を支払うことはなくなります。

障害者グループホームなどで一人暮らしすれば無料

なお知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の場合、実家を離れて一人暮らしをするケースがよくあります。これには、「家族の介護負担を減らす」という目的だけでなく、障害者グループホームや入所施設などを利用するほうが費用負担が低くなるという理由もあります。

多くの場合、障害者施設に住むことで施設に住民票を移します。こうして親と子供(障害者)で世帯所得が分離され、障害者は住民税の非課税世帯に該当することになります。

世帯所得が高い場合、先ほど説明した通り障害福祉サービスの負担上限額は月37,200円(または月9,300円)です。ただ、障害者グループホームや入所施設で暮らせば、住民税の非課税世帯に該当するので障害福祉サービスが無料になるのです。それに加えて、親の介護負担まで軽減されます。

なお障害者グループホームを利用する場合、国や自治体から家賃補助があるため、無料または月1万円台の家賃になります。そのため実質的な支払いは食費や水道光熱費だけであり、障害年金だけでも問題なく生活できます。

こうした理由もあり、障害者グループホームや入所施設(障害者支援施設)での生活を開始する障害者は非常に多いです。

同一世帯の利用額合計が対象になる

なお対象者は少ないですが、高額障害福祉サービス等給付費は同一世帯の利用合計で考えます。例えば月の負担上限額が37,200円であり、以下のケースだとします。

  • 障害者A:月の支払額が40,000円
  • 障害者B:月の支払額が20,000円

このように同じ世帯に障害者が2人いて、月の支払合計額が60,000円の場合、差額の22,800円(60,000 − 37,200 = 22,800)が給付金として支給されます。

いずれにしても、高額障害福祉サービス等給付費は世帯単位で考えます。一つの世帯を基準にして、負担上限額よりも多く支払っているかどうかが給付されるかどうかの判断となります。

申請書やマイナンバーを提出し、利用を開始する

そこで障害者本人または家族は高額障害福祉サービス等給付費を利用できるようにしましょう。役所へ出向き、申請書やマイナンバーを提出することによって給付を開始するのです。なお提出物についてはマイナンバーカードに限らず、マイナンバー(個人番号)が記載されている住民票でも問題ありません。

実際の申請書は役所で入手できるため、ひとまず役所へ出向けばいいです。

なお、一度申請をすればあとは自動更新になります。毎年、申請しなくても問題ありません。

しかし、振り込みされる口座情報を変更する場合には再申請が必要になります。他には、給付対象にならない年が5年以上継続した後に再び給付対象になった場合についても再申請が必要です。

食費や移動費、移動支援などは補助の対象外

なお高額障害福祉サービス等給付費を利用するにあたり、あくまでも給付対象に該当するのは障害福祉サービスです。そのため、食費や移動費、移動支援などの支払いは給付対象ではありません。

例えば障害者グループホームを利用して一人暮らしをする場合、以下は自費になります。

  • 家賃:補助があるので実際は無料または月1万円台の負担
  • 食費
  • 水道光熱費
  • 日用品費
  • その他の雑費

あらゆる支払いが補助の対象ではなく、高額障害福祉サービス等給付費では、あくまでも障害福祉サービスが給付対象になると理解しましょう。

・補装具費の利用負担は補助の対象

なお高額障害福祉サービス等給付費の補助対象に補装具費があります。障害者であれば補装具を購入することがあり、この費用負担については補助の対象になります。

補助制度の内容を知り、生活できるようにする

健常者とは異なり、障害者は何かとお金がかかります。しかも、多くのケースで障害者は低所得者に該当するのでお金の支払いに苦労します。

そのため、すでに用意されている補助制度を学ぶのは重要です。障害者にとって非常に重要な給付制度に高額障害福祉サービス等給付費があります。

高額障害福祉サービス等給付費を利用することにより、障害者グループホームや入所施設では障害福祉サービスが無料になります。実家で障害者の子供を家族が世話している場合であっても、月9,300円または37,200円の負担上限額になります。

こうした給付制度を利用すれば、たとえ低所得の障害者であっても問題なく生活できます。そこで、高額障害福祉サービス等給付費をうまく活用しましょう。

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