知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者の中には、ペットを飼っているケースがあります。それでは障害者や難病患者がグループホームへ入居するとき、ペット可の障害者施設を利用することは可能なのでしょうか。

これについては、通常の障害者グループホームではペット不可です。グループホームの多くはシェアハウスであり、ほかの利用者もいるため、ペットを許可してくれることはありません。

ただ場合によっては、ペット可のグループホームも存在します。また、ペット共生型のグループホームであれば、もともと猫や犬などの動物が施設内にいますし、飼っているペットの持ち込みも可能なケースがあります。

それでは、動物と一緒に過ごしたいと考えている人はどのようにすればいいのでしょうか。ペット可の障害者グループホームについて解説していきます。

通常、グループホームではペット不可

多くの場合、グループホームはシェアハウス型となります。一戸建て住宅やアパート・マンションについて、複数の人が共同で障害者施設を利用することになります。

当然、すべての人が動物を好きとは限りません。また猫であれば、部屋の中を自由に動き回ることになります。そのため、猫がいない施設に比べると、衛生面で劣ってしまうのを避けることはできません。グループホームではみんなで食事をすることが多く、当然ながら、動物が嫌いなほかの利用者は気にします。

これは犬についても同様です。犬を怖がる人にとって、障害者施設に犬がいるのは恐怖でしかありません。

複数の知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者で共同生活を送る場所がグループホームです。そのためほかの利用者のことも考え、ほとんどのグループホームでペット不可となっています。

飼っているペットはワンルーム型で可能かもしれない

ただ場合によっては、ペット可のグループホームは存在するかもしれません。具体的には、アパート・マンション型でワンルームを採用しているグループホームが該当します。

前述の通り、通常はシェアハウスのような形式であり、浴室やトイレなどは共同利用する施設になります。一方でワンルームであれば、それぞれの部屋に浴室とトイレがあります。これらの設備をほかの人と共有して利用することがないため、ワンルーム型では例外的にペット可のケースがあります。

障害者グループホームの部屋はいたって普通ですが、以下のような部屋でペットと共に過ごすことになります。

ただ一般的な賃貸物件であっても、ペット不可にしていることは多いです。そのため、たとえワンルーム型のグループホームであっても、必ずしもペット可とは限りません。

また、仮にペット可のグループホームであっても、猫や小型犬など、ワンルーム内で過ごせる動物が対象になります。犬を施設の外で飼うことはできないため、これについては事前に理解しましょう。

ペット共生型のグループホームは存在する

それでは、グループホームで動物を飼うのが無理なのかというと、障害者施設によってはまったく問題ないケースがあります。障害者施設の中には、ペット共生型のグループホームが存在します。こうしたグループホームを利用すれば大丈夫です。

日本には多くの保護猫や保護犬がいます。引き取り手がいない場合、こうした動物は殺処分となります。そこで、ペット共生型のグループホームではこうした保護猫や保護犬を引き受け、グループホームで障害者と一緒に暮らすことになります。

猫がメインなのか、それとも犬がメインなのかはグループホームによって異なります。場合によっては、犬メインのグループホームではあっても、施設内に猫がいるケースもあります。これについては、実際に見学したり聞いたりしなければわかりません。

なお障害者グループホームについては、認知症グループホームとは異なり、住民票のある市区町村外であっても問題なく入居できます。例えば、東京に住む人が神奈川や埼玉、千葉のグループホームへ入居するのは可能です。

ペット共生型のグループホームを含め、動物と一緒に住めるグループホームは絶対数が少ないため、どうしてもペット可がいい場合はほかの都道府県を含めて入居を検討しましょう。

猫や犬の持ち込みは要相談

ただペット共生型のグループホームであっても、あなたがすでに飼っている猫や犬の持ち込みが可能かどうかは不明です。前述の通り、こうしたグループホームは保護猫や保護犬を引き取って世話をしているからであり、新たに動物を受け入れ可能かどうかはわかりません。

これについては施設によって異なるため、相談する必要があります。例えば、以下はペット共生型のグループホームの案内です。

このように、「自分のペットと入居したい人は要相談」となっているとわかります。ペット共生型のグループホームでは、すでに猫または犬が家に暮らしています。そのため新たな動物を受け入れ可能かどうかはグループホームの事情によって異なるのです。

人によっては猫や犬に限らず、インコなどのペットを持ち込みたい人もいるでしょう。いずれにしてもグループホームによって対応が異なるため、いま飼っているペットと別れたくない場合は相談が必要です。

なおペットを維持するためには費用がかかります。元からグループホームが飼っていた猫や犬なら問題ないですが、新たに動物を持ち込む場合、ペットを飼うための維持費が加わることも考慮しましょう。

動物との共生は精神安定効果に優れる

なお知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者を含め、動物と共生すること自体は優れています。例えば認知症患者については、動物と一緒に過ごすことでストレス改善効果や精神安定効果があると複数の論文で明らかになっています。

動物が嫌いな人だと逆効果ですが、動物が好きな人だと、優れた効果があるというわけです。当然、これは知的障害者や精神障害者であっても同様です。

こうした取り組みをアニマルセラピーといいますが、世界中で行われています。軽度であれ重症心身障害者であれ、動物と一緒に過ごすことは意味があります。また、ペットを介してほかの人とのコミュニケーションが良好になることもわかっています。

ただアニマルセラピーでは、かわいがっていたペットが死亡するなど、ペットが原因で不眠に陥り、精神症状に悪影響を及ぼすこともあります。これをペットロス症候群といいます。例えば精神障害者だとより、ペットの死亡によって精神状態がより悪化してしまいます。

通常、動物が好きな人にとってペットは良い効果をもたらすものの、こうしたマイナス面も考慮しましょう。

少ないがペット可のグループホームは存在する

多くのグループホームはシェアハウスの形式であり、シェアハウスの一室に入居することになります。ほかの利用者と一緒に生活するため、ペット不可のケースがほとんどです。

一方、グループホームによってはワンルーム形式となっているケースがあります。この場合、ペット可の可能性があります。ただ実際にペットが可能かどうかは確認しなければいけません。

なおどうしても動物と一緒に暮らしたい場合、ペット共生型のグループホームを探しましょう。こうした障害者施設では、保護猫や保護犬を飼っています。ただすでに自分で飼っているペットの持ち込みは要相談なので、事前に聞かなければいけません。

ペット可能なグループホーム数は少ないものの、探せば見つけることができます。そこでワンルーム型のグループホームにペット可か聞いてみたり、ペット共生型のグループホームを探したりするといいです。

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家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。

障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。

ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。

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