ケガや病気によって働けなくなったとき、傷病手当金が有効です。ただ身体障害者や精神障害者で傷病手当金を活用するとき、場合によっては減額になるケースがあります。

それでは、どのようなときに傷病手当金が減額になるのでしょうか。また、会社からボーナス(賞与)が支給されるときについても減額になるのでしょうか。

日々の生活費で傷病手当金は重要です。そのため、どのようなケースで傷病手当金が減額になるのか理解しなければいけません。そこで、傷病手当金が減額になる理由や減額調整の金額について解説していきます。

報酬が支払われると減額理由になる

労働ができず、会社から給料が支払われないときに傷病手当金が支給されます。給料の3分の2という非常に高額なお金であるため、傷病手当金を利用すればひとまず生活費をまかなうことができます。

このとき、給料の3分の2を超えて支給されることはありません。そのため、仮に会社から何か報酬が支払われている場合、その分が相殺されて、「傷病手当金 + 会社からの報酬 = 給料の3分の2」となるように減額されます。

理由なしに減額されることはないものの、何か報酬が支払われている場合は減額理由になります。

傷病手当金が減額になる一般的なケース

それでは、どのようなときに減額調整となるのでしょうか。最も一般的なのは、欠勤の場合であっても支払われる手当が該当します。手当としては、例えば以下があります。

  • 通勤手当
  • 資格手当
  • 住宅手当
  • 固定残業手当

他にもありますが、会社を休んでいる間も手当てが継続して支給されている場合、この部分について減額調整となります。

会社からの手当てが減ると、傷病手当金が増える

なお休業期間が長くなる場合、会社から支給される手当がなくなるケースがあります。この場合、どのようになるのでしょうか。

傷病手当金の計算では、「働いていたときの給料」を元にして計算されます。そのため、傷病手当金を受け取って働けなくなり、その後に会社からの手当が減ったとしてもお金の受取額は変化しません。

会社からの手当はなくなるものの、その分だけ傷病手当金が増えます。手当の分だけ傷病手当金が減額されていたため、そうした減額がなくなるというわけです。こうして、たとえ会社からの手当がなくなったとしても得られる傷病手当金が増えるため、得られる総額は変わりません。

支給額が少ないケースと計算方法

ただ、思ったよりも傷病手当金の支給額が少ないと感じる人がいるかもしれません。減額されたわけではないにも関わらず、なぜ思ったよりも支給額が少ないのでしょうか。

まず、傷病手当金の支給額の計算方法として、「支給開始月より前の12か月の平均」となります。つまり、ケガや病気によって欠勤することになった直前の給料の額を元に計算されるわけではありません。

昇給などによって給料が上がったとしても、以前の給料も含めて傷病手当金の額を計算します。

また、働いている期間が12か月未満である場合、支給額はより少なくなります。直近の給料の3分の2が支給額ではなく、過去の給料も支給額の計算で重要になります。

ボーナス(賞与)は支給されても減額対象ではない

ただ会社から支払われるお金について、手当気概にもボーナス(賞与)があります。欠勤をした直後であれば、会社から賞与が支払われるケースがよくあります。そうしたとき、傷病手当金は減額になるのでしょうか。

通常、給料が支払われると傷病手当金は減額になります。ただボーナス(賞与)については例外であり、傷病手当金に影響しません。

傷病手当金では、年3回以下で支給される賞与については傷病手当金の対象外となっています。通常、賞与は年2回の支給です。そのため、ボーナスを受け取っても傷病手当金に影響しません。

一方、ボーナスの回数が年4回以上の場合、傷病手当金に影響します。同じ賞与であっても、一年間の支給回数によって傷病手当金に影響するかどうかが違ってきます。

他の給付金では減額調整となる

なお、傷病手当金以外にも障害者や失業者で利用できる給付金があります。例えば以下になります。

  • 労災保険
  • 障害年金
  • 失業保険

これらの給付金についても、傷病手当金との併用はできません。同時申請は可能であるものの、必ず減額調整になります。つまり、ダブルで給付金を受け取ることはできません。

仮に複数の給付金を同時に受け取れるとなると、働いていたときよりも高額なお金になります。そうした状況を避けるため、複数の給付金を同時併給できないようになっています。

傷病手当金では減額がある

何かしらの手当など、会社からお金が支給されている場合、その分だけ傷病手当金から減額されます。通勤手当や資格手当、住宅手当などが最も一般的な傷病手当金の減額理由です。

なお、手当によって傷病手当金が減額されたとしても、傷病手当金の総額に変化はありません。このとき、欠勤が長く続くことで手当が支給されなくなった場合、その分だけ傷病手当金の減額がなくなります。つまり、傷病手当金の支給額が増えることでトータルのお金は同じになります。

他に重要な内容がボーナスです。年3回以下の賞与は傷病手当金に影響しません。そのため、傷病手当金の減額なしにボーナスを受け取れます。

傷病手当金を得るとき、減額理由に該当するとその分だけ支給される傷病手当金の額は減ります。利用できるお金のトータルは同じであるものの、減額されることがあるのです。そこで、これらの内容を理解して傷病手当金を活用しましょう。