すべての障害者グループホーム(共同生活援助)について、消防法を守って運営しなければいけません。つまり、新たに棟を立ち上げるときは消防法に従う必要があり、通常の建物よりも消防設備がしっかりしている必要があります。

このとき、障害者グループホームによって「どれだけ消防設備を厳密にすればいいのか」が異なります。当然、経営側としては無駄な出費を避けるため、消防設備は簡素なほうがいいです。

障害者グループホームを運営するとき、場合によってはスプリンクラーの設置が必要になるなど、面倒な内容が発生します。そこで、共同生活援助での消防法やスプリンクラー設置について解説していきます。

共同生活援助で重要な消防法

障害者グループホーム(共同生活援助)を運営するとき、複数の法律を守らなければいけません。その一つが消防法であり、施設によって消防設備の厳重度合いが異なります。

すべての障害者グループホームについて、消防設備を設置しなければいけません。多くの場合、障害者グループホーム(共同生活援助)は賃貸にて運営します。そのため、こうした消防設備の設置が新たに必要になります。

特にスプリンクラーを含め、大型設備を設置するとなると、値段が非常に高額になりますし、大家が承諾してくれません。そのため、可能な限り大規模な消防設備を避けるのが基本です。

もちろん、日中支援型グループホームを開設するなど、「大がかりな消防設備が必要」と元からわかっている場合は問題ありません。ただ多くの障害者グループホームは定員2~6人の小規模であり、大規模な消防設備を避けるのが基本です。

設置基準では、区分4以上の入居者の割合が重要

このとき、何が設置基準の分かれ目になるかというと「入居者の区分」です。以下の施設について、スプリンクラー設置を含めた大規模な消防設備が必要になります。

  • 区分4以上の入居者がおおむね8割超

障害支援区分4以上の入居者が8割超というのは、重度の障害者ばかりが入居している状況になります。つまり実際に火災が発生したとき、すぐに逃げれない障害者がたくさん入居していることを意味しています。

こうした重度の障害者が多く入居する障害者施設では、大規模な消防設備の設置が義務付けられています。

障害者グループホームによっては「区分3以上の人のみ受け入れ」などのようにしているケースがあります。障害支援区分が大きいほど、国保連から得られるお金が大きいため、そうした経営判断をしているケースがあるのです。ただ区分4以上の人の割合が非常に高いと、新たな消防設備の設置が必要になります。

・面積の要件は重要でない

より正確にいうと、施設の延床面積も「スプリンクラー設置が必要になるかどうか」の基準になります。床面積が6000m2以上の場合、スプリンクラー設置が必要になります。

ただ、多くの障害者グループホームは延床面積200m2以下にて開設します。共同生活援助を立ち上げるとき、200m2超の物件では用途変更(寄宿舎など)に関する登記が必要であり、大きな金額が必要なだけでなく、大家からの許可が下りないからです。

そのため、通常は大きすぎない一軒家やアパートを借りて障害者グループホームを運営します。例えば以下は一軒家にて共同生活援助を運営したときの賃貸借契約書です。

6LDK(定員5人)のシェアハウスですが、延床面積は200m2以下であり、こうした物件を利用して障害者グループホームを運営するのが一般的です。そのため、消防法では延べ床面積を気にする必要はなく、あくまでも「区分4以上の障害者がどれだけ入居するか」に注意しましょう。

施設によって異なる消防設備

それでは、障害者施設によって消防設備の要件はどのように変化するのでしょうか。前述の通り、以下の2パターンで考える必要があります。

  • すべての障害者グループホームで設置
  • 重度の障害者ばかりが入居する施設で設置

それぞれについて確認していきます。

すべての障害者グループホームで設置

障害者グループホーム(共同生活援助)を運営する場合、すべての施設で設置義務となっている消防設備は以下になります。

  • 誘導灯
  • 自動火災報知設備

通常の一軒家やアパート・マンションにこうした設備はありません。そのため、誘導灯と自動火災報知設備を新たに設置する必要があります。

・ワンルームやサテライト型住居でも消防設備が必要

なおマンションの一室を借りて共同生活援助を運営するケースはよくあるものの、障害者グループホームであるため、ワンルームやサテライト型住居であっても上記の消防設備が必要になります。

また、消防署から「マンション全体に設置が必要」と判断された場合、アパート・マンション全体のリフォームが必要となり、大家の許可が下りません。そのため消防法により、ワンルームやサテライト型住居は開設が難しいとされています。

一部の施設でスプリンクラーが設置義務

一方で重度の人ばかりが入居する障害者グループホーム(共同生活援助)では、より厳重な消防設備が要求されます。

「日中支援型グループホームを立ち上げる」「難病患者を含め、区分5~6のみ受け入れる」などの場合、厳重な消防設備が必要とわかるので問題ありません。ただ、運営している中で区分4以上の人ばかり入居する状況になると、新たな消防設備の設置が必要になるので注意しなければいけません。

具体的には、以下の消防設備の設置が必要になります。

  • 消火器
  • 誘導灯
  • 自動火災放置設備
  • 火災通報装置
  • スプリンクラー

消火器については、新たに購入して設置すればいいです。値段もそこまで高くないため、備品として施設内に設置すれば十分です。

一方でその他の設備については、それなりに大がかりなリフォームが必要になります。火災通報装置はまだしも、スプリンクラーを設置するとなると、非常に高額な費用です。

共同生活援助の運営でスプリンクラー設置が設置基準になるかどうかを気にする経営者が多いのは、スプリンクラー設置が義務になると、そのために新たなリフォームが必要になるからです。

消防設備の設置基準を満たし、障害者施設を運営する

障害者グループホームは消防法を厳守し、設置基準を満たす必要があります。そこで、すべての共同生活援助は誘導灯と自動火災報知設備の設置義務を満たしましょう。たとえワンルーム・サテライト型住居であっても消防法を守るのは必須です。

ただ重度の人ばかりが入居する場合、消防設備の設置義務がより厳重になります。先ほどの消防設備に加えて、消火器や火災通報装置、スプリンクラーの設置が必要になります。

特にスプリンクラーが設置義務になると、リフォーム費用が大きくなります。そのため、区分4以上の人が8割以上で入居するかどうかを基準にスプリンクラーの設置基準を考えましょう。

消防法は守らなければいけない法律の一つです。そこで、障害者グループホーム(共同生活援助)の経営で法律を厳守し、適切に施設を運営しましょう。

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