住所不定のホームレスであっても、公的制度を利用することで何も問題なく日常を過ごせるようになります。ただ生活保護にて日々を過ごせるように居住環境を整えるとき、最初は「ホームレスが一時的に寝泊まりできる宿泊施設」を利用します。

一時的に利用する宿泊施設には、いくつかの種類があります。またホームレスが住所不定の状態から脱却するとき、どこで施設の利用を申請すればいいのか理解しなければいけません。

それでは、いま住所不定の人はどのような施設を活用できるのでしょうか。ホームレスで利用できる宿泊施設について解説していきます。

住所不定者が寝泊まりできる施設

ホームレスから脱出するためには、必ず生活保護を利用しなければいけません。また生活保護を活用すると同時に、「いま住所不定であっても問題なく利用できる宿泊施設」を活用します。

生活保護の申請段階では、住所が決まっている必要はありません。ただ生活保護を実際に受給するためには、住所が決まっている必要があります。そこで生活保護を利用することでホームレスを脱するとき、以下の施設を利用します。

  • 無料低額宿泊所
  • ホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)
  • 保護施設(救護施設・更生施設など)

これらの施設を利用することで、ホームレスは住所不定の状態から脱出できるようになります。

・福祉事務所で申請を行う

なおすべてのホームレスについて、まずは生活保護の申請が必須になります。そうしたとき、生活保護の申請では福祉事務所へ出向きましょう。こうした場所で手続きをすることで、生活保護の受給が開始されます。

通常、住民票のある場所で申請をします。ただホームレスの場合、住民票がなかったり、住民票のある自治体とは異なる場所で生活していたりします。この場合、いま生活している場所の自治体で生活保護を申請すればいいです。

そうして生活保護を申請すると同時に、住所不定の人は「ホームレスであっても寝泊まりできる施設」を紹介されます。そうして、紹介された施設にて一時的に住むことになります。

無料低額宿泊所の利用は一般的

ホームレスが生活保護の申請と同時に紹介される施設として、無料低額宿泊所は有名です。無料低額宿泊所では、必ず生活保護の住宅扶助の範囲内にて住むことができるようになっています。

一般的には、無料低額宿泊所は都市部に集中して存在しています。そのため無料低額宿泊所を紹介されるとき、必ずしも「申請した自治体に存在する宿泊施設」を利用するとは限りません。

なお一般的には、無料低額宿泊所を利用するときは個室です。そのため、住むときに必ずしも劣悪な環境になるとは限りません。

ただ無料低額宿泊所の中には極小の部屋が残っており、場合によっては劣悪な環境での生活になります。また食費や管理費が高額であり、手元に自由に使えるお金がほとんど残らないケースもあります。

無料低額宿泊所は貧困ビジネスで利用される側面もあります。そこで、無料低額宿泊所を利用するにしても一時的にして、可能な限り早く次の施設へ移るといいです。

ホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)を活用

なおホームレスが利用できる他の宿泊施設として、ホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)があります。都市部に存在しており、数は多くないものの、ホームレス緊急一時宿泊施設を利用することで一時的に住めます。

一般的にホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)は定員50人以上と規模が大きいです。また、入居中に生活保護の手続きや障害福祉サービスの申請、生活指導など、その後の生活に必要な準備が行われます。

原則として、ホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)の利用は6か月までとなっています。そのためシェルターへ入居する場合、入居と同時に次に住む施設を探さなければいけません。

保護施設(救護施設・更生施設など)に住む

また生活保護受給者が住める施設として、他には保護施設が存在します。救護施設や更生施設、授産施設などが保護施設として知られています。

保護施設も規模が大きく、通常は50人以上が一つの施設内で暮らしています。ホームレスが保護施設で暮らすことも多く、それぞれの保護施設の設置目的は以下のようになっています。

  • 救護施設:障害者に住居と生活扶助を与える
  • 更生施設:障害者の独り立ちを目指す
  • 授産施設:就労や技能の訓練を行う

施設によって目的は異なるものの、保護施設(救護施設、更生施設、授産施設など)を利用することにより、ホームレスは特定の場所で生活できます。

なお救護施設と授産施設については、同じ施設にて長く生活している人がたくさんいます。それに対して更生施設の場合、無料低額宿泊所やシェルターと同様に短い期間での利用が原則になります。

一時的に住む施設を利用後、一人暮らしを開始する

このように、福祉事務所へ相談することで紹介される宿泊施設はほとんどのケースで一時的な利用になります。そのためホームレスが生活保護を利用して施設で寝泊まりするにしても、可能な限り素早く次に住む場所を見つける必要があります。

そうしたとき、一般的には以下への引越しをします。

  • 賃貸マンション・アパート
  • 障害者グループホーム(共同生活援助)

それぞれについて確認していきましょう。

賃貸マンション・アパートで生活する

通常、無職では賃貸マンション・アパートの審査が厳しくなります。そのため生活保護では、どうしても審査が通りにくいです。ただ少ないながらも、生活保護で賃貸マンション・アパートを契約できるケースがあります。

そこで健常者であり、賃貸マンション・アパートにて生活したいのであれば、契約可能な物件を「ホームレスで寝泊まりできる施設」の利用中に探しましょう。

生活保護の場合、住宅扶助の範囲内の家賃でなければいけません。そのためワンルームなどの部屋にはなりますが、こうした簡素な部屋にて生活できます。

そうして一人暮らしを開始しつつ、一般企業でのアルバイトや就職(正社員)を含めて、徐々に社会復帰を進めるといいです。無料低額宿泊所やシェルターを利用中の段階で社会復帰は厳しいものの、賃貸マンション・アパートに住み始めた後であれば可能です。

障害者グループホームで格安生活を行う

ただホームレスになってしまう人というのは、ほとんどのケースで障害者に該当します。精神障害者や知的障害者だからこそ、住所不定の状態になってしまうのです。人によって有する精神疾患の種類は異なるものの、いずれにしても多くの場合で障害者というわけです。

そうしたとき、精神障害者や知的障害者が賃貸マンション・アパートにて一人暮らしをするのは現実的でないケースがよくあります。そうした場合、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用します。

複数の障害者が暮らす施設が障害者グループホームです。常に介護スタッフがいるため、軽度から重度を含めて、いつでもスタッフによる助けを得られます。

なお、非常に軽度の障害者であっても賃貸マンション・アパートではなく、障害者グループホームに住む人は多いです。障害者施設であれば、低所得者はサービス料が無料であり、家賃は国や自治体から補助があります。またシェアハウス形式なので、食費や水道光熱費は最安値です。

同じ生活保護で暮らすにしても、賃貸マンション・アパートよりも、障害者グループホームに住むほうが利用できるお金は非常に多くなります。そのため、元ホームレスでその後の生活を障害者グループホームで過ごす人は多いです。

ホームレスで寝泊まり可能な施設を把握する

いま住所不定者の場合、生活保護を利用することで特定の施設にて寝泊まりできるようになります。このとき、住所不定の状態であっても利用できる施設として無料低額宿泊所やホームレス緊急一時宿泊施設(シェルター)、保護施設(救護施設、更生施設、授産施設など)があります。

ただ多くの場合、これらの施設利用は一時的です。そこで、生活保護によって宿泊施設で寝泊まりできるようになった後、すぐに次の住む場所を探しましょう。

健常者であれば、賃貸マンション・アパートが次に住む場所の候補になります。一方で精神障害者や知的障害者の場合、障害者グループホームを利用することで格安生活が可能です。

たとえホームレスであっても、路上生活を続ける必要はなく、生活保護の利用によって特定の場所へ住めます。そこで、これらの公的制度を利用することでホームレスから脱却しましょう。

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