炎症性腸疾患による難病として潰瘍性大腸炎やクローン病が知られています。こうした炎症性疾患によって腸が炎症状態に陥り、下痢や血便、腹痛に悩むことになります。また人によっては、日常生活が困難になるほど症状が悪化するケースがあります。

日常生活や仕事が困難な場合、障害年金の対象になります。そのため、ある程度症状が進行して支障がある場合、障害年金へ挑戦しましょう。

なお潰瘍性大腸炎やクローン病を含め、一般的に難病は障害年金の審査が厳しいです。そのため、正しく診断書を作成してもらい、必要書類を用意して提出する必要があります。

それでは、潰瘍性大腸炎やクローン病の人はどのように障害年金を活用すればいいのでしょうか。これら炎症性腸疾患を有している人での障害年金の活用法を解説していきます。

難病患者は障害年金の対象

すべての難病患者について、症状が進行して日常生活が困難になっている場合、障害年金の対象になります。障害年金には1~3級があり、ザックリとした内容は以下になります。

等級状態
1級常時の援助が必要
2級日常生活に著しい制限を受ける
3級労働で制限を受ける

日常生活での活動がベッド周辺に限られ、ほぼ寝たきりとなる状態が障害年金1級です。一方で歩くことはできるものの、日常生活の多くの場面で援助が必要な状態が2級です。また、日常生活や労働で制限のある状態が3級です。

なお潰瘍性大腸炎やクローン病に加えて、うつ病など他の病気が加わって動けない場合は障害年金1級になることがあります。ただ潰瘍性大腸炎やクローン病のみの場合、通常は2級または3級になります。

炎症性腸疾患について、初診日の証明を行う

こうした難病患者にとって重要なのが初診日の証明です。潰瘍性大腸炎やクローン病に関して、初めて病院を受診した日が初診日です。すべての障害者について、初診日の証明をしないと障害年金の受給はできません。

このとき、難病患者では最初の診断名と異なるのが普通です。例えば下痢や血便、腹痛、貧血などで最初は内科クリニックを受診しているケースがよくあります。

こうしたとき、障害年金で「潰瘍性大腸炎やクローン病の症状で初めて受診した医療機関」というのは、下痢や血便で初受診した医療機関が該当します。そのため内科クリニックを最初に受診した場合、内科クリニックを最初に出向いた日が初診日になります。

つまり、初診日の医療機関で潰瘍性大腸炎やクローン病について確定診断が出ていなくてもいいです。途中で病名が変わるのは問題ないものの、いずれにしても初診日はこのように考えます。

潰瘍性大腸炎やクローン病は徐々に症状が進行していくことになるため、症状悪化によって障害者の状態になったとしても、初診日が10年以上前とかなり昔であるケースはよくあります。また、現在までに多くの病院・クリニックを受診している人は多いです。

そのため潰瘍性大腸炎やクローン病を含め、難病は初診日の証明が難しくなりがちです。ただ初診日の証明は必須であるため、必ず書類を集めましょう。

人工肛門を増設した場合は障害年金3級

ちなみに、潰瘍性大腸炎やクローン病によって人工肛門(ストーマ)を増設することがあります。腸に炎症が長く起こることで、腸機能が失われるのです。

ストーマがある場合、自動的に障害年金3級となります。以下は人工肛門や人工膀胱(新膀胱)、尿路変更に関する認定基準です。

等級状態
2級人工肛門と人工膀胱を造設した
人工肛門造設と尿路変更術をした
人工肛門造設&完全排尿障害(カテーテル留置または自己導尿の常時施行が必要)
3級人工肛門造設、または人工膀胱造設、または尿路変更術をした

通常、障害年金では「日常生活にどれだけ支障を生じているか」で等級を判断します。ただ人工肛門については、装着の事実が障害年金の対象になるのです。

またストーマに加えて、潰瘍性大腸炎やクローン病による他の症状で日常生活が困難になっている場合、障害年金3級ではなく2級になるのは普通です。

「その他」の診断書を使用する

なお障害年金の申請では、医師によって作られる診断書の内容が最も重要になります。診断書にどのような内容が記載されるのかによって、審査落ちかどうか、また認定される等級が変化します。

このとき、潰瘍性大腸炎やクローン病では「その他の診断書」を利用します。その他の診断書では以下の部分に症状や検査結果、臨床所見が記されることになります。

障害年金の申請をするとき、治療の内容よりも「日常生活でどのような困難があるのか」が重要になります。そのため、こうした内容を含めて医師に記載してもらう必要があります。

ただ、医師が障害者本人の日常生活を知っていることはありません。そのため医師に診断書の作成を丸投げすると、ほぼ確実にダメな診断書の内容に仕上がります。そこで障害年金専門の社労士の力を借りるなどして、医師に事前情報(メモなど)を渡すことで、診断書に正しく情報が反映されるようにしましょう。

診断書の一般状態区分表は特に重要

ちなみに、医師の診断書に存在する一般状態区分表は特に重要な内容です。以下の部分になります。

  • (ア)無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく発病前と同等に振る舞えるもの
  • (イ)軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。例えば軽い家事、事務など
  • (ウ)歩行や身の回りのことはできるが、ときに少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
  • (エ)身の回りのある程度のことはできるがしばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等はほぼ不可能となったもの
  • (オ)身の回りのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ活動の範囲が概ねベッド周辺に限られるもの

上記のうち、(イ)に該当する場合は障害年金3級を受給できる可能性があります。また(ウ)または(エ)に該当する場合、障害年金2級の可能性があります。(オ)の場合、障害年金1級になる可能性があります。

いずれにしても、一般状態区分表のどこにチェックが入るのかによって障害年金の等級が変化します。

病歴・就労状況等申立書も重要になる

それに加えて、病歴・就労状況等申立書を障害者本人が作成することになります。病歴・就労状況等申立書では、これまでに受診・通院をしてきた医療機関ごとに時系列で病歴・就労状況の内容を記すことになります。

医師の診断書だけでは、病気を生じた背景やそれまでの通院歴、就業状況などの詳細がわかりません。そこで、こうした書類を自ら仕上げるのです。

日常生活で困っている点やできない部分を病歴・就労状況等申立書に記すことで、審査員へアピールすることになります。実際には専門の社労士へ依頼することになりますが、こうした書類を作成することで障害年金へ申請しましょう。

難病の障害年金では事前準備が重要

何も考えずに障害年金へ申請すると、もらえない人が続出します。身体障害者の中でも、潰瘍性大腸炎やクローン病などの難病は明確な判断基準がなく、審査が厳しいからです。

ただ潰瘍性大腸炎やクローン病で症状が進行しており、日常生活に支障が表れているのであれば積極的に申請しましょう。ストーマを装着している場合は障害年金3級と非常にわかりやすいものの、それ以外の場合は申請書類の記載内容が非常に重要になります。

そこで医師に診断書を作成してもらうとき、事前情報を渡すことで、優れた内容に仕上げてもらう必要があります。それに加えて初診日の証明を行い、病歴・就労状況等申立書を自ら作成しましょう。

潰瘍性大腸炎・クローン病で障害年金をもらうためには、正しい方法があります。そこで認定基準を理解して、診断書を含めた書類の作成方法を学びましょう。

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