公的年金には種類があり、その中に障害年金と老齢年金があります。障害者であれば、高齢者になったときに障害年金と老齢年金のどちらかを選ばなければいけません。

障害年金と老齢年金について、同時併給できるのか疑問に思います。これについて、同時に受け取ることはできません。

そのため障害年金と老齢年金について、それぞれの違いを学び、どちらを選択するのが得なのか理解する必要があります。

それでは、障害年金と老齢年金の仕組みはどのようになっているのでしょうか。また、公的年金を受け取るときにどっちを選択するのが得なのでしょうか。障害年金と老齢年金の違いや選択法について解説していきます。

障害年金と老齢年金は同時併給できない

一人につき、一つの公的年金を受け取れるのが原則です。つまり、2つ以上の公的年金を受け取ることはできません。

公的年金には以下の種類があります。

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金

遺族年金は障害者と関係ないため、ここでは詳細を省きます。老齢年金は高齢者になることでもらえる年金制度です。一方で障害年金については、身体障害者や知的障害者、精神障害者、難病患者など、高齢でなかったとしても障害者であれば受給できる公的年金です。

年金には国民年金と厚生年金が存在する

障害年金と老齢年金を同時併給できないため、障害者の高齢者はどちらも選択できる権利があります。そこで、どっちが優れるのか理解しなければいけません。

このとき、前知識として国民年金と厚生年金の仕組みを学ぶ必要があります。無職や学生、自営業などの人が加入するのが国民年金であり、障害年金であれば障害基礎年金、老齢年金であれば老齢基礎年金として受け取ることができます。

一方で会社員は厚生年金に加入することになります。国民年金よりも、厚生年金のほうが支払う保険料は非常に高額です。そのため厚生年金の加入者では、障害基礎年金または老齢基礎年金に加えて、障害厚生年金または老齢厚生年金を受け取れるようになります。

なお前述の通り、障害年金なのか、それとも老齢年金なのかを選ばなければいけません。そのため厚生年金の加入者は以下のうち、どちらかを選ぶことになります。

  • 障害基礎年金 + 障害厚生年金
  • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金

厚生年金の加入者では、障害基礎年金や老齢基礎年金に対して上乗せ部分があるのです。

切り替え時に年金の種類を選択できる

このとき、障害をもつ高齢者は障害年金を受け取るのか、それとも老齢年金を受け取るのか選択しなければいけません。

ただ、障害年金と老齢年金は組み合わせることができます。具体的には、以下の組み合わせが可能です。

  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金

つまり、障害をもつ高齢者(初診日に厚生年金の加入者)は以下の3つの受け取り方法を選択できます。

  • 障害基礎年金 + 障害厚生年金
  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金
  • 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金

まずは、これらの受け取り方が存在することを理解しましょう。

障害基礎年金と老齢基礎年金はどちらが得か?

それでは、実際のところ障害基礎年金と老齢基礎年金はどちらが得なのでしょうか。どっちが優れるのかについて、明確な答えがあります。具体的には、老齢基礎年金ではなく障害基礎年金を選びましょう。

老齢基礎年金では、国民年金保険料を納めた期間に応じて支給金額が決定されます。一方で障害基礎年金の場合、納付期間に関係なく、満額が支給されます。つまり、障害基礎年金のほうが支給額が多いです(国民年金保険料を常に支払った場合、障害基礎年金と老齢基礎年金は同額)。

さらに、障害年金1級の場合は「老齢年金を満額受け取るとき(障害基礎年金2級)」に対して、1.25倍の支給額となります。

こうした理由があるため、障害基礎年金を選べる人が老齢基礎年金を選択する意味はありません。つまり、高齢障害者は以下のうち、どちらかを選びましょう。

  • 障害基礎年金 + 障害厚生年金
  • 障害基礎年金 + 老齢厚生年金

障害者であるにも関わらず、老齢基礎年金を選択するメリットはありません。そのため、国民年金に加入している人は障害基礎年金の一択で問題ないです。また厚生年金の人は先ほどの2択のうち、どちらかを選択しましょう。

障害厚生年金と老齢厚生年金は比較が必要

国民年金のみの場合、前述の通り障害基礎年金を選べばいいです。それでは、障害厚生年金と老齢厚生年金を選べる人について、どちらが多くのお金をもらえるのでしょうか。

これについては、人によって異なります。障害厚生年金で有利な人がいれば、老齢厚生年金で多くのお金を受け取れる人もいます。

人によって厚生年金保険料の支払い年数や金額が異なります。また、障害厚生年金と老齢厚生年金では計算方法が違います。そのため、どちらが優れるのかは一概にはいえません。

そこで、どっちが有利なのか知るために年金事務所へ出向きましょう。年金事務所で確認すれば、障害厚生年金と老齢厚生年金について、どちらのほうが多くのお金を受給できるのかわかります。その後、最適なほうを選びましょう。

障害年金が停止になる場合、老齢年金を選べばいい

なお当然ながら、障害をもつ人が障害年金を受け取れます。そのため場合によっては、障害年金の対象外になることもあります。

障害年金で永久認定になっている場合、特に問題ありません。ただ障害年金で有期認定となっており、期限付きで障害年金を受給できる人は多いです。有期認定で更新されればいいですが、障害の程度が軽くなれば、障害年金が打ち切りになることもあります。

この場合、障害年金を受け取ることはできないため、仕方ないので老齢年金に切り替えるようにしましょう。

障害年金を受け取れる場合、選択肢は多く、多くの人にとって障害年金を利用することによって年金受給額が増えます。ただ障害年金の打ち切りになっても悲観する必要はなく、高齢者なのであれば老齢年金へ切り替えればいいです。

障害年金と老齢年金でどちらが得なのか理解する

公的年金は一つしか受け取ることができません。そのため障害年金と老齢年金を両方もらえることはなく、必ずどちらか一方を選択することになります。

このとき、原則として老齢基礎年金よりも、障害基礎年金のほうが有利です。そのため、障害者であるなら障害基礎年金を選択しましょう。

なお厚生年金に加入している人もいます。この場合、障害厚生年金と老齢厚生年金では、どちらが優れるのかは人によって異なります。そのため、年金事務所に確認することでどちらが有利なのか把握しなければいけません。

同時併給できないからこそ、それぞれの年金の仕組みを学び、どちらで受給額が多くなるのか知る必要があります。障害者は生活困窮者であることが多いため、可能な限り有利な受給法を選択しましょう。

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