てんかん発作によって日常生活に支障を生じている人はたくさんいます。こうした人にとって、障害年金を得られるかどうかは重要です。

このとき、てんかん発作があれば障害年金を受給できる可能性があります。このときてんかん発作について、どのような基準を満たしていれば支給できるのか公表されています。

ただ実際には、てんかん単独で障害年金を得られるケースは少ないです。そのため実際には、他の精神疾患を併発しているなど、てんかん以外でも日常生活が制限されている人が障害年金の審査で有利です。そのため、診断書の作成をしてもらうときは注意が必要です。

てんかんによって障害年金を得られるのは本当ですが、てんかん単独では障害年金の受給が難しいです。そこで、てんかん患者でどのように障害年金を得ればいいのか解説していきます。

てんかんで障害年金を得られる基準

てんかんには種類があり、さらにはてんかん発作の大きさ・頻度も人によって異なります。そのため、どのようなてんかん症状なのかによって得られる障害年金の等級は異なります。

このとき、てんかんでは以下の発作が起こっているかどうかが重要になります。

  • A:「状況に関係なく意識障害が起きる発作」「転倒する発作」
  • B:「意識を失うが倒れない発作」「意識明瞭だが思うように動けない発作」

こうしたてんかん発作のうち、以下の頻度が基準となります。

【1級程度】

  • Aの発作が月に1回以上

【2級程度】

  • Aの発作が年に2回以上、またはBの発作が月に1回以上

【3級程度】

  • Aの発作が年に2回未満、またはBの発作が月に1回未満

まずは、この基準に当てはまっているかどうかが障害年金の受給で重要になります。

薬物治療や外科手術で症状が抑えられている場合は対象外

なお、てんかん発作が起こっている人では、薬物治療や外科手術を行うのが一般的です。こうした治療により、てんかん発作の症状が治まっている場合、障害年金の対象外になります。

また、自己判断で薬を適切に服用しておらず、この結果として症状が悪化している場合についても障害年金の対象外です。

先ほどの基準というのは、「薬物治療を含めて適切に治療しているにも関わらず、てんかん発作が起こっている」ときに適用されます。あくまでも適切に治療しているにも関わらず、てんかんによる症状が表れており、日常生活に支障のある人が障害年金の対象になります。

初診日の確定がてんかんの障害年金受給で重要

このとき、てんかんで障害年金を得るには初診日の確定が重要になります。場合によっては、「最初にてんかん発作が表れたのがかなり前」という人もいます。ただ、この場合であっても最初にてんかんで訪問した医療機関で初診日を確定しなければいけません。

例えばてんかん発作によって救急車で運ばれた場合、最初の医療機関でてんかん発作であると確定しなかったとしても、てんかんが原因で救急車にて運ばれた日が初診日であり、対象の病院に受診状況等証明書(初診日を確定させる書類)を書いてもらわなければいけません。

てんかんの初診日が10年以上前となっているのは普通です。そこで、こうした書類に記載してもらうことで初診日を確定しましょう。

実際には、てんかん単独で障害年金受給率は低い

それでは、実際のところてんかんによって障害年金は受給できるのでしょうか。これについては、てんかん単独での申請だと受給率が低く、難しいのが現状です。

てんかん単独で障害年金を受け取れるかどうかというのは、難治性てんかんかどうかが重要になります。薬物治療や外科手術を含め、さまざまな治療を行い、治療を継続しているにも関わらずてんかん発作が起こっている人のみ精神障害者として障害年金を受給できます。

難治性てんかんであり、先ほど記した基準に当てはまっているほど症状が重度であれば、入浴中の溺死や料理中の熱傷、駅ホームからの転落などを防ぐため、日常生活に大きな制限が出ているのが普通です。この場合、てんかんによる障害年金を受け取れるというわけです。

ただ、てんかん発作の基準を満たしていても、てんかん単独では障害年金で審査落ちになるケースもよくあります。そのため、てんかん単独での受給率はどうしても低くなるというわけです。

他の精神疾患や日常生活の制限が重要

それでは難治性てんかんではなく、意識消失を伴うほどの発作が少ない人を含め、通常のてんかん患者はどのように障害年金を得ればいいのでしょうか。この場合、他の精神疾患を併発していることが重要です。

てんかん患者では、ほかに精神疾患をもつ人はたくさんいます。発作が起こっていない間、認知障害などほかの精神疾患によって日常生活が制限されている場合、障害年金が認められやすくなります。さらに、たとえてんかん発作の回数が少なくても、障害年金の対象になることもよくあります。

発作が表れていない期間に精神症状がない場合、てんかん単独での申請になるため、発作回数がある程度多くなければいけません。発作回数が多くても、前述の通りてんかん単独では障害年金を受給拒否されることもあります。そこで他の精神症状がある場合、その事実を考慮に入れて障害年金へ申請することを考えましょう。

また意識消失を伴うほどの発作でなくても、小刻みに体が震えるなど、小さいてんかん発作が起こっていることはよくあります。前述の通り、「意識を失うが倒れない発作」「意識明瞭だが思うように動けない発作」もてんかんで障害年金を得るときの対象になります。

小さいてんかん発作があっても、頻度が多いと必然的に日常生活が制限されることになるため、こうした内容を診断書に反映してもらう必要があります。こうして、障害年金の受給が可能になります。

仕事をしている場合、提出書類の内容に注意する

なお、てんかんをもつ人でフルタイムやパート・アルバイトにて仕事をしている人はたくさんいます。こうした人の場合、医師の診断書を含めて提出書類の内容について特に注意しましょう。

仕事をしている人では、社会的活動が問題ないと判断されやすいです。つまり、てんかんの症状が軽いと判断されやすいのです。てんかん症状がある場合、車の運転は不可ですし、危険な作業もできないからです。

ただ仕事をしているとしても、てんかん発作に対して配慮されている場合、大きな問題にはなりません。例えば「事務仕事であり、さらには勤務時間が短くて制限がある」などであれば、精神障害者として大きな支障が存在し、行える仕事内容も限られるとわかります。

普通に働いている場合、てんかん患者にとって障害年金を受け取るのは不利です。ただ、精神障害者として配慮されたうえでの労働であれば特に問題なく、こうした事実を医師の診断書に反映してもらう必要があります。

てんかんによって就労できないほど症状が悪い場合は問題ないです。一方で働いている人は「仕事をしているが、○○の条件で勤務している」と記してもらうなど、診断書の内容がさらに重要になります。

てんかんで1級・2級・3級の障害年金を得る

てんかんで障害年金を得るとき、1級・2級・3級でそれぞれ認定基準があります。この基準を満たしていることが障害年金の受給で重要です。

ただ、てんかんを治療しても症状が発生する難治性の人である必要があります。またてんかん単独の場合、たとえ発作頻度が多くても障害年金を得られないことがよくあります。

そこで、「ほかの精神疾患が表れていないか」「小さい発作を含めて、生活にどのような制限があるか」を確認しましょう。たとえ発作の頻度が少なくても、てんかん症状が表れていない時期に他の精神症状が存在することで障害年金の受給となった事例はたくさんあります。

てんかんによって障害年金を得るのは可能です。ただ診断書の中身を含め注意点があります。そこで、これらの内容に気を付けて障害年金の申請をしましょう。

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