精神疾患の中でも、適応障害や不安障害(パニック障害)、PTSDなどの神経症や強迫性パーソナリティ障害などの人格障害に悩む人は多いです。
こうした人で「障害年金を得られる方法はあるのか?」と考えるケースは多いです。ただ、こうした神経症や人格障害を理由として障害年金を得ることはできません。
ただ神経症や人格障害がある人であっても、場合によっては障害年金2級や3級を得られるケースがあります。唯一の方法は「うつ病や統合失調症など、他の精神疾患を併発している場合」であり、このときは障害年金の申請が可能です。
それでは、神経症や人格障害の人はどのように障害年金を考えればいいのでしょうか。適応障害や不安障害(パニック障害)、PTSD、強迫性障害、パーソナリティ障害での障害年金の受け取り方を解説していきます。
もくじ
神経症や人格障害は障害年金の対象外
精神疾患がある場合、精神障害者に分類されます。精神障害者であれば、障害者手帳を入手できます。そのため適応障害や不安障害(パニック障害)、PTSDで精神障害者保健福祉手帳を得るのは普通です。
以下は精神障害者用の障害者手帳です。
ただ障害年金については、障害者手帳よりも一般的に基準が厳しくなっています。特に神経症や人格障害については、障害年金が支給されないと決められています。そのため、どれだけパニック障害やPTSDの症状が重くても障害年金が支給されることはありません。
どのような精神障害が神経症・人格障害に該当するのか
それでは、神経症や人格障害にはどのような病名が該当するのでしょうか。事前に該当する神経症や人格障害を知っておけば、どのような人で障害年金を利用できないのかわかります。
【神経症】
- 適応障害
- 不安障害(パニック障害など)
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- 強迫性障害
- 摂食障害
【人格障害】
- 妄想性パーソナリティ障害
- 境界型パーソナリティ障害
- 強迫性パーソナリティ障害
- 性同一性障害
他にもありますが、例えばこれらが主な神経症や人格障害になります。
神経症が障害年金を受け取れない理由
それでは、なぜ神経症や人格障害で障害年金を受け取れないのでしょうか。人格障害については、障害年金を利用できないのは容易に理解できると思います。例えば妄想性パーソナリティ障害であれば、「他人が自分に危害を加えるのでは」と本人が思い込むだけであり、他は健常者と同じです。
性同一性障害についても、性自認や性の対象が一般的な人と異なるだけであり、他の機能や思考能力は正常です。そのため、障害年金の対象とはなりません。
一方で神経症については、なぜ障害年金の対象外なのでしょうか。例えばパニック障害の場合、外に出られないほど生活で困っている人は多く、障害年金の対象になってもいいような気がします。これについては、他の精神疾患とは違って6か月以内での治療が可能なケースが多いからです。
- うつ病や統合失調症と比べて症状が軽く、半年程度以内で治癒する
- 患者自身が病気であると認識でき、それに対応した行動を取れる
- 障害年金によって生活保障をすると、自分で治そうという意欲が失われる
こうした理由があるため、神経症は障害年金の対象外となっています。また、神経症の人が障害年金を拒否された事例について、過去に裁判でも以下のように解釈されています。
【社会保険審査会裁決:2010年5月31日裁決】 一見するとすべて障害給付の対象傷病となり得る神経症について、その自己治癒可能性、疾病利得に着目すると、障害給付の趣旨目的からして一定範囲のものを対象傷病から除くことが合目的的であり、それについて立法府は、保険者の専門裁量に委ねていると解するのが相当であると言える。 |
要は、本来であれば頑張って治療できる精神障害の軽い人まで障害年金を与えてしまうと、その制度に甘えてしまい、本人のためにならないというわけです。そのため、神経症は障害年金の対象外になるというわけです。
ほかの精神病を併発しているなら2級や3級が可能
それでは適応障害や不安障害(パニック障害)、PTSD、強迫性障害、人格障害をもっている人について、どのような場合であっても障害年金を受け取れないかというと、そういうわけではありません。
診断された病名が適応障害や強迫性障害であっても、「精神病の病態を示している場合」は障害年金を受け取れるようになっています。つまり、統合失調症やうつ病など他の精神疾患を併発している場合、障害年金への申請が可能です。この場合、診断書にはその事実を記載してもらわなければいけません。
実際のところ、適応障害とうつ病は症状が似ており、両方とも強度のストレスによって生じます。適応障害の症状がより強くなると、うつ病と診断されるというわけです。また、仕事のストレスによってパニック障害・PTSDと共に統合失調症やうつ病を発症するのは普通です。
この場合、パニック障害や強迫性障害がメインの症状ではあっても、「統合失調症やうつ病を併発している」として申請することにより、障害年金2級や3級を得ることができます。
診断書の作成が最も重要になる
そのため、医師の診断書が最も重要になります。単に適応障害やパニック障害、PTSD、強迫性障害などと記載されても確実に審査落ちになるため、必ず統合失調症やうつ病など、他の精神疾患を併発していると記載してもらうようにしましょう。
もちろん、これらの症状がないにも関わらず、虚偽の申請をするのは犯罪(詐欺)なのでやめましょう。そうではなく、実際に2つ以上の精神疾患を発症している場合、その事実を記載してもらうのです。
また障害年金の診断書には、食事や清潔保持、金銭管理、危機対応、社会生活(公共交通機関の利用)などについて、どれだけ可能かを記載する項目があります。
これらの内容について、できない項目を医師にチェックしてもらい、日常生活でどのような困難があるのか詳細に記載してもらうことになります。こうして神経症や人格障害であっても、統合失調症やうつ病などの精神疾患の併発によって障害年金へ申請できます。
神経症・人格障害は単独だと障害年金を利用できない
適応障害や不安障害(パニック障害など)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、強迫性障害の人は世の中にたくさんいます。パーソナリティ障害として、人格障害の人もいます。ただ、こうした人が障害年金を得ることはできません。
例えば神経症の場合、ほかの精神疾患よりも症状が軽く、半年以内に治療できるケースが多いです。こうした人に障害年金を渡すと、その状態から脱するのを嫌がり、病気の治療にならずむしろ本人のためになりません。こうした状況があるため、神経症は障害年金の対象外なのです。
ただこうした神経症や人格障害に加えて、統合失調症やうつ病を併発している場合、障害年金の対象になります。実際にその他の精神疾患を併発している必要はあるものの、他の精神疾患がある場合は障害年金を視野に入れましょう。
適応障害やパニック障害、PTSDについて、障害者手帳を入手するのは可能です。ただ障害年金については、神経症で審査に通過することはありません。そこで、どのような場合に障害年金を受け取れるのかを理解して、その他の精神疾患を併発している場合のみ障害年金に挑戦するといいです。
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