急に難病を発症してしまう人はたくさんいます。こうした難病患者について、指定難病の場合は医療費の割引・助成があります。これを特定医療費(指定難病)助成制度といいます。
特定医療費(指定難病)助成制度を利用することにより、難病患者の医療費は非常に低くなります。負担は2割になりますし、世帯所得に応じて負担上限額が設定されています。つまり、医療費が際限なく上昇することはありません。
こうした医療費は病院・クリニックだけでなく、薬局での薬代や訪問看護でも有効です。ただ、助成対象ではない支払いもあるので事前に理解しましょう。
それでは、特定医療費(指定難病)助成制度の中身はどのようになっているのでしょうか。難病患者で利用できる医療費割引・補助の仕組みを解説していきます。
もくじ
難病患者は特定疾患医療受給者証によって医療費が格安になる
難病を発症する人は一定の割合でいます。こうした難病患者の場合、病気の治療が難しく、定期的に病院を受診しなければいけません。
また難病だと、どうしても医療費が高額になりがちです。これが飲み薬だけならまだしも、点滴を必要とする薬の場合、費用はより高額になります。そうなると、たとえ働いていても高額医療費によって生活できませんし、病気のために労働が困難な人は収入がないので治療できません。
そこで指定難病の診断を受け、重症度分類に照らし合わせて「日常生活が困難である」と判断された人の場合、特定医療費(指定難病)助成制度の対象になります。
特定医療費(指定難病)助成制度を利用すれば、特定疾患医療受給者証を発行してもらえます。特定疾患医療受給者証を医療機関へ提示することにより、医療費が軽減されます。
医療費はいくら割引・助成されるのか
それでは、難病患者はいくらの医療費割引・助成があるのでしょうか。通常、医療費の負担は3割です。一方、特定医療費(指定難病)助成制度を利用すれば、難病患者の自己負担は2割になります。
それに加えて、月の負担上限額が存在します。世帯年収によって変化しますが、以下のようになります。
階層 | 一般 | 高額&長期 |
住民税非課税 本人年収:~80万円 | 2,500円 | |
住民税非課税 本人年収:80万円超 | 5,000円 | |
一般所得Ⅰ 夫婦二人の世帯年収:約160~370万円 | 10,000円 | 5,000円 |
一般所得Ⅱ 夫婦二人の世帯年収:約370~810万円 | 20,000円 | 10,000円 |
上位所得 夫婦二人の世帯年収:約810~万円 | 30,000円 | 20,000円 |
このような負担額になり、最も高額であっても月3万円が上限となります。また障害者グループホームなどに暮らしており、働けていない低収入の人(住民税の非課税世帯)では月2,500円が上限額です。
一般所得や上位所得については、夫婦二人の世帯のケースで合計年収例を記していますが、独身である場合など、多少の変動があります。ちなみに人工呼吸器が必要な人の場合、すべてのケースで医療費の上限額は月1,000円です。
なお生活保護の場合、元々が医療費ゼロのためこうした制度を利用する意味がありません。あくまでも、生活保護以外の人が利用する制度です。
・1割負担の人はそちらを利用してもいい
なお人によっては、「医療費の負担割合が1割であり、特定医療費(指定難病)助成制度を利用しないほうが医療費は安い」という人もいます。この場合、1割負担となる制度を利用して医療を受けることができます。
高額かつ長期に該当する場合の軽減措置
それでは、先ほどの表で「長期&高額に該当するケース」は何なのでしょうか。「1か月の医療費総額が50,000円を超える月」が1年のうち6回以上ある場合、長期&高額に該当します。
例えば2割負担の難病患者の場合、窓口負担の総額が10,000円以上だと、医療費総額は50,000円以上になります。
そこで、自己負担額が10,000円を超える月が6回となった場合、変更申請をしましょう。これにより、長期&高額に該当することで、翌月から自己負担額が減ります。
住民税の非課税世帯の場合、医療費の負担上限額は常に同じなので気にする必要はありません。一方で収入のある世帯では、長期&高額に該当するかどうかで毎月の負担額が大きく変わります。そこで、制度の利用を開始した後に忘れずに変更申請しましょう。
特定医療費助成制度の対象になる指定難病
それでは、どのような病気が指定難病に該当するのでしょうか。300以上の病気が指定難病であるため、すべて把握するのは無理です。そこで、必要な場合は「指定難病 種類」などで検索し、自分の病気が該当するかどうかを確認しましょう。
なお、指定難病の中でも患者数の多い疾患としては例えば以下が挙げられます。
- 潰瘍性大腸炎・クローン病
- パーキンソン病
- 全身性エリテマトーデス
- 後縦靱帯骨化症
免疫疾患が多い傾向にありますが、これら治療法が確立されていない難病の場合、医療費割引・補助を利用できます。
薬局の薬代や訪問看護ステーションも対象
どのような医療費が対象になるかというと、医療保険を利用する場合は特定医療費(指定難病)助成制度を利用できると考えましょう。
例えば病院・クリニックへの通院では、処方せんをもって薬局へ行きます。薬局で特定疾患医療受給者証を提示すれば、薬代は医療費助成の対象になります。
これは訪問看護ステーションで利用できる訪問看護や訪問リハビリも同様です。訪問看護・訪問リハビリは医療保険または介護保険での利用になります。
そこで、難病患者は医療保険で訪問看護・訪問リハビリを利用しましょう。訪問看護ステーションへ特定疾患医療受給者証を提示することで、医療費は格安になります。
自宅や障害者グループホームに住んでいる難病患者で訪問看護・訪問リハビリを利用するのは普通です。そうしたとき、特定医療費(指定難病)助成制度をうまく利用すれば費用負担を大幅に軽減できます。
助成の対象にならない費用が存在する
なお病院などで支払う費用のうち、すべてが助成対象になるとは限りません。特定疾患医療受給者証を提示しても、減額・助成の対象にならないケースがあります。例えば以下が該当します。
- 対象外の疾病での医療費
- 指定医療機関以外の医療機関を受診した場合の医療費
- 入院時の食費や差額ベッド代
特定疾患医療受給者証には疾病名が記載されます。特定の病名に関する治療で利用できるのが特定医療費(指定難病)助成制度であるため、例えば風邪などの治療は対象外です。
また、元々が自費となっている項目もあります。入院時の食費や差額ベッド代はすべての人で医療保険を利用できず、完全自費となるのは有名です。こうした項目についても、特定疾患医療受給者証を利用できません。
必要書類を集め、特定疾患医療受給者証の申請手続きを行う
ここまでの内容を理解し、特定難病に該当する場合は特定疾患医療受給者証を交付してもらう手続きを役所(保健福祉事務所または保健所)で行いましょう。
以下が特定疾患医療受給者証の必要書類になります。
- 申請書
- 医師からの診断書
- マイナ保険証
- 所得課税証明書
申請書は役所で入手できます。また、細かい書類・書式は自治体によって異なるので事前に確認しましょう。
なお他に難病を併発したり、住所に変更があったりする場合についても、役所で変更申請する必要があります。前述の通り、高額&長期に該当する場合についても変更申請が必要です。
自己負担上限額管理票による管理は必要
なお実際に難病患者が特定医療費(指定難病)助成制度を利用する場合、支払額の管理をする必要があります。少し面倒ですが、以下の自己負担上限額管理票を毎回、医療機関(病院・クリニック、薬局、訪問看護ステーション)へ提示しましょう。
実際の利用法は以下になります。
- 医療機関を利用するたびに自己負担金額を自己負担上限額管理票へ記入してもらう。
- 医療機関は自己負担分を徴収する。
- 月の自己負担総額が上限に達した場合、超える費用は徴収されない。
マイナ保険証と特定疾患医療受給者証だけでなく、医療機関へ出向く場合は自己負担上限額管理票も持参しなければいけません。そのため面倒ではありますが、忘れずに持っていきましょう。
難病患者で重要な特定疾患医療受給者証の利用
難病となると、ずっと治療が続いていきます。また治療法が確立しておらず、医療費が高額になることもよくあります。
そこで指定難病を発症しているのであれば、特定医療費(指定難病)助成制度を利用しましょう。難病患者であれば、非常に多くの人が利用している制度の一つです。これにより医療費が2割負担になり、さらには月の負担上限も存在します。
利用するためには、特定疾患医療受給者証を医療機関へ提示する必要があります。このとき、自己負担上限額管理票の持参を忘れないようにしましょう。
高額になりがちな医療費を大幅に抑えられる方法が特定医療費(指定難病)助成制度です。難病患者は必ず申請しましょう。
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