知的障害者や精神障害者、身体障害者、難病患者であれば、障害者グループホームを利用し続けることができます。グループホームによっては期限が設けられていることはあるものの、強制退去は基本的にありません。
ただ場合によっては、退去勧告の対象となるケースがあります。ほかの利用者への迷惑行為があったり、賃料の未払いがあったりすると強制退去の対象です。また、常に医療的ケアが必要になるなど、障害者施設で対応できなくなった場合も退去が必要になります。
あまり起こってほしい状況ではありますが、グループホームから追い出される障害者がいるのは事実です。そのため障害者施設を利用する以上、退去勧告を受けないようにしなければいけません。
それでは、障害者グループホームの退去条件にはどのような事項があるのでしょうか。グループホームで強制退去になるケースを解説していきます。
もくじ
退去させるには、どの場合で可能なのか
介護職員によっては、特定の入居者に対して「退去させたい」と考えることがあります。理由なしに強制退去をさせることはできませんが、場合によっては退去勧告を出し、退去させることができます。そのため、障害者は追い出されないように注意しなければいけません。
強制退去の条件はさまざまですが、主に以下のケースが当てはまります。
- 暴力・暴言などの迷惑行為
- 入居費用の未払い
- 医療の必要性や長期入院
ほとんどの退去理由はこれらになります。退去条件に引っかかったとしても、実際に退去勧告を出すかどうかは施設によって異なるものの、それぞれの退去条件について確認していきます。
ほかの利用者やスタッフへの暴力・暴言などの迷惑行為
障害者グループホームでは、奇声やうめき声などの理由で退去勧告を受けることはありません。グループホームに知的障害者や精神障害者はたくさんおり、日常的に隣の部屋から奇声やうめき声が聞こえてくるのは普通です。病気による症状であるため、これを止めることはできません。
ただほかの利用者やスタッフへ危害が加わる場合、話が別になります。暴言であればまだしも、暴力を含めた迷惑行為がある場合、ほかの人との共同生活を送ることはできません。
人によって症状は異なり、身体障害者や難病患者の場合、こうした暴力・暴言はほぼありません。ただ知的障害者や精神障害者だと、感情を抑えきれなくなり、爆発してしまうことがあります。参考までに、以下はグループホームの利用者が暴れた後です。
なお、このときは障害者施設の中だけでなく、近くのコンビニでも暴れていました。
こうして、警察を巻き込む事態となりました。警察を巻き込んだり、利用者またはスタッフがケガをして病院へ行く必要があったりする場合、暴力・暴言などの迷惑行為があったという明確な証拠になります。そうなると、強制退去の対象になります。
暴力・暴言があったかどうかについては、双方の認識によって変化します。ただ、こうした明らかな証拠があると、誰がどう考えても「暴力行為があり、これによって被害者も出ている」ことになります。そのため、迷惑行為が原因となって強制退去となります。
入居費用の未払いは強制退去の対象
暴力・暴言などの迷惑行為以外で強制退去になりやすい出来事として、入居費用の未払いがあります。生活保護受給者や住民税の非課税者の場合、グループホームの介護サービスは無料です。また、家賃補助もあります。
ただ、家賃支払いをしないといけないのは変わりませんし、水道光熱費や食費は実費となります。これについては、入居前に事前に説明されているはずです。例えば以下は、ある障害者施設の利用料金です。
補助を含めると、家賃や食費、水道光熱費を含めても支払いは月6万円未満です。障害年金だけでも支払える費用であるため、無駄遣いしない限り支払いで問題は起こりません。
ただこうした費用を支払わない場合、退去勧告となります。サービスを受けたにも関わらずお金を支払わないのは盗みと同じであり、要は犯罪です。なお一般住宅についても強制退去は可能ですが、このときは以下の条件を満たす必要があります。
- 3か月以上、家賃の滞納がある
- 支払いの意思がない
そのため、例えば一時的な家賃滞納だと強制退去はできません。また、分割払いでもいいので支払う意思が障害者側にある場合、グループホーム側は強制退去させることができません。
もし一時的な家賃滞納であったり、支払う意思があったりするのに一方的な退去勧告をする場合、明らかに障害者グループホーム側が悪いです。ほかには、連帯保証人が支払ってくれた場合についても、強制退去は無効です。
一般住宅であっても、これらの条件で強制退去は不可能であり、同じことはグループホームにもいえるのです。
家賃滞納によって強制退去の対象となるのは事実であるものの、状況によって退去条件に当てはまるかどうかが違ってきます。ただ家賃滞納の期間が長い場合、いくら口で「お金を支払う」といってもウソであることが明らかなので、この場合は強制退去の対象となります。
日常的な医療の必要性や長期入院
なお退去勧告の理由は迷惑行為や家賃滞納など、「利用者の過失によって強制退去となるケース」のみとは限りません。特に悪いことをしていなくても退去勧告となる場合があります。こうしたケースに「日常的な医療の必要性や長期入院」があります。
多くの場合、障害者グループホームは日常的に医療が必要な人に対応していません。そのため、常に医療が必要になる重症心身障害者や寝たきりの人は入居拒否となるケースが多いです。以下のように、グループホームの入居条件に「常時医療が必要でない人」と示しているのは普通です。
障害者施設には必ず介護職員がいるものの、看護師を雇う必要はありません。つまり、一般的な障害者グループホームでは注射や点滴などの医療行為をすることができません。
そのため、こうした人は「看護師が常駐しており、医療的ケアも可能なグループホーム」など、別の施設へ移らなければいけません。そうしないと、医療ケアができないので命の危機になり、強制退去どころではありません。
また長期入院が必要な場合についても、強制退去となります。障害者グループホームにとってみると、入院によって何か月も入居者がいない状況はビジネスを成り立たせるうえで厳しいため、長期入院では「一旦、契約解除になる」というわけです。
長期入院の定義が法律で記されているわけではないですが、一般的には3か月以上の入院だと長期となり、退去の対象となります。
なお、症状が改善して同じグループホームに戻りたい場合、空きがあれば可能です。これについては、入院前に住んでいた障害者グループホームと要相談となります。
契約書には強制力があり、90日の猶予期間内に入居先を探す
なお、これらの退去条件について契約書に記載されている場合、強制力があります。つまり、入居者は契約書に従わなければいけません。
普通、施設側がこうした契約書を作るとき、弁護士と相談しているため、退去事項についても記されています。そのため暴力・暴言などの迷惑行為や3か月以上の家賃滞納、医療的ケアの必要性、長期入院に該当した場合、契約書に従って退去しましょう。
ただ退去勧告によって障害者が施設を追い出されるとはいっても、すぐに退去しなければいけないわけではありません。一般的には、90日の猶予期間があります。そのため、強制退去によって追い出されるとしても、90日以内に次の入居先を探せばいいです。
なお医療的ケアが必要になったり、長期入院が必要になったりする場合、ひとまずは医療機関にお世話になるので生活は問題ありません。
一方、暴力・暴言などの迷惑行為や3か月以上の家賃滞納については、利用者にすべての過失があるため、これについては責任をもって自分(または家族)が次の入居先を探す必要があります。
強制退去の流れは一般的な引越しと同じ
それでは、実際に強制退去となった場合はどのような流れになるのでしょうか。これについては、一般的な引越しと同じです。
まず、次の入居先を見つけなければいけません。入院するなら特に関係ないですが、暴力・暴言などの迷惑行為や支払滞納によってトラブルに陥り、追い出されるのであれば、次に入居する障害者グループホームを探しましょう。
見学や面談を行い、双方が納得すれば新たなグループホームへ入居となります。なお、障害者グループホームでは施設内の一室に住むことになり、荷物はほとんどないはずです。そのため引越し業者に依頼する必要もなく、部屋の整理をして引越しをするだけです。
多くに服があっても、ダンボールへ詰めて新居へ配送すればいいだけなので、引越し業者代などの高額な費用は通常だと発生しません。こうして、入居したときと同じ状態に戻しましょう。
なお荷物をまとめたら、新たな施設へ入居するだけです。障害者グループホームでは「敷金・入居金を受け取るのは適切ではない」と多くの自治体が記しており、真っ当に運営している施設ではこうしたお金を受け取っていません。
敷金や入居金がないため、障害者施設から退去するとはいっても退去時に返ってくるお金は特にありません。そのため引越しの流れは基本的に一般住宅のケースと同じであるものの、手続きは非常にシンプルです。
施設を追い出される条件を理解する
障害者グループホームは障害者の自立を支援する施設であるため、施設側が利用者を追い出すことはできません。ただ、中には例外があります。退去条件に引っかかり、介護職員が「この利用者を退去させたい」と考えると、強制退去となるのです。
具体的には「暴力・暴言などの迷惑行為」「家賃などの支払滞納を3か月以上続けている」「日常的な医療ケアが必要、または長期入院」などのケースは退去条件に該当します。
なお退去勧告を受けても、すぐに追い出されるわけではありません。90日の猶予期間があるため、その間に次の障害者グループホームを探しましょう。
場合によっては、障害者グループホームの利用者は強制退去させられることがあります。そこで、退去勧告を受けないように気を付けましょう。ただすでに強制退去の対象となった場合、90日以内に次の入居先を探して、引越し準備を進める必要があります。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
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