身体障害者や精神障害者で十分に働けないとき、それまで会社員・公務員だった場合は傷病手当金を活用できます。そうしたとき、傷病手当金を得るときの金額はいくらなのか、どれだけの期間になるのか、いつ支給されるのかが気になります。
給付金の中でも、高額なお金を支給されるのが傷病手当金です。そのため傷病手当金を早く受給できれば、たとえ障害によって働けなくなっても生活費を得られます。
それでは、傷病手当金の金額や受給期間、支給日はどのようになっているのでしょうか。傷病手当金の中身について解説していきます。
もくじ
給料の3分の2を得られる傷病手当金
傷病手当金の金額がいくらかというと、給料の3分の2です。こうした金額を上限に支給されるため、たとえ身体障害者や精神障害者で働けなくなっても生活に困らなくなります。
当然ながら、人によって給料の額は大きく異なります。そうしたとき、給料が高くても給料の3分の2を上限として支給されるようになります。具体的には、傷病手当金の金額は以下のように計算します。
- 直近12カ月間の標準報酬月額の平均 × 2/3
傷病手当金では、過去12か月の給料の平均額が重要になります。こうした金額について、3分の2が支給されるというわけです。
・非課税なので手取りは大きい
なお通常、給料には所得税や住民税などの税金を課せられるため、手取りは少なくなります。そうしたとき傷病手当金は非課税であるため、無駄な税金なしにそのままお金が振り込まれます。
給料の3分の2というと、それでも生活費を出せるのか心配になります。ただ税金がない分だけ手取りは大きく、利用できるお金は大きくなります。
残業代を含めて支給される計算方法
それでは、標準報酬月額には何が含まれるのでしょうか。会社が労働の対価として支払う報酬が含まれ、具体的には以下が該当します。
- 基本給
- 役職手当
- 資格手当
- 家族手当
- 勤務地手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 残業代
年に4回以上、支給される報酬が標準報酬月額に含まれます。これらは通常、年に何回も支給されます。そのため、傷病手当金では残業代も加味されてお金が支給されます。
標準報酬月額にボーナス(賞与)は含まれるのか?
このとき、気になるのがボーナス(賞与)です。ボーナスも労働の対価として会社から支払われる報酬です。
ただ、賞与は標準報酬月額の対象外です。そのため、高額なボーナスを得たとしても傷病手当金には反映されません。傷病手当金は年収の3分の2ではなく、あくまでも毎月得られる給料に対する3分の2が支給されます。
具体的には、年4回以上を支払われている報酬が傷病手当金の計算で利用されます。一般的にボーナスは年2回の支給であるため、標準報酬月額に加わりません。
・傷病手当金の受給中に得られるボーナスは減額の対象外
いずれにしても、賞与は傷病手当金に一切関係ないと考えましょう。例えば実際に傷病手当金の受給を始めた後、ボーナスを受け取ったとします。この場合、傷病手当金の減額はありません。
会社から何かしらのお金(手当など)を受け取っている場合、その分だけ傷病手当金が減額されます。上限は給料の3分の2であるため、こうしたお金になるように給付金が支払われるものの、会社からの支払いの分だけ減額があるというわけです。
ただボーナス(賞与)は傷病手当金に影響しないため、たとえ傷病手当金を受け取っているときであっても、ボーナスは傷病手当金の減額理由にならないというわけです。
1年6か月にわたって支給される
それでは、どれくらいの期間にわたって傷病手当金が支給されるのでしょうか。傷病手当金の支給期間は1年6か月です。
ただ、働けない人が傷病手当金の対象です。そのため、アルバイトを含めて1日でも労働をすると、その時点で傷病手当金がストップします。そのため、傷病手当金を受け取っている人が労働を境するのは、本格復帰できる状態になってからがいいです。
なお場合によっては、同じ病気が再発して再び欠勤するケースがあるかもしれません。この場合、復帰した時期を除いて、傷病手当金の受給期間が合計で1年6か月になるまで傷病手当金を受給できます。
なお、既に1年6か月の傷病手当金を受け取っている状況で同じ病気を再発し、欠勤した場合は傷病手当金の対象外です。一方、別のケガや病気で休む場合、新たに1年6か月の傷病手当金を利用できます。
条件を満たせば退職後も支給対象
なお身体障害者や精神障害者によっては、症状が長く続くことで退職してしまうケースがあります。この場合、条件を満たせば退職後であっても傷病手当金の支給対象です。具体的には、以下すべての条件を満たす必要があります。
- 社会保険に途切れなく1年以上、加入している
- 退職日に出勤していない
- 同じ傷病で継続して働けない
途中で転職していてもいいので、社会保険に1日も途切れず1年以上、加入している人は退職後も傷病手当金を受け取れます。注意点として、退職日に数時間でも出勤すると受給資格を失うため、退職日は出勤しないようにしましょう。
条件を満たす必要はあるものの、1年6か月にわたって傷病手当金を受給できるというのは退職後も同様です。
いつもらえる?初回や2回目以降の支給日
このとき、傷病手当金をいつもらえるのでしょうか。傷病手当金では書類を作成し、審査を依頼しなければいけません。こうした申請書を確認・審査が行われ、実際に振り込みが行われるまでに最低でも2週間ほどの時間が必要になると考えましょう。
もし書類に不備があり、再提出が必要になる場合、さらに2週間かかります。つまり、初回振り込みまで合計で1か月ほどの時間になります。
・支給のタイミングはいつ?
それでは、具体的な支給タイミングはいつになるのでしょうか。これについて、加入している健康保険組合によって異なります。つまり、傷病手当金について決まった支給日があるわけではありません。
ただスムーズにいけば、前述の通り、書類を提出して2週間ほどで振り込みになります。そのため、いつ振り込まれるのかの大まかな目安は以下のようになります。
書類の提出時期 | 初回の振り込み | 2回目以降の振り込み |
1~10日 | 同月末ごろ | 翌月末ごろ |
11~20日 | 翌月中ごろ | 翌々月中ごろ |
21~31日 | 翌月末ごろ | 翌々月末ごろ |
もちろん、書類不備などによって再提出が必要になると、初回の振り込み時期は後ろ倒しになります。ただ、不備がなければ2週間ほどでの初回振り込みになるため、欠勤によって給料の振り込みがなくても、わりとすぐに生活費を得られるようになります。
傷病手当金の金額や期間、支給日を把握する
会社員や公務員について、ケガや病気によって急に障害者になってしまうことがあります。そうして働けなくなったとき、傷病手当金を活用することで生活費を確保できます。
いくらもらえるかというと、傷病手当金は給料の3分の2です。ここには基本給だけでなく、住宅手当や残業代なども含まれます。これが1年6か月にわたって続き、条件を満たせば退職後であっても傷病手当金を利用できます。
また、書類手を提出して不備がなければ2週間後を目安にお金が振り込まれます。初回支給日は「書類を提出して2週間後あたり」と考えましょう。
初めて傷病手当金を受け取る場合、金額や受け取れる期間などが分かりません。また給料を得られないため、初回の支給日がいつになるのか気になります。そこで、これらの内容を理解して素早く傷病手当金へ申請しましょう。