高齢者で犯罪をしてしまった人はたくさんいます。また高齢犯罪者となると、刑を終えた後に帰る場所がない人がそれなりにいます。そうしたとき、刑務所からの出所後などで更生保護施設を活用します。

このとき、年齢制限なしに更生保護施設を利用できます。ただ期間限定であるため、ある程度の期間が過ぎたら次に住む場所を見つけなければいけません。そうしたとき、高齢者施設や障害者施設などを見据えることになります。

それでは、高齢犯罪者が更生保護施設を利用するときに何を考えればいいのでしょうか。老人で大きな犯罪をした後の生活方法について解説していきます。

高齢者で身寄りのない犯罪者は多い

犯罪者の年齢は幅広く、老人で大きな犯罪をしてしまった人もいます。こうした犯罪者は刑務所などの矯正施設で一定期間を過ごし、刑を終えたら社会にて過ごすことになります。

ただ犯罪者の場合、身寄りのない人が多いです。これが高齢犯罪者となると、たとえ親族がいたとしても縁を切られており、身寄りのない人が多くなります。

身寄りのない犯罪者が何もない状態で社会に放り出される場合、再犯率が高くなります。そこで一定期間、身寄りのない犯罪者が住む場所として更生保護施設を利用できます。

セーフティーネットの一つが更生保護施設です。そのため老人で犯罪をしており、帰る場所がない人は積極的に利用して問題ありません。

「何歳まで」という年齢制限なく利用可能

なお老人が更生保護施設を活用するとき、年齢制限は特に存在しません。何歳までという制限はなく、かなりの高齢者であっても問題なく更生保護施設にて住むことができます。

年齢制限をすると、住む場所のない高齢者は再び犯罪をしてしまいます。これを防ぐため、年齢制限なしに犯罪者が利用できるようになっています。

なお更生保護施設について、高齢者だけでなく未成年であっても受け入れています。いずれにしても、高齢者であっても未成年であっても更生保護施設の利用対象者です。

原則、6か月以内に退去

ただ犯罪者が利用する更生施設については、あくまでも一時的な利用が原則になります。少なくとも、ずっと住み続ける施設が更生保護施設ではありません。

更生保護施設について、原則として6か月が入居期間になっています。例外として、さらに6か月延長することは可能であるものの、あくまでも例外であり、基本的には6か月しか更生保護施設に入居できません。これは高齢者であっても同様です。

犯罪白書によると、6か月以内に退所する人の割合は約9割です。また、1年以内に退所する人の割合はほぼ100%です。こうした事実から、更生保護施設へ入所すると同時に、数か月後の退所についても視野に入れなければいけません。

高齢犯罪者は退所後の住まいが必要

そこで高齢犯罪者について、退所後の住まいとしてどのような候補があるのか理解しましょう。最も一般的なのは、賃貸マンション・アパートを借りて住むことです。

たとえ収入や貯金がなくても、日本では生活保護を利用できます。そのため、生活保護を利用して賃貸マンション・アパートに住めます。

ただ生活保護の場合、賃貸物件の入居審査が厳しくなります。これが高齢者となると、さらに審査に通りにくくなります。身寄りのない老人が住む場合、孤独死のリスクが非常に高くなります。そのため、たとえお金をもっている人であっても高齢者は賃貸契約の審査で不利になります。

そのため高齢者が更生保護施設を利用するとき、退所後の住まいとして以下が候補になります。

  • 高齢者施設
  • 障害者グループホーム

それぞれについて確認しましょう。

高齢者施設に住む人は多い

更生保護施設を退所後、身寄りのない老人が住む場所として、最も一般的なのは高齢者施設です。有料老人ホームは日本全国にたくさんあるため、そうした施設へ入居するのです。施設には介護スタッフがいるため、日々の単独生活が多少困難であっても問題ありません。

通常、有料老人ホームは高額になりがちです。そのため、お金のない人では入居できないケースが多いです。

ただ生活保護を含め、低所得者であっても入居できる金額には有料老人ホームが少ないながらもあります。全体の数としては圧倒的に少数であるものの、生活保護のように住宅扶助の範囲内でしか住めない人であっても対応可能なケースがあるのです。

賃貸マンション・アパートと同様に、低所得者だと入居先は少ないです。ただ老人施設の場合、介護スタッフがいるので少なくとも孤独死の心配はないですし、年齢を理由に入居を断られることもありません。

知的障害者・精神障害者は障害者施設を利用可能

または更生保護施設を退所後、障害者グループホーム(共同生活援助)を利用する方法もあります。知的障害者や精神障害者の場合、年齢に関係なく障害者グループホームを利用できます。

一方で身体障害者については、65歳になる前に障害福祉サービスを利用したことのある人だけ障害者グループホームを利用できます。身体障害者は制限があるものの、要件を満たしていれば問題なく障害者施設を利用可能です。

老人施設と同様に、一つの施設に複数の人で共同生活を送る場所が障害者グループホームです。障害者グループホームの利用者は若い人が多く、必ずしも高齢者とは限りません。ただ、高齢者でも問題なく利用できるというわけです。

なお障害者グループホームの利用者はほとんどが低所得者であり、住民税の非課税世帯や生活保護に該当します。そのため有料老人ホームとは異なり、低収入であることを理由に利用を断られることはありません。そもそも、障害者グループホームは低所得者がメインで利用する施設だからです。

刑務所にお世話になる人のうち、知的障害者や精神障害者の割合は高いです。そこで「更生保護施設を退所後の高齢犯罪者」で障害者の場合、障害者グループホームの利用を検討しましょう。

更生保護施設を65歳以上で利用する

65歳以上の老人で犯罪をしてしまった場合、出所後に誰も頼れる人がいないのは普通です。そうしたとき、更生保護施設を利用しましょう。身寄りのない老人であっても、何歳までという年齢制限なしに利用できる施設が更生保護施設です。

ただ更生保護施設には利用期間があります。原則6か月までの入所期間になるため、退所後のことも考えなければいけません。しかし高齢者では、どうしても賃貸マンション・アパートの審査が厳しくなってしまいます。

そこで高齢者住宅や障害者グループホームの利用を検討しましょう。少ないながらも、低所得者で利用できる有料老人ホームがあります。また条件を満たしていれば、障害者グループホームにて格安で生活できます。

犯罪者にとって、出所後の生活場所は非常に重要です。そこで更生保護施設を活用しつつ、次の生活を見据えましょう。

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