万引きや窃盗、盗難は犯罪となります。ただ、精神的な病気によってこれらの犯罪をやめられない人がいます。お金はあるのに万引きをしてしまうのです。
こうした状態は脳の病気であり、精神障害者に該当します。クレプトマニア(病的窃盗)と呼ばれ、万引きをやめられない依存症の状態なのです。ただ依存症は脳の状態が変化しており、自力で治すのは困難です。そこで施設を利用することにより、症状の回復を目指します。
それでは、病的な万引き癖(クレプトマニア)を改善させるために施設を利用するとき、どのように考えればいいのでしょうか。施設を利用して万引き癖、窃盗症、盗癖から回復するやり方を解説していきます。
もくじ
依存症の治療で施設の利用は有効
依存症というのは、脳の疾患でもあります。そのため単独では治療が難しく、依存症では再犯率が非常に高いことで知られています。そこで施設を利用することで規則正しい生活を送り、さらには治療プログラムを受けることで症状の改善を目指します。
なぜ施設で過ごすことが優れているかというと、ルールが決まっているからです。食事や睡眠の時間などは固定されており、介護スタッフがいるため、強制的に規則正しい生活になります。
クレプトマニアを含め、依存症の状態ではほとんどのケースで生活や睡眠、食事のリズムが崩れています。そうして盗みや窃盗が優先事項になり、結果として何度も犯罪をしてしまうのです。依存症の回復では、適切な生活リズムが必須になります。
ミーティングで万引き癖、窃盗症、盗癖と向き合う
また依存症からの回復を目指すとき、グループセラピー(ミーティング)が有効とされています。こうしたミーティング手法は万引き癖や窃盗症、盗癖に限らず、アルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症でも活用されます。
依存症回復のミーティングでは、自分の体験を語ることで参加者と情報共有します。また、他の人の体験も共有してもらいます。窃盗癖を含め、同じ依存症をもつ人の話を聞くことで自分の体験と重なり、多くの気づきを得ることができるのです。
またクレプトマニアの治療では、認知行動療法(CBT)が行われます。認知行動療法では本人の行動パターンを把握し、どのようにすれば万引きや窃盗をしなくても済むのか考えます。
例えば店員の少ない店で万引きをしている場合、そうした行動に気づく必要があります。そこで、敢えて人が多い店へ行くようにすることで、万引きを生じる引き金を引かないように注意するのです。
施設を利用する場合、日中活動ではこうしたミーティングや認知行動療法を行います。また運動やレクリエーションを行うこともあります。いずれにしても、規則正しい生活と治療を通して依存症を改善させていきます。
更生施設・入院施設には何があるのか
それでは、万引きや窃盗、盗みをしてしまう人はどのような施設を利用すればいいのでしょうか。施設の利用法としては、以下が考えられます。
- 専門の回復施設を利用
- 生活保護の更生施設を利用
- 障害者グループホームと精神科デイケアを併用
それぞれについて考えていきましょう。
専門の回復施設で生活を送る
障害者施設の中には、依存症の人のみを対象にしている施設があります。そうした専門の回復施設を利用することで、昼間にミーティングや認知行動療法(CBT)を行い、さらには施設で寝泊まりすることになります。
なおクレプトマニアについて、病院での入院は基本、対応していません。そのため一時的な入院施設としての利用を考えても、受け付けてくれないと考えましょう。そうではなく、依存症向けの施設を利用するというわけです。
なお専門施設を利用する場合、昼間の活動だけでなく、ナイトケアもひんぱんに行われます。依存症の治療では継続したグループミーティングが重要になり、昼間だけでなく夜間も実施されるのです。
また依存症の治療では、自助グループ(同じ依存症の問題を抱える人が集まるグループ)へも参加します。自助グループには万引き癖(クレプトマニア)だけでなく、アルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症など、さまざまなグループがあります。
こうした自助グループの活動やセミナーに参加することで、自分の依存症と向きあいます。そうして、症状改善を目指します。
生活保護では更生施設を利用できる
他に精神障害者が利用できる施設に更生施設があります。生活保護受給者が利用する施設として保護施設が知られており、保護施設の一つが更生施設です。
更生施設には、精神障害者だけでなく知的障害者や身体障害者もいます。必ずしも依存症の人だけが利用しているとは限らず、さまざまな障害者が更生施設を利用します。またホームレスや元受刑者など、障害者でない人も更生施設を活用します。
こうした更生施設は一般的に規模が大きく、介護スタッフが常駐しており、独り立ちに向けた訓練を行います。また、アルコール依存症や薬物依存症の人も更生施設を利用することが多く、こうした依存症の人は昼間に外部の回復施設へ出向くことでリハビリを行う人もたくさんいます。
生活保護でなければ基本的に更生施設を利用できないものの、万引き癖や窃盗症、盗癖から抜け出せない場合は更生施設も検討しましょう。
精神科デイケアに加え、障害者グループホームを利用
なお依存症専門の回復施設や更生施設は施設数が非常に少なく、そうした施設だけに入居先を絞ると空きを見つけられない可能性が高いです。当然ながら、希望する地域に住める可能性も非常に低いです。
そこで、障害者グループホーム(共同生活援助)の利用を考えましょう。依存症に特化しているわけではないものの、2~5人の障害者が共同生活を送る場所が障害者グループホームです。公的サービスであるため、格安で利用できる施設が障害者グループホームです。
ただ専門の回復施設や更生施設とは異なり、障害者グループホームでは施設が更生プログラムを提供することはありません。そこで、日中活動として病院・クリニックが提供する精神科デイケアへ平日の昼間に毎日、通いましょう。
なお精神科病院・クリニックでナイトケアを実施していることもよくあります。この場合、障害者グループホーム側と時間を相談する必要があるものの、デイケアに加えてナイトケアへ参加することで依存症の回復を促せるようになります。
または、障害者グループホームから外部の回復施設へ出向いても問題ありません。依存症専門の回復施設へ出向くことで、グループミーティングや認知行動療法(CBT)を受け、依存症の改善を目指します。
障害者グループホームへ入居する場合、専門の回復施設と同じように規則正しい生活になります。また障害者グループホームは日本全国にあるため、こうした障害者施設を視野に入れると入居先の選択肢の幅が大きく広がります。
施設を利用して万引き癖を改善させる
生活に困っていなかったとしても万引きや窃盗、盗みをしてしまう人がいます。こうした病的な万引き癖がある場合、依存症であるため適切な治療が必要になります。
クレプトマニアの治療では、グループでのミーティングや認知行動療法(CBT)が有効とされています。またクレプトマニアでは多くの場合、生活リズムが崩れています。そこで施設にて規則正しい生活を行い、さらには平日の日中に実施されるミーティングなどを通して万引き癖を改善させていきます。
このとき利用する施設としては専門の回復施設や更生施設、障害者グループホームがあります。障害者グループホーム(共同生活援助)については、精神科デイケアを併用することで依存症と向き合いましょう。
精神障害者(依存症の人)が自らの力で病気から抜け出すのは難しいです。そこで、公的施設を利用することでリハビリを行い、依存症から脱するといいです。
家賃のほとんどが自治体から助成され、食費や水道光熱費など、必要最低限の出費で住めるシェアハウス形式の施設が障害者グループホームです。介護スタッフが常駐しているため家族の負担はゼロになり、親亡き後問題も解決できる施設となります。
障害者グループホームは一般的に「空きが少ない」といわれています。ただ、それは「担当者が知っている範囲で空きがない」というだけであり、実際には多くの空きがあります。近隣の自治体まで含めれば、すぐに入居可能な障害者グループホームはいくつも存在します。
ただ障害者グループホームによって居住に関するルールは大きく異なり、利用者(障害者)にとって最適な施設を選ばなければいけません。
そこで、当サイトでは完全無料で障害者グループホームを紹介するサービスを日本全国にて実施しています。「いますぐ入居したい」「いまの障害者グループホームから他の施設へ移りたい」「強制退去となり、新たな施設を探している」など、軽度から重度の障害者を含めてあらゆる方に対応しています。